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理由は江戸時代に。金持ちはナゼ高いところに住む?

歴史的に、地理的に見て、標高の高い場所は地価も高く、お屋敷街となる宿命の場所。その運命の必然度を今風に読み解いてみると……。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

杉並区は浜田山に住んでいる友人がいます。人気の住宅街、一般にはそれだけで羨ましいのに、彼女いわく「同じ浜田山でも神田川沿いと高台じゃ、ちょっと違うのよ」。もちろん、高台のすべての家が豪邸というわけではありませんが、豪邸率が高いのは高台。ゴージャスなマダムが生息するのも高台。では、どうして、お金持ちは高いところにいらっしゃるのでしょう?

江戸時代、高い場所は偉い人が住む場所だった!

江戸城
お城の中でも高い場所にいるのは身分の高い人。納得できますね
歴史的なところから紐解くと、江戸時代、都心部の土地は江戸城を別にすると3種類しかありませんでした。それは当時の、身分、階級によっての住み分けによるもので、武家地、寺社地、町屋がその3種類。江戸時代には郊外だった品川あたりになると、これに農地が加わります。

身分、階級による住み分けと聞けば、たいていの人はお分かりになりますね?偉い人が高い場所に住むわけです。川沿いの湿っぽい場所よりは、からっとした高台のほうが快適な住環境が得られるからです。それにもちろん、眺めも日当たりもいいし、高いところから下々を見下ろすのは、こりゃまた一興というわけです。城郭という観点からすると、高い場所のほうが守りやすく、攻めにくいという意味もあります。

というわけで、当時高台である武蔵野台地上に住んでいたのは武士。そして、寺社もそれに次ぐ遇され方で台地あるいは微高地という安定した場所に立地。それより低い土地には町屋、農地です。

高い場所に広い土地、だから高い場所はお屋敷になる!

島津山の住宅街
島津山を歩いてみると、坂を上がるほどに住宅の規模が大きくなるのが如実に分かる
さて、お武家さん、中でも大名が住んでいたのは高いだけでなく、広い場所でもありました。それが明治時代以降、華族のお屋敷はもちろん、大学や役所、大きな病院などに転用されてきました。ブロック全体が大きいから、分割されてもやっぱり大きいのです。


島津山から周辺へはこんな下り坂もあり、「高台」を実感できる
このあたりの歴史がよく分かるのが、品川区の御殿山、島津山、池田山など、いわゆる城南5山と言われるエリア。このうち、例えば島津山は仙台伊達藩の7万5000m2に及ぶ広大な下屋敷があった場所。これを明治時代に島津伯爵が購入、後に日銀を経て清泉女子大に売却、現在に至っています。そして、お手元の地図などでご覧いただければ分かりますが、周辺にはお寺などが数多く点在しています。お約束どおりの配置というわけです。住環境として優れた高い場所に広い土地、由緒ある地となれば、地価が高いのは当然ですし、それが今、お屋敷街になっているのは当たり前以外の何者でもありません。


高い場所は安全な場所、だからお金持ちが住む!

それに、高い場所は快適なだけでなく、安全な場所でもあります。ご存知の通り、地層は古いほうが固くて丈夫です。東京の地層は大雑把に分けると、多摩丘陵を形成する上総層群(三浦層群とも)、洪積層、沖積層の3層。そのうち、洪積層は有名な関東ローム層や東京礫層などを含む地層で、約100万年前~約2万年前にできたもの。東京では主に山の手エリアがこの地層。丈夫です。コレに対して、下町は沖積層という新しい地層が中心で、軟弱な地盤。今の建築技術を持ってすれば問題ありませんが、関東大震災では家屋倒壊が多かった地域です。

でも、山の手エリアなら全部高台ということではありません。例えば原宿駅や明治神宮は武蔵野台地上ですが、渋谷駅や恵比寿駅は渋谷川沿いの低地です。

同じように代官山は台地上ですが、お隣の中目黒は目黒川沿いの低地になります。今の繁栄は別として、昔ながらの意味でお金持ちが住むべき場所とするなら、中目黒よりは代官山というわけです。実際、中古マンションの3.3m2あたりの単価で比較してみると、中目黒の176万円に対して、代官山は348万円。倍近くの差がついています。

ちなみに、地図で海抜をチェックしてみると、都心部は20m~30mの高台と5m以下(時にマイナスも場所も)の低地に2大別されます。お金持ちエリアを意識するなら、海抜は20m以上でなくちゃダメとこだわってみましょう。

次ページでは高い場所を選ぶための知識、今どきの高い場所について見ていきましょう。
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