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ビジネススクールのエッセイ対策!具体的な書き方や設問例と回答例

ビジネススクールに入学するための最大の関門ともいえるエッセイ。ビジネススクールはエッセイを通して何を知りたいのか、エッセイが課される理由、具体的な設問例と回答例など、ビジネススクールのエッセイの書き方についてお伝えします。

福原 正大

執筆者:福原 正大

MBA・海外留学ガイド

ビジネススクールがエッセイを通じて知りたいことは2つ

ビジネススクールのエッセイ対策!具体的な書き方や設問例と回答例

エッセイはあなたをプレゼンするチャンス

エッセー(志望調書や研究計画書ともよばれる)を書くことは、ビジネススクールに入学するために最も重要な部分といえます。あなた自身を直接ビジネススクールに理解してもらい、ビジネススクールに売りこむことができる最大の機会だからです。

ビジネスクールがエッセーを通じてあなたについて知りたいことは、ずばり2つのこと。
  1. あなたの能力と可能性
  2. あなたにとってMBAが持つ意味
です。1についてエッセーを書く前にあなたがすべきことは、自分自身の内面、経験、思考方法を理解すること。2に関しては、「ビジネススクール選び3つのステップ」を改めて見直しましょう。「3つのステップ」がしっかりできていれば、2はほとんどできていると言えるのです。

 
<目次>
 

ビジネススクールが提示する設問の意図を掴む

ビジネススクールがエッセーで問うことは大きく2つあることは申しました。2つを明らかにするために、ビジネススクールは一般的に数個の設問を出します。例えば、スタンフォード大学ビジネススクールでは4つ、慶応大学では8つ程度の設問からなります。つまりは、2大テーマが細分化され設問が与えられるのです。各設問の字数は、学校によって大きく異なります。設問ごとの字数制限がある学校もありますし、全設問合計での字数制限がある学校もあります。国内MBAでは、1設問500字程度から2,000字程度まで。海外MBAでは、1設問300字から1,000字程度が多いようです。

ここで重要なことは、2大テーマに沿って各々の設問には意図があるということ。この意図を捉えないまま設問に答えると、あなたのエッセーは不十分なものになります。それでは、大きな2つの区切りにそって、一般的によく出される設問とその意図を考えていきましょう。
 

MBAエッセイ設問と回答例:仕事とキャリアを伝える

■具体的設問例
あなたの仕事経験について教えてください

この問題の意図は、あなたの過去の職務歴を聞きたいというよりは、あなたがしてきた仕事が社会的にインパクトのあるものであったかどうかを聞こうとしています。ビジネススクールでは、未来の経営者やリーダーを育成し、社会にいい影響を与えようと考えているので、それができるかどうかをあなたの過去の経験から探ろうとしているのです。

書かないといけないことは、あなたがどのように障害を乗り越えて成功したかのストーリー。仕事自体の成果をかいてはダメです。ガイドは多数のMBA志望者のエッセーを読んできましたが、多くの人が「どれだけすごい仕事をしたか」を書いているのです。自らが主体的にどのように関与したかを読み取ることができないものでは合格しません。あくまでも、あなたの将来キャリアを豊かにするためにビジネススクールが存在していて、仕事ではなく、あなた自身にビジネススクールは関心をもっているということを忘れないでください。

■具体的回答例
私は日本の銀行で企業融資担当をしてきました。日本は、人口減少に直面し、また資本が世界から集まらない状況になっています。経済の活性化を図るためには生産性の上昇だけが頼りです。この問題意識を元に、私はイノベーションを起こす鍵は組織形態と経営者の資質にあると考え、独自の定性モデルを構築してきました。ただ、従来日本の銀行は財務状態などの定量評価を重視していたので、こうした新しい手法が当初は会社内ではあまり受け入れられませんでした。そこで、定性判断に基づいた方法がなぜ有効であるかの論文をまとめ、会社内を説得し、現在では銀行の重要な企業融資決定モデルになっています。これを突破口に、効果的な融資を行い、力のある日本企業を活性化させることにこれまで成功してきました。  
 

MBAエッセイ設問と回答例:自分の内面を伝える

ビジネススクールのエッセイでは、あなたの内面を書く必要がある

ビジネススクールのエッセイでは、あなたの内面を書く必要がある

■具体的設問例
あなたの強みと弱みを教えてください

あなたが強みと弱みを認識していることは、自らの内面でのリーダーシップを知る上で重要です。例えばスタンフォード大学ビジネススクールでは、自らについて知り、自らの内面でのリーダーシップを重要視しています。

この設問では同時に、「あなたがどのように自信を持っているか」も知ろうともしています。特に海外ビジネススクールに応募する学生は自信にあふれ、自らを堂々と説明することに慣れています。あなたがすべきことは、消極的になりすぎず自信をもって自らについて語ることです。

■具体的回答例
私の強みは、楽観的思考を持ち合わせながら、大きな戦略的な絵を描き、強い実行力をもって行うことです。弱みは、やや行動力が強すぎて、まわりがついてくることができない場合があります。この自己分析をもとに、新規ビジネスを積極的に開発する責任者となり、多くのビジネスを成功させてきました。

■具体的設問例
仕事外での最大の功績を教えてください

あなたが社会とどのように関わってきたかが聞きたいポイント。この問題は海外ビジネススクールでよく出されます。というのも、欧米人はボランティアや地域活動を日常生活として多く経験していますが、日本ではあまりなじみがありません。海外ビジネススクールを希望する人は、早い段階でこうしたボランティアや地域活動に積極的に携わるようにするといいでしょう。

■具体的回答例
例えばガイドは、個人としてボランティアや地域活動をしたことがなかったため、会社で行っていたボランティア活動に参加した経験を書きました。
 

MBAエッセイ設問と回答例:リーダーシップを伝える

■具体的設問例
あなたがこれまでに示したリーダーシップを教えてください

あなたが将来のビジネスリーダーになれるかどうかを探ろうとしています。ビジネススクールでは自らの学校の評価を上げるのは、卒業生がリーダーとして活躍するかどうかにかかっていることを理解しています。未来のリーダーは現時点でその萌芽を出しているはずであると考え、この設問を出しているのです。

書く中で大切なことは、「仕事とキャリア」の設問と同様ですが、過去の仕事の中であなたがどのように仕事を率いたかを強調するのです。仕事の成果を強調しても意味がありません。例えば、次の回答例を参考にして下さい。

■具体的回答例
私は、自らの強みであるコミュニケーション力と分かりやすいプレゼンテーション力を利用し、新しい商品を周りを説得しながら仕事をしていくことを得意としています。例えば、日本でこれまで存在していなかった為替リスク管理ビジネスを、初心者の人にも分かりやすい導入本を作成し、数多くのセミナーを企画・実行し、お客様の直接訪問を通じて導入に成功してきました。現在では、為替リスクの第一人者として多くのメディアで取り上げられ、自らの考えを日本で普及させることで、日本企業の世界戦略を後押ししています。
 

MBAエッセイ設問と回答例:個人的な経験を伝える

■具体的設問例
  • あなたにとってロールモデルは誰ですか?
  • 人生で影響をもっとも受けたことは何ですか?
  • 空いている時間に何をしていますか?
など

あなた自身をより深く知るために、内面を探る設問です。各人の内面に優劣はありませんから、見極めようとしているのは、あなたが自らの内面を十分に省みているかどうかです。

■具体的回答例
私は、父をロールモデルとしています。父は、日本の復興を支えるため起業をし、高級特殊鋼材業界で業界一位にまでなりました。父が日々言っていた「社会に対して何をなしとげるか」ということを子供のころから聞いており、私も社会に対して貢献したいと大学生時代から考えていました。
 

MBAエッセイ設問と回答例:具体的な経営問題を伝える

立教大学ビジネスデザイン研究科は、「発展途上国への直接投資を企業側からみるとどのような問題があるか」や「穀物自給すべきかどうかを日本の問題として考える」といったような国際情勢や経済的問題を企業の経営者として考える問題を出しています。

試したいことは、専門的知識ではなく、未知の問題に対してどう対応し、どの程度分析力や洞察力があるかです。日々新聞で話題にされる問題に対し、自らの意見を持ち、論理的に分析するよう心掛けていると、こうした問題は決して難しくありません。
 

MBAエッセイ設問と回答例:MBAとキャリアを伝える

MBAはあなたにとって何をもたらすか

MBAはあなたにとって何をもたらすか

■具体的設問例
  • あなたのキャリアの目的は何ですか?
  • MBAに来ることでそのキャリアはどう影響を受けるのでしょうか?

あなたがなぜMBAをとろうとしているかです。「ビジネススクール選び3つのステップ」で述べた通り、あなたのキャリアの全体像でMBAが必要であることを述べていくことが必要です。

■具体的回答例
私は現在日本の塾で企画部署に在籍しているのですが、閉鎖的な日本の教育システムを世界標準にするというキャリア上の目的を設定しています。そのためには、こうした考え方をどのようにマーケティングし、戦略的に新規事業を立ち上げ、日本全体に新しい教育を広げていくかを考えてきました。そうした中、一度2年ほど立ち止まり、新しい教育をビジネスとして広げるための方法論を学ぼうとMBAを目指すことにしました。
 

MBAエッセイ設問と回答例:MBAプログラムを伝える

■具体的設問例
あなたは私たちのプログラムから何を得ようとしていますか?

あなたがビジネススクールに来てMBAというタイトルを取得するのを目的にしているのか、それとも具体的なプログラムから何か得ようとしているのかを確認しようとしています。当然のことながら、前者であると判断されると合格が難しくなります。

MBAタイトルを得て転職を有利に進めたいということを書くのではなく、「消費関連マーケティングの勉強をし新しく革新的な商品を世に送り出したい」といったように具体性を感じられ、MBAプログラムそのものから知識を得て仕事で応用可能であることを強調してください。

■具体的回答例
私は、携帯電話の新規事業開発に携わってきたのですが、その中で世界標準を構築する難しさを痛感してきました。世界最先端の世界標準を確立するためには、世界標準を獲得した企業に関わる多くのケースにあたることが重要だと私は考えています。御スクールで戦略論にかかわる授業を多くとり、将来は企業経営者として世界標準を獲得する事業にに関わりたいと思っています。
 

ビジネススクールのエッセイを書く上で共通の重要ポイント

設問の意図をとらえて、あなたを理解してもらうことがエッセーの目的です。ただ、ビジネススクールでは、数百から多い学校では1万近いエッセーが毎年届きます。ですので、話自体がストーリー性を持ち面白いものであるほうがよく、つまらない話だと評価者の目にとまらないことになるでしょう。ガイドは、英雄の物語にあるように、「自ら志をたて、実行する中で障害にぶつかり、それを乗り越えていった」ということを意識して書くようにし、話にストーリー性をもたせていました。

もう1つ重要なことは、推薦文のように他人が話すことができることではなく、あなた自らしか書けるものではないことであることが重要です。つまり、内面の変化などをエッセーには書き込んでいく必要があります。

そして、エッセーは、「ビジネススクール(MBA)推薦文の戦略的な作成方法」でも書きましたが、推薦文と内容に齟齬があってはだめです。なぜなら、推薦文はエッセーで書いてあることが本当であるかを第3者から確かめる役割をもっているからです。
 

ビジネススクールのエッセイの書き方 8つのステップ

独自の情報を盛り込んだエッセイには、あなたらしさが表現されている

独自の情報を盛り込んだエッセイには、あなたらしさが表現されている 

エッセーの設問意図を理解したら、エッセーを書く上で重要なことを意識しつつ書き始めます。

■1.あなた独自の情報を集める
エッセーの設問意図に沿い、できるだけ多くの情報を集めましょう。大切なのは、あなた独自のもの。他人と同じような情報だと差別化されないエッセーができてしまいます。

情報に独自性を持たせましょう。毎日毎日膨大な数のエッセーを読んでいる合否判定者がうなるような情報です。例えば、あなたのリーダーシップについて書くのであれば、過去あなたの上司だった人に会いに行きインタビューから情報を収集します。また、あなたの友人に、自らのリーダーシップを評価する用紙を配り周りからの意見を集め、客観的な自らのリーダーシップ像の情報を集めるのです。

■2.情報をエッセーの意図と合わせてアウトラインを書く
1の多くの独自情報を組み合わせて内容を膨らませていきます。その際、アウトラインを書くことをお勧めします。アウトラインを書くことで、全体が論理的になり、情報量を各々のアウトラインに適切に振り分けられるようになります。

■3.アウトラインに沿いドラフトを完成させる
アウトラインに合わせ内容を膨らませていき、ドラフトを完成します。多くの場合、字数制限があるので、アウトラインごとに十分に均等な内容になっているか確認しましょう。

■4.ドラフトを修正する
文章を書くときはいつもそうですが、当初の文章から修正されていくことで、文章は磨かれたものになります。ガイドもそうですが、この文章を書くときにドラフトを書いた後、一日以上日をおいて修正を行っています。日を置かずに修正をすると、客観性を失い、誤字脱字も多くなります。

■5.第1弾ドラフトを完成させる
ドラフトを修正したあとで、再度、各エッセーが設問の意図に対して十分に答えているか、推薦文と整合的かなどを見極めましょう。少しでも反しているのであれば、最初のプロセスに戻り躊躇なく書き直します。書き直すのは大変ですが、エッセーは「希望するビジネススクールに合格し、勉強をして、キャリアを豊かに変える最初の一歩だ」との意気込みでやり直しましょう。

■6.エッセーを友人などの評価できる人に見せる
あなたが満足いくエッセーができたと思ったら、より客観的な意見をもらうために友人やエッセーを評価できる人に見せる必要があります。できるだけ多くの人に見てもらうようにしましょう。重要な点は、友人などの意見に耳を傾けつつも、最後に決めるのはあなたであるということ。他の推薦文やインタビューと整合的なものにすることができるのはあなただけですし、あなたの人生を左右することはあなたが自ら最終的に決することが重要なのです。

■7.最終版を完成させる
友人などの意見を入れて修正を行った後に、数回のドラフト修正やさらに友人に見せるなどを行い、最終的なドラフトを完成させます。

■8.最終見直しを行う
最終版が完成したとはいえ、句読点が正しく打たれているか、誤字はないか、文法的な問題はないかなどを確認しましょう。特に、海外ビジネススクール進学のため英文でエッセーを構築した場合は、必ずネイティブに見てもらいましょう。欧米人の友人がいない場合は、業者のサービスを使うことが必要です。

いかがでしたか? エッセーを書くには、十分に内容を考える必要もありますし、書いていくうえでも超すべきハードルは多くあります。テストなどの点数がTOEFL iBTで80点、GMATで600点になってきたら、最終的な応募時間に間に合わせるべく早めに準備を始めましょう。

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