MRタイプ別の転職事情とキャリア戦略

MR(Medical Representatives/医薬情報担当者)は、大きく分けると次の3種類+1に分けられます。それぞれで職務内容や専門性、給与水準などが異なりますので、各タイプの特徴を理解した上で応募先を検討することが重要です。

1.新薬メーカーMR
主に、新薬を開発・製造・販売している製薬会社のMR。人数的には最も多く、ほとんどが正社員であり、給与水準や福利厚生面でも恵まれています。ドクターの薬物治療パートナーとして医薬品に関する高い専門性が求められ、通常は業界内の資格試験に合格して「MR認定資格」を取得します。未経験者の方の多くがイメージするMR像は、この新薬メーカーMRだといえます。

新薬メーカーMRは、処遇面から見ても専門性の高さから見ても、最も魅力が高い仕事です。しかし、近年では未経験者を対象にしたキャリア採用の機会はほとんど見られなくなってきており、一方で応募者はたいへん多いため、募集が比較的多かった頃でも合格率は数%という状況でした(1~2%という場合もありました)。

最近では、未経験者を対象にしたMR募集は、後ほどご説明する「コントラクトMR」にほぼ限られているのが実情です。コントラクトMRに合格してMRとしての経験を積んだ後に、そのまま担当していた(派遣されていた)新薬メーカーに転籍するか、MR経験者として改めて新薬メーカーMRへの転職に挑戦する、というのが未経験者が新薬メーカーMRになる現実的な方法だといえます。
新薬メーカーMR

MRにもいくつかの種類があり、通常一般の人がイメージしているのは新薬メーカーのMRです


2.ジェネリックメーカーMR
ジェネリック医薬品とは、新薬メーカーが開発した特許切れの医薬品と「同じ有効成分を同じ量含んでおり、同等の効能・効果が得られる」と認められた医薬品です。

ジェネリックメーカーMRとは、こうしたジェネリック医薬品を製造・販売している製薬会社のMRです。国の積極的なジェネリック医薬品推進政策もあって次第に増えていますが、給与水準や福利厚生面は新薬メーカーMRほどには恵まれていません。ジェネリック医薬品は医療機関や患者さんにとっての経済的なメリットが最大の訴求ポイントになるため、医薬品に関する専門性はさほど求められず、「MR認定資格」も必要とされない場合も見られます。

ジェネリック医薬品自体は急速に普及してきていますが、ジェネリックメーカーMRの募集数はさほど増えていません。とはいえ、応募者も新薬メーカーMRほどには多くないため、それに比して合格率も高くなります。MRとしての活動内容は新薬メーカーとは異なり、「MR認定資格」取得のための教育も積極的には受けられない場合も多いため、MRとして経験を積んでも、その後に新薬メーカーへ転職できる可能性は極めて低いでしょう。

一方、ジェネリック医薬品業界全体を見ると、国の政策面での追い風もあって今後も成長が大いに期待できます。「専門性の高いMRを目指す」というよりも、「ビジネスとしての成長性に魅力を感じる」という方にとってはジェネリックメーカーMRはやりがいを感じられる仕事でしょう。その場合、ジェネリックメーカー数も多くなっていますので、その企業の将来性を見極めて応募先を選択しましょう。企業の見極め方としては、「企業規模が大きい」「コスト競争力がある」「品質面での評価が高い」企業が有望だといえます。

3.コントラクトMR
製薬会社から販売業務を受託している企業(CSO:Contract Sales Organization)のMRです。人数的には全MRの6%程度で(2016年3月現在)、CSOの正社員または契約社員として、クライアントである製薬会社に派遣されて勤務するのが一般的です。一般に給与水準は新薬メーカーMRよりは低く、ジェネリックメーカーMRよりは高いといえます。ほとんどのCSOでは「MR認定資格」の取得教育も積極的に受けられます。

コントラクトMRは、処遇面も専門性も新薬メーカーMRに準じた魅力があるため応募者も多くなりますが、新薬メーカーMRよりは合格率が高くなっています(10%前後)。また、勤務先が新薬メーカーであれば、そこでの経験を活かしてMR経験者として新薬メーカーへ再度転職できる可能性も十分にありますし、勤務先(派遣先)から転籍のオファーをもらい、それに応じて新薬メーカーに転職する可能性もあります。

4.オフパテントドラッグ(OPD)MR
3種類+1の「+1」がこれで、最近新たに現れてきた新薬メーカーMRとジェネリックメーカーMRの中間のようなタイプです。

具体的には新薬メーカーMRが扱っていた特許切れの新薬(長期収載品と呼ばれます)と、ジェネリック医薬品の両方を扱うMRです。いずれも特許が切れている(オフ・パテント)医薬品だけを専門に扱うところからこうしたネーミングがされています。

ジェネリックメーカーが新薬メーカーから長期収載品を譲り受けてOPD事業を行う場合と、新たな新薬の開発を諦めた新薬メーカーがジェネリック医薬品も扱う場合とがあり、仕事内容はどちらも基本的に変わりませんが、給与水準は元々新薬メーカーだった会社の方が高い傾向があります。