マッサージは気持ちいいよ~

マッサージは気持ちいいよ~

猫はどんな格好で寝ていても、起きて伸びをすると全身の筋肉がほぐされて、すぐに活動できるようになります。猫は羨ましいような柔らかな筋肉を持っていて、肩こりや寝違えに悩まされることは少ないようですが、それでもストレスや高齢になると筋肉がこったりするようです。

ここでご紹介する猫のマッサージは、猫の身体のつぼを刺激して身体を活性化させることができますが、なにより猫とのスキンシップを楽しんでより猫との絆を深めるための手段として活用して頂ければと思います。

マッサージの効果

マッサージでリラックス

 

猫は自分の気持ちがよいところを人に触ってもらうのが大好きです。そして猫の身体を触るときは、同居人=飼い主も気持ちが安らいでほっとできるものです。人は大好きな動物のそばにいると、自然に表情がほぐれて笑顔になり、ふれ合うことでリラックスし血圧や心拍数が安定することが明らかになっています。

きちんとつぼを押さえたマッサージでなくても、猫の身体を触ることで、猫も人も日頃のストレスを軽減することができるでしょう。また猫のマッサージを続けていると、猫の小さな体調変化も感じられるようになり、病気を早期に発見できるかも知れません。普段から身体を触られることに馴らしておけば、例えば動物病院に行ったときなどでもスムーズに診察が受けられるようになります。

さらに猫の身体の正しいつぼを覚えてマッサージできれば、血行がよくなり新陳代謝が高まり、猫の健康維持や老化防止につながるでしょう。便秘や腎臓、肝臓などに慢性的な持病を抱えている猫であれば、効果的なマッサージを施すことで猫が楽に過ごせるようにできるでしょう。ただし持病を持っている猫のマッサージは、必ずかかりつけの獣医師の指導のもとで行ってください。

マッサージを行うときの注意

    • 体調が悪いときはやらない
    • 猫も人もリラックスできるときに行う
    • 持病がある猫に行うときは獣医師の指導のもとで
    • アロマオイルは使わない

    猫の体調が悪そうにみえるとき、なにかいつもと違うと同居人のカンが働くときは無理に猫のマッサージを行わないでください。明らかに体調が悪いとき、発熱していたり下痢、吐いた後、ケガをしている時などは、絶対にマッサージをしないでください。

    猫がマッサージを嫌がって逃げるそぶりを見せたり、抗議の声を上げたときは、即刻やめてください。マッサージは猫が気持ちがよいと感じなければ効果が上がりません。猫が活発に運動した後や空腹時にはやらないで、猫も飼い主も時間に余裕があってリラックスできるときに行ってください。

    マッサージは猫の持病を治すためのものではありません。病気によっては効果が出るものもありますが、素人判断で行って悪化させてしまう可能性もあります。持病がある猫のマッサージは、事前に必ず獣医師に相談してください。

    アロマセラピーで使用するエッセンシャルオイル(精油)の種類によっては、猫が代謝できず皮膚から血管に入り中枢神経に影響を及ぼしたり、毒素として肝臓にダメージを与えたりするものがあるので、マッサージには使わないでください。

マッサージの方法

飼い主は爪を短くして、猫の皮膚を傷つけないように行ってください。効果を上げるためには週1~2回のペースで、1回は15分以内に収まるようにします。マッサージを始めるときは、猫の名前を呼びながらひざの上などに抱き上げリラックスさせ、話しかけながら続けるとよいでしょう。

人間だとつぼを強く刺激すると気持ちがよいことがありますが、猫のマッサージは決して力を入れて行ってはいけません。猫の反応を見ながら力加減をしましょう。

マッサージの基本テクニック

猫のマッサージは、人間のマッサージが血流の流れに沿って行われるのと同じように行います。猫の大まかなつぼについては下段で紹介しますが、猫は身体が小さくひとつひとつのつぼを的確に押さえるのが難しいので、それぞれのポイントを覚えてそこをマッサージしましょう。
    • ストローク
    • 円マッサージ
    • 指圧
    • もみ・つまみ

    指を少し広げて手グシの要領で猫の毛並みに沿って背中からお尻、お尻から後ろ脚にかけてゆっくり優しく撫でていきます。猫が嫌がらなければ徐々にスピードを上げます。

    人差し指、中指、薬指の3本で猫の筋肉に沿って円を描きながら優しく撫でます。

    人差し指と中指を猫の身体に垂直にあて、少しずつ力を入れ約3秒で離します。つぼマッサージの時に行いますが、つぼがよくわからなかったり、猫が嫌がるそぶりを見せたらすぐに中止して別の場所に移動してください。

    親指、人差し指と中指の3本を使って優しく皮膚をつまみ上げたり戻したりします。首や背中、脇腹などリズミカルに行ってください。

こんなマッサージコースはいかが?

身体を触られることが大好きでもっともっと触って!とおねだりする猫もいれば、最初はよくてもすぐに嫌がってしまう子もいます。また猫にとってお腹は急所なので、仰向けになることに恐怖感を持つ猫もいます。マッサージは猫と飼い主が気持ちよいと思えなければ無理に行わなくても良いものなので、その子その子のできる範囲で終了してください。下半身を刺激すると、肛門嚢から臭い液体を出すことがありますので、ティッシュを横に用意してから始めてください。

コースの途中で猫が嫌がるそぶりを見せたら、猫が一番好きな場所・喉や顔部分、首筋の後ろなどを優しく撫でて落ち着かせ、またコースに戻りますが、お腹や下半身、臀部、しっぽを触られると嫌がって噛んだりひっかいたりする猫もいますので、危ないなと思ったらすぐに猫を放してください。全身の血行がよくなってくるとイライラしてくる猫もいますので、くれぐれも無理強いしないでください。

  1. 猫の頭を利き手と反対に向けて優しくひざの上に抱き上げます。 
  2. 猫が一番喜ぶのどや頬、額から首の後ろにかけて優しくストローク 
  3. そのまま背中にかけてストロークを10回 
  4. 首筋から背骨を挟んで両側をもみ・つまみで5回 
  5. 猫が嫌がらなければしっぽの付け根を優しく3回指圧 
  6. 左右どちらかの横むけにして、前足の脇の下からお腹~臀部にかけて円マッサージを3回 
  7. 猫を反対側に向けて同じく3回  
  8. ひざの上で猫を背後から抱きかかえるように前を向かせて仰向けにし、両手でのど・首をもみ・つまみ5回 
  9. お腹を優しく円マッサージか、もみ・つまみで5回 
  10. 両手で前足を持ち、親指と人差し指で前足全体を軽くもみ、その後前足の指の間も3回モミモミ 
  11. 同じように後ろ脚と指の間も3回 
  12. しっぽの先を3回軽く指圧して、すぐに顔に戻り頬と喉を円マッサージ 
  13. 猫をうつぶせにかえして、耳の下から耳先にかけて軽く3回モミモミ 
  14. 首筋から背中~お尻にかけてストロークしながら毛並みを揃えて終了

猫の身体のつぼ(一部)と効果

猫のつぼ?その1
猫のつぼ?その1
つぼは、人間だと人によって、またその日によって微妙に位置が違うそうです。多分これは猫も同じだと思われますので、ここでご紹介しているつぼは大まかな目安としてお考えください。またつぼマッサージはあくまでも体調が安定していて、猫が嫌がらない程度の強さで、また飼い主の自己責任で行ってください。

1.人中(じんちゅう)
位置:上唇と鼻の下の間、中央よりやや下
効果:暑気あたり、咳、ショック
2.迎香(げいこう)
位置:鼻の穴の両端のくぼみ
効果:副鼻腔炎
3.天門(てんもん)
位置:頭頂部の中央
効果:発熱、脳炎、四肢筋肉けいれん
4.耳尖(じせん)
位置:後耳の先端の静脈の上
効果:眼病
5.大椎(だいつい)
位置:頭の後ろの首の付け根
効果:風邪、気管支炎、口内炎
6.身柱(しんちゅう)
位置:第3・第4胸椎棘突起間
効果:肺炎、気管支炎
7.脊中(せきちゅう)
位置:第11・第12胸椎棘突起間
効果:消化不良
8.百会(ひゃくえ)
位置:背中の最後の腰椎と仙椎の間のくぼみ
効果:下痢、各種神経錯乱、坐骨神経痛、後半身不随
9.尾根(びね)
位置:尾の付け根
効果:便秘、下痢
10.尾端(びたん)
位置:尾の先端
効果:便秘
11.三陰交(さんいんこう)
位置:後ろ足内側、脛骨のすぐ後ろ、アキレス腱の始点の下
効果:肝・脾・腎の働きを活発にする。消化不良、下痢、脱水
12.太谿(たいけい)
位置:後ろ足の内側で、内果とアキレス腱の間の拍動部
効果:腎臓、腰痛、全身のエネルギー調節、便秘、乾燥肌
13.趾間(しかん)
位置:後肢の背側の各指の間
効果:後肢麻痺・泌尿器疾患
14.行間(こうかん)
位置:後ろ足前側で、指の骨が足の骨につながるところ。第1中足指節関節の前外側
効果:精神不安定、おう吐、排尿
15.後三里(あとさんり)
位置:下腿上部の外側で膝蓋骨の2cmのところにある筋溝の中(人間でいうところの足三里)
効果:食欲不振・後肢麻痺・嘔吐、下痢、胃腸炎、消化不良、腹痛、後肢麻痺、虚弱、後半身不随、発熱、関節炎、口内炎
16.曲池(きょくち)
位置:前足の外側で、膝を曲げたときにできるしわの外側、橈側
効果:体を温め、痛み、炎症、湿気を取り除く
17.外関(がいかん)
位置:前足首前側で、足首の上約6cm
効果:解熱、炎症、喉痛
18.合谷(ごうこく)
位置:前足の1指と2指の間
効果:急性疾患を直し、抵抗力・免疫力を強める
19.尺沢(しゃくたく)
位置:前足の膝のしわの内側で橈側
効果:肺の熱を取り、咳を止める

猫のつぼ?その2
猫のつぼ?その2

a.肺兪(はいゆ)
位置:背骨の両側で胸椎の3番目と4番目の間
効果:風邪、肺熱咳
b.厥陰兪(けついんゆ)
位置:背骨の両側で胸椎の4番目と5番目の間
効果:風邪、肺熱咳
c.心兪(しんゆ)
位置:背骨の両側で胸椎の5番目と6番目の間
効果:心臓疾患
d.肝兪(かんゆ)
位置:背骨の両側で9番目と10番目の間
効果:肝炎、眼病、黄疸
e.胆兪(たんゆ)
位置:背骨の両側10番目と11番目の間
効果:胆嚢、胆汁、肝炎、眼病、黄疸
f.脾兪(ひゆ)
位置:背骨の両側で後ろから2番目と3番目の間
効果:胃腸、下痢、嘔吐、食欲不振、消化不良、便秘、痩身
g.胃兪(いゆ)
位置:背骨の両側で胸椎の12番目の肋間または尾より1番目の肋間
効果:脾胃虚弱、下痢、嘔吐、食欲不振、消化不良、便秘、痩身、腸炎
h.腎兪(じんゆ)
位置:背骨の両側で腰椎の2番目と3番目の間
効果:多尿症、腎炎、腰胯疼痛、不妊
i.大腸兪(だいちょうゆ)
位置:背骨の両側で第4腰椎と第5腰椎の間
効果:下痢、便秘、消化不良、腰病
j.膀胱兪(ぼうこうゆ)
位置:背骨の両側で2番目と3番目の仙骨の間
効果:多尿症、腰胯病、排尿困難、膀胱炎
k.命門(めいもん)
位置:背中の中心線で腰椎の2番目と3番目の間
効果:腎臓、腰痛、排尿
l.環跳(かんちょう)
位置:尻の後ろのくぼみの中
効果:腰や尻の痛み、股関節挫傷、後肢麻痺、腰胯疼痛後ろ足のこわばりやしびれ

猫のつぼ?その3
猫のつぼ?その3

A.天突(てんとつ)
位置:喉の下の中心線で肋骨の始まるすぐ上
効果:肺の気を正常に動かす
B.?中(だんちゅう)
位置:腹部中心線上で胸骨先端部のくぼみ。両乳頭を結ぶ線上
効果:横隔膜の働きを正常にし、動悸をおさえる
C.巨闕(こけつ)
位置:腹部中心線上で首とお臍の間
効果:胸焼、胆汁、吐き気止め
D.中?(ちゅうかん)
位置:腹部中心線上で胸剣状軟骨の先端と臍の間
効果:胆汁、粘液、吐き気止め
E.神闕(しんけつ)
位置:おへそ
効果:下痢、嘔吐
F.天枢(てんすう)
位置:臍の両脇約4~5cm
効果:大腸の働きを正常にさせ、内臓を活発にしバランスを整える
G.中極(ちゅうきょく)
位置:腹部中心線で臍から恥骨の1/5の所
効果:膀胱の病気を治す中心
H.章門(しょうもん)
位置:最後から2番目の肋骨の先。第11肋骨前端下際
効果:脾臓

こうしてみると、つぼのことを知らなくても今まで猫が触られたときに気持ちよさそうにしている場所がつぼだったことに気がつきます。ですから、特につぼを探してマッサージと難しく考えなくても、猫が気持ちよさそうにする場所をマッサージすることで十分効果が上がるでしょう。

何度も書きますが、お互いが気持ちいいねと思えなければ、マッサージを即刻中止してください。最初からいきなり全身をというのは難しくて当然です。毎日少しずつでも、触られることが嬉しいと思ってもらえる関係を築いていってください。

【参考文献】
・犬・猫に効く指圧と漢方薬―ふれるだけでペットが喜び、元気になる
世界文化社、シェリル シュワルツ (著), Cheryl Schwartz (原著), 山本 美那子 (翻訳), 園部 智子 (翻訳), 根本 幸夫
・中(漢方)獣医学マニュアル
インターズー