「VR」ブランド新モデルデビュー!

NIKE VR PRO BLADE

タイガー・ウッズの実使用アイアンに限りなく近づけたという「ナイキ VR PRO ブレード・アイアン」


 
世界的に展開するナイキゴルフのグローバルモデル。
その、ウッド・アイアンの開発を担当しているナイキゴルフ プロダクトエンジニアリングマネージャー、川口洋さんへのインタビュー。2回目です。

日本人スタッフとして、ナイキのゴルフクラブ開発の中核を担う、川口さんに新たに発売される「VR」ブランドのラインアップについて伺いました。


ガイド:グローバルモデルを開発するということは、アメリカはもとより、日本、アジア、ヨーロッパなど世界中のゴルファーに訴求していく必要があります。想定するゴルファーは、どのようにイメージされているんですか?

川口:ナイキでは、ゴルファーを4つのカテゴリーに分けて考えています。
今回、新製品を発表する「VR」のラインだと、ツアープロなどのトッププレーヤーのカテゴリー。そして、アマチュアゴルファーでも競技に出たり、実際にクラブチャンピオンを獲得したりする上級者、シングルプレーヤー、そういったゴルファーをターゲットにしています。
一方、アベレージゴルファーやビギナーに属するようなゴルファーは、「SQ」のラインアップですね。

「VR」ブランドが対象としているゴルファーは、性能ももちろんですが、見た目の美しさに大変こだわります。そして、ボールを意図通りにコントロールする性能も求めます。その上で、その見た目と性能が一致することを求めます。
例えば、性能はすごく良いのに見た目がしっくりこない。見た目と結果が一致しない、ということを上級者は嫌うのです。

ガイド:
11月に新しく発売された「ナイキ VR PRO ブレード・アイアン」と「ナイキ VR PRO コンボ・アイアン」は、まさに見た目の美しさが特徴的ですね。

川口:
「ナイキ VR PRO ブレード・アイアン」は、タイガー・ウッズが使用するアイアンをそのまま製品にするというコンセプトで開発しました。
世界最高水準の軟鉄鍛造技術を用いて、番手間の重量や形状の精度、製品ごとの精度や品質など、非常に高いレベルで実現しています。店頭に並んでいるアイアンが、タイガーのアイアンとほぼそのままといえるほどの高精度アイアンになりました。



ツアープレーヤーに評価されるフォージドアイアン

NIKE VR PRO COMBOアイアン

長い番手を弾道の高いポケットキャビティにした「ナイキ VR PROコンボ」アイアン。

ガイド:「ナイキ VR PRO コンボ・アイアン」は、上の番手をポケットキャビティにしたモデルですね。

川口:日本モデルは、3番から6番アイアンがポケットキャビティ形状で、その下の番手からスプリットキャビティ(ハーフキャビティ)形状になっています。
「ナイキ VR PRO コンボ・アイアン」も、タイガー・ウッズが使用するアイアンがベースになっていて、その上で、やさしさを求めたモデルになっています。

「ブレード・アイアン」と「コンボ・アイアン」のフェース面の大きさはほぼ同じ。すっきりとした形状で、上級者にも違和感なく構えられます。
「コンボ・アイアン」は、ポケット形状を採用したほかにも、ソール幅を少しだけ広く、ほんの少しオフセットをつけて、ボールのつかまりを良くしています。

メジャー優勝経験者であるジャスティン・レナードは、構えた感じや打感は、これまでのマッスルバックと変わらないのに、やさしく、ボールが高く上がると評価しています。

クラブを変えたくないツアー終盤戦でも、ロングアイアンを中心に「VR PRO コンボ・アイアン」に変えるツアープレーヤーが多く存在しています。


ガイド:この2モデルは、非常に細かくスコアラインが入っていて、特徴的です。

川口:
今年(2010年)から、溝(スコアライン)の規制が入り、いわゆる角溝などが禁止されました。そこで、これらのモデルでは、スピンコントロール性能を高めるために新開発の溝「X3Xグルーブ」を採用しています。

「X3Xグルーブ」は、従来のグルーブより細く&狭い溝幅で、ボールと接触する溝容積が21.5%(ナイキ社比)大きくなりスピン量を確保します。溝に深さがあることも特徴で、特に雨天時や朝露などの悪条件下でも、深い溝が水の通り道となり、ボールコントロールがしやすい設計になっています。こちらも、ナイキツアープレーヤーにとても好評です。

現在、「SQ」ブランドで販売している日本人のために開発したやさしい鍛造アイアン「SQ マッハスピード フォージドアイアン」もアベレージゴルファー中心に、高い評価をいただいています。
ボールが上がりやすく、ミスにも強いモデルです。

これらのモデルは、日本企業が管理する鍛造製法したからこそできたともいえます。
高精度の鍛造技術が、こうした性能面を実現してます。日本のゴルファーは、特に鍛造製法へのこだわりが強いですが、そうしたユーザーも満足できる品質になっています。



感性とテクノロジーの融合!

NIKE VR PRO DRIVER

見た目と性能を融合させた「ナイキ VR PRO ドライバー」

ガイド:2011年2月に発売になる「ナイキVR PROドライバー」については? こちらも鍛造製法を採用したチタンドライバーですね。

川口:「VR」ブランドに関しては、特に見た目と性能が一致することが大切。それは、ドライバーでも変わりません。
前作の「VR STR8-FIT TOURドライバー」と比べると、同じ460cc(ロフト10.5°モデル)でも、ヘッドのフォルムがかなりすっきりして上級者が好む形状に変わっています。

見た目の安心感と性能が一致することで、ゴルファーは気持ちよくスイングすることができます。そうしたことでターゲットへの集中力が高まり、好結果をもたらすと思います。

「VR PRO ドライバー」は、弾道調整機能「STR8-FIT TOUR」で、32通りの調整が可能になります。これだけ細かい調整幅があるのも、まず見た目の違和感を取り除くためです。
見た目と弾道のフィッティングには、このくらいの調整が必要になるということです。

ナイキゴルフは、テクノロジーを重視しているイメージが強いのですが、実際にはこうした人間の感性にフォーカスした部分がとても多いのです。

ガイド:ツアープロからのフィードバックは、多いのですか?

川口:もちろんです。まず、ナイキアスリートが使用できるプロダクトをつくっていかなければなりません。性能アップのプロセスにおいてもプロのフィードバックは非常に重要です。

例えば、深堀圭一郎プロは、非常に鋭敏な感覚の持ち主で、使ったクラブの構造や肉厚を当ててしまうほどです。こうしたプロには、見た目と性能が一致しないと使用してもらえないですね。

「ナイキVR PROドライバー」では、ヒールよりでやや下目での打球で飛距離ロスが少なくなるように設計してあります。これは、タイガー・ウッズが良く使用するスティンガーという低いショットを打つとき打点が下目ヒール寄りになるところから、コントロール性と飛距離性能をキープする意図があります。これもフィードバックの成果ですね。

ナイキ・ゴルフアスリートのポール・ケーシーが、前作「VR STR-FIT TOURドライバー」を使用して何試合か経って、感触の違和感を訴えたことがありました。
それは、コンプレッションチャネル後部のソールの振動をインパクトの瞬間に感じ取っているためでした。
それを解消するために、最終的にはヘッド下部の肉厚を最適になるように変更しました。又、カップフェースの切り返し部を最適化することで、チャネルの剛性を上げてもボールスピードがロスすることなく、尚且つ、その違和感が解消されたという例があります。
ツアープレーヤーの感性に応えることができ、大変喜ばしい出来事でした。


NIKEStuff

クラブ開発の中核を担う、ナイキゴルフ川口洋氏(右)。
プロダクトエンジニア小林氏(左)ら、日本人スタッフの感性が世界戦略モデルに活かされている

ガイド:
川口さんは、この後、またテキサスのナイキ開発センター「OVEN」(オーブン)に戻られるんですね。貴重なお時間ありがとうございました。

インタビューを通して終始感じたこと、それは、日本の技術や日本人ゴルファーの感性が、ナイキゴルフの世界モデル開発に重視されているということです。開発者の川口さんは、その中心的な役割を担われています。
そして、タイガー・ウッズをはじめとするナイキ・ゴルフアスリートのフィードバックが、感性とテクノロジーを融合させたクラブ開発の核心になっているということ。それは、新しい「VR」のラインナップで、明らかになっていると感じました。

<関連リンク>
ナイキゴルフ 「OVEN」
ドライバーは超大慣性モーメントの時代へ(All About ゴルフ)




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