住宅にまつわる話題の中で、関心が高いテーマが「買うのと借りるのではどちらが得か」です。今回は、中古マンションの購入と賃貸マンションでは、ズバリ、どちらが得なのかについて、お話しましょう。

中古マンション購入が得なこと

賃料を一生支払い続けなくても良いことは購入のメリットのひとつ
まず、中古マンションを購入した場合に得な点として挙げられるのが「安心感」です。具体的には、「賃貸みたいに大家に気兼ねする必要が無い」とか「立ち退かなくても良い」、「万が一、傷を付けたり汚したりしても、修復は自己の裁量の範囲内」など。自身がオーナーになることで「安心感」を得られることが、得なポイントになっているわけです。

また、賃貸の場合は家賃を一生払い続けなくてはなりませんが、購入の場合は、住宅ローンの支払が終了すれば、後は管理費と修繕積立金を支払うだけで良いという、大きなメリットがあります。


リノベーション
購入は、リノベーションやリフォームで好みの住まいにすることも可能

その他にも購入が得なことはたくさんあります。列挙してみましょう。
・自分の思い通りの設備・仕様にリフォーム、リノベーションできる
・高齢者は借りにくい賃貸に比べ、老後も安心
・契約更新や家賃の値上がりの心配もなく、更新料も不要
・分譲物件なので、賃貸物件と比べて、住まいのグレードが高い
・住民のコミュニティなどのまとまりが良い
・自分に万一のことがあっても、団体信用生命保険に加入していれば、保険で残っているローンを支払えるので、生命保険の代わりになる。

このように、購入には多くの得なポイントがあります。対して、賃貸にはどのようなメリットがあるのでしょう?

賃貸マンションが得なこと

賃貸マンションの得なポイントとしてあげられるのが「いつでも気軽に引っ越しできる」ということです。また、購入する場合と比べると、頭金や諸費用など一時的にまとまったお金が必要になることもありません。そのため、貯蓄を崩すこともありません。もちろん、住宅ローンの心理的な重圧とも無縁です。

このように「はじめにまとまったお金が必要かどうか」が、購入と賃貸の大きな違いなのですが、この違いは、ある時期を境に逆転するものなのでしょうか?支払いのシミュレーションから、ズバリ、どちらが得かを見てみましょう。

生涯で支払い額はいくら?
4,000万円のマンション購入の場合

購入すると、グレードが高い物件に住み続けられることも
それでは30歳の時に4,000万円の中古マンションを購入した人と、ほぼ同条件の物件の賃貸マンションに住み続けた人との比較をシミュレートしてみましょう。

【購入した場合】
●物件の設定
・広さ約72平米
・平成15年(築5年)
・購入金額4,000万円 諸費用300万円 総額4,300万円
●借り入れの設定
・住宅ローン借入額 3,500万円
・自己資金500万円 ※別途 諸費用300万円
・金利3%で35年間借り入れ(フラット35などの35年間固定金利)
・ボーナス払い 0円
●管理費・他の設定
・管理費、修繕積立金は月額2万円とする
・固定資産税は年額15万円とする
・35年間の総支払額 7,823万円
※管理費、修繕積立金、固定資産税の変動はないものとして計算

○毎月の支払額 
ローン返済13万5,000円+管理費、修繕積立金2万円
=15万5,000円/月額

○ 35年間の総支払額
住宅ローン総返済額 5,658万円
管理費・修繕積立金総額 840万円
固定資産税の総支払額 525万円
自己資金 500万円
諸費用 300万円

= 7,823万円
(平均年額:223万5,000円)

同クラスの賃貸マンションに
住み続けたら、生涯の支払い額は……?

さて、上記の販売価格4,000万円の中古マンションとほぼ同クラスの賃貸マンションに住み続けたとします。購入者がローンを完済する35年間に、いくら支払うのでしょうか?

【賃貸の場合】
●支払の設定
・家賃 月額16万5,000円とする
・礼金2ヶ月分、敷金2ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分とする
・更新料1ヶ月、更新時賃料の値上げはなしとする。
2年に1度1ヶ月分発生するとする。35年で17回。
●支払額
・家賃総額 16万5,000円×12ヶ月=198万円、35年間で6,930万円
・更新料総額 16万5,000円×17回=280万5,000円
・礼金+敷金+仲介手数料 16万5,000円×計5ヶ月分=82万5,000円

○35年間の総支払額
・ 家賃総額 6,930万円+更新料総額 280万5,000円+礼金+敷金
+仲介手数料の総額 82万5,000円=7,293万円(平均年額:208万4,000円)

これはシミュレーションなので、一概にこの通りになるとは断言できるものではありませんが、【購入した場合】と【賃貸の場合】を比較すると、毎月の支払額こそほぼ同額ですが、35年間の総支払額の差は、【購入した場合】が530万円多くなります。

しかし、35年後にローンの返済が終わった後、管理費と修繕積立金と固定資産税を支払えば良い【購入した場合】に比べ、【賃貸の場合】はこの後も、賃料を支払い続けなくてはなりません。

【賃貸の場合】の45年間の総支払額は9,355万5,000円。35年~45年間の10年間に、2,062万5,000円も支払わなければなりません。対して【購入した場合】は、管理費、修繕積立金と固定資産税の合計×10年間=390万円で済み、35年目以降の10年での差額は1,672万5,000円の差が生まれます。

購入の場合と45年の総額で比較すると、賃貸の方が1,142万5,000円多く支払う計算になります。

シミュレーションでは、管理費、修繕積立金、固定資産税の変動はないものとして計算していますが、実際には、大規模修繕などで修繕積立金がアップする可能性があります。ただ、その増額分が10年間で1,142万5,000円を超えることは、考えにくいでしょう。


グラフ