ひどい毛玉は指でほぐします
ひどい毛玉は指でほぐします
生後6ヶ月くらいまでの子猫の毛は抜けにくいですが、大人の毛に生え替わり始めると非常によく毛が抜けるようになります。猫はストレスを感じると毛が抜けますが、一般的には春と秋の換毛期に一番たくさん抜けます。例えば春先に生まれた子猫の場合、最初の換毛期は冬前、秋に生まれた子猫は次の年の春から夏にかけて最初の換毛期を迎えます。健康な若い猫の方が毛の抜け替わりは顕著で、歳とともに毛が抜けても生えるのに時間がかかるようになります。

猫は自分でセルフグルーミングするので、人が手をかけてお手入れしなくてもよいと思われがちですが、たくさん毛を飲み込むとお腹の中で毛がボール状になってしまう毛球症という病気になったりします。日頃のお手入れは必須。また、猫の身体を毎日触ることで猫の全身状態を確認できますし、皮膚の血行が促進され猫の健康維持に役立ちます。なにより猫とあなたのコミュニケーションが図れる貴重な時間になりますので、できれば毎日定期的に猫のグルーミングを行いましょう。

猫の毛のおはなし

猫によって、シングルコートとダブルコートと呼ばれる毛の生え方が違うものがいます。シングルコートの猫は、しっかりしたの太いハリのあるオーバーコート(上毛)と、若干柔らかい違った毛質を持ちあわせていますが、毛質が違っても毛の長さはさほど変わりません。ダブルコートの猫は内側にオーバーコートよりも短くて、柔らかめの腰のない密度のある毛=アンダーコート(下毛)の二重毛を持っています。一般的に暑い地方出身の猫、サイアミーズ(シャム猫)やシンガプーラなどにシングルコートが多く、寒い地方でその歴史を築いてきた猫はダブルコートが多いです。

代表的なダブルコートの猫種は、ロシアンブルー、ブリティシュショートヘアー、アビシニアン、ノルウェイジャンフォレストキャット、ソマリなど。メインクーンなどは、厳しい寒さの中で生き抜いてきた猫種なので、当然ダブルコートでしょうと思いがちですが、実はシングルコートに分類されます。確かにメインクーンやペルシャにも明らかに毛質が違うホヤホヤの柔らかな毛がたくさん生えていますが、毛質が違っても長さはそれほど変わりません。

毛球症にご注意

最初にも書きましたが、抜け毛の多い時期はセルフグルーミングをすることで、いつも以上の毛を体内に取り込むことになります。体内に溜まった毛は、通常吐くかウンチに混ざって体外に出ます。上手に丸めた毛玉を吐ける猫はよいのですが、あまりにもたくさん抜け毛を飲み込むと、便秘になったり、腸に毛球が溜まって毛球症という病気になってしまうことがあります。「なんか食欲がないな?」「なんか運動量が少ないな?」「吐くようなそぶりは見せるけど、あんまり出ていないなぁ~」という時は要注意です。毛球はレントゲンに映りませんので、最悪の場合は開腹してみなければ原因がわからない場合もあります。

猫用の草としてエン麦などが販売されていますが、これは猫の栄養のためのものではありません。草の葉に細かいトゲトゲがあって、食べることで胃を刺激して吐きやすくなるため、好んで口にする子が多いです。「猫には草を必ず与えなければいけないでしょうか?」というご質問を時々いただきますが、好まない猫は見向きもしないし、好きな猫は吐く目的でなくてもバクバク食べます。体内からきちんと毛が排出されている猫であれば、無理に草を食べさせなくても大丈夫です。毛球を出させやすくする専用のサプリメントも販売されていますので、抜け毛が多い時期に利用されてもよいでしょう。

というわけで、ダブルコートや毛の長短に限らず、毛がたくさん抜ける換毛期は、いつも以上に抜け毛を取るお手伝いをしてあげてください。


同居人=飼い主が行う猫のグルーミング

    • グルーミング用の道具
    • コーミングの基本
    • 子猫の時から馴らしましょう
    • グルーミングが苦手な猫の場合
    • 長毛猫のグルーミング
    • 短毛種のグルーミング
    • 毛がない猫の場合
    • 毛玉ができてしまったら
    • シャンプー
    ペット用品売り場に行くと、様々なグルーミング用の商品が並んでいます。わたしは猫にはブラシ(豚毛やラバーブラシ、スリッカーブラシなど)よりもクシをお奨めしています。猫の毛は柔らかくて切れやすいので、ブラシを使うと抜ける前に切れてしまうことがあります。もしブラシを使うのであれば、力を入れすぎないようにご注意を。短毛種であれば、ラバーブラシはOKです。

    短毛種であれば、細めのクシを、長毛種であれば粗目+細目が1本に植わっているクシが使いやすいでしょう。クシを購入する際には、自分の手に当ててみて、クシの先端が丸いことを確認してください。猫によって好みがまちまちですから、まずはクシの歯の長さ・太さ・間隔の違い、など様々な道具を試してみましょう。

    猫のお手入れで常日頃欠かせないのは、コーミング。コーミングとはクシ(コーム)を使って毛を梳かすことです。単にクシで毛を梳かして抜け毛を取る、毛玉を防ぐだけでなく、飼い主が猫の全身を触ることによって、身体のどこかに異常があれば早期発見することができます。

    日頃のコーミングはクシをあまり寝かさずに(毛の根本まで入れずに)柔らかく梳かすだけで十分。最初は目の粗い方のクシを使い、スムーズに通るようになったら細かい目の方で仕上げます。毛は一気に梳かそうとしないで、少しずつ分けて毛先から徐々に毛の根本に差し込むように梳かした方が猫は嫌がらないでしょう。 シャンプー前や換毛期には、上のような基本的コーミングを行った後、クシを寝かし、毛の根本まで入れてしっかり梳かしましょう。

    クシについた抜け毛はなるべくこまめに取りましょう。抜け毛をクシに絡ませたままにしておくと、抜ける必要のない毛まで一緒に取りすぎてしまいます。

    成長して毛が伸びてきていきなりコーミングといっても猫は拒否反応を示します。子猫の時から定期的にコーミングに慣らしておきましょう。コーミングが嫌いな猫、場所によって頭、首、肩までは許すけどお腹や太もも、シッポはやめて!って子もいます。猫のお手入れタイムは、猫も人もリラックスできる気持ちの良い時間にしましょう。

    猫は自分が不愉快に思った記憶を長く持ち続ける動物です。イヤなこと、痛い思いをすると、コームを見ただけで怒ったり逃げたりするようになります。

    なかなか身体を触らせてくれない猫は、熟睡している時を見計らって最初は手のひらで優しく身体を撫で、徐々に強く撫でながら5本の指をクシのように使い全身を梳かします。手で触られることに慣れたら、コームを使ってみますが 一度に全身やってしまおうと思わず、何回かに分けて少しずつコーミングに挑戦してください。

    コームを使っても嫌がらなくなっても一気に全身やってしまおうと思わず、まずは嫌がる猫が少ない首のまわりをあくまでも優しく、ゆっくりと。最初はクシを皮膚まで届かせる必要はありません。猫が嫌がらないようでしたら徐々にクシを深く差し込んで、皮膚も軽くマッサージをするように。力を入れすぎて皮膚を傷つけないように注意して、猫の毛の流れに沿って梳かしましょう。逆毛を立てる必要はありません。首がOKだったら、次は背中を。背中から尾に近い部分は嫌がることが多いので、徐々に範囲を広げてみましょう。お腹や脇の下は特に皮膚が柔らかく敏感なので、毛を引っ張って痛い思いをさせてしまうと今後に差し障ります。コーミングをすると体温が上がるので、徐々にじれていじいじ(いらいら)してしまう猫もいます。嫌がるそぶりを見せ始めたら、その場は終了。何度でも再トライして、徐々にクシに慣らしていきましょう。あくまでもゆっくり、優し~くを基本に。

    日頃のコーミングはクシを立てて使います
    日頃のコーミングはクシを立てて使います
    ひどく嫌がって抵抗する猫にはおやつでつってみても良いかもしれません。乾燥ささみや猫用かにかまなどの猫が好むスナックを少量用意して、おとなしくやらせたら一口、というように。ただし、与えるのはあくまでもご褒美程度の量にしましょう。

    長毛猫は必ず人間が手入れを手伝う必要があると覚悟してください。セルフグルーミングだけでは毛玉ができてしまいます。最低でも週に2~3回、換毛期には毎日やってあげたいですね。最初は粗めのクシを全身にかけ毛球がないことを確認、次に細目のクシを横に寝かせ抜ける毛を取りましょう。長毛種をコーミングする場合は、コームを入れる手前の皮膚を片手で押さえて、毛だけを引っ張らないようにしてください。

    短毛種でもダブルコートの猫は、太ももや脇腹に毛球ができやすくなります。短毛種には、クシ以外に柔らかめの豚毛のブラシやラバーブラシを併用しても良いでしょう。短毛種独特の毛のつやを出すために、セーム皮で体を拭いてあげる奥の手もあります。このほか、濡らしたぞうきんを横に置いて、少し手を湿らせて指クシで全身を撫でるだけでも、むだ毛がたくさん抜けます。手ぐしで毎日全身撫でるだけでも、猫はますます美しくなるでしょう。

    スフィンクスのように毛がないとグルーミングは楽かしら~と思われるかも知れませんが、実は毛がない分、皮膚に脂が浮いて不潔になりやすいので、毎日蒸しタオルで身体を清潔にしてあげる必要があります。スフィンクスにはアトピー性皮膚炎の猫も多くいるようです。

    毛玉ができやすいのは脇の下、太ももの内・外側、 胸の毛などです。クシを縦に使って毛玉を割りほぐします。あわてて一気にやろうとすると、猫も痛いので嫌がります。根気よく、毛を少しずつより分けてやってあげてください。 ひどい毛玉は指の腹を使って徐々に割りほぐしていきます。クシだと力加減がわからず、猫が痛がることが多いので指でほぐす方が安心かもしれません。

    頑固なフェルト状になってしまった毛玉は、ハサミで切る取るしかありません。しかし、猫の皮膚は非常の伸びやすいので、毛玉を引っ張って切り取ろうとすると皮膚まで一緒に切ってしまうことがあるので危険です。そこで、毛玉の根っこ=皮膚と毛の間にコームを差し込んで、その上部分だけどハサミで切り取ってください。くれぐれも、猫の皮膚を傷つけないように注意してください。

    一気にむだ毛を取り除くにはシャンプーが一番てっとり早いでしょう。でもシャンプー前にも念入りにコーミングして、先に毛球やむだ毛を取り除いておく必要があります。猫の毛は脂が多いので、毛球や抜け毛だらけでシャンプーしてもあまり意味がありません。シャンプーは、毛を洗うのではなく地肌を洗うつもりで行ってください。シャンプー後は、季節によってはドライヤーなしのタオルドライだけでも充分ですが、長毛種は仕上げに少しドライヤーを当てコーミングするとますます美しくなるでしょう。

    ドライヤーのモーター音や風が苦手な猫が多いので、猫の横でいきなりドライヤーのスイッチを入れないで、離してスイッチを入れ様子を見て風を当てるようにしてください。完全に乾いたら、再度きっちりコーミングしましょう。このとき、「本当に禿げないでしょうね?」って苦笑いするほど毛が抜けます! きっちり毛を取ってしまえば、しばらくは抜け毛が減ったなぁ~と実感できるはずです。猫のシャンプーに関しては「自宅でできる猫のシャンプー」を参考にしてください。

適切な栄養管理や適度な運動、ストレスを感じさせない生活などの猫の体の内側への気配りと外側からのケアが、猫に必要な日常的なお手入れといえるでしょう。
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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。