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ビジネススクール(MBA)推薦文の戦略的な作成方法

ビジネススクール(MBA)推薦文の作成方法について解説。ビジネススクールで必要となる推薦文を誰に頼み、どのような内容にするのかは、合否の鍵になります。推薦人の選び方、推薦文の戦略的な依頼及び作成法について説明します。

福原 正大

執筆者:福原 正大

MBA・海外留学ガイド

ビジネススクール(MBA)推薦文の作成方法

戦略的に作成された推薦文は合格への有効な武器

戦略的に作成された推薦文は合格への有効な武器

推薦文など、形式的なものだと考えていませんか? そう思っているあなたは、推薦文は、候補者をほめているものにすぎず、結果として形式的なものだと思っているわけですよね。ガイドも入学準備当初はそう思っていました。しかし、海外ビジネススクールの全て、日本では一橋大学とグロービス経営大学院などが推薦文を必要書類にするのには理由があるのです。
 
<目次>

推薦文はなぜ必要か?

推薦文があなたについてほめていることは当然の前提。その上で、ビジネススクールは、あなたを下記の点に照らし評価しようとしているのです。

あなたが提出しているエッセー、自己推薦文、履歴に嘘はないか?
ビジネススクールでは、あなたが書いているエッセーや履歴が本当のことであるかが大きな関心ごと。推薦文は、第3者の意見を加えることで、あなたが作成した書類一式と、推薦文との整合性を確認するために利用されます。

あなたが戦略的か?
あなたが戦略的な思考を持っているのであれば、自らのエッセーをさらに魅力的にする推薦文を書いてくれる人を選ぶはず。ビジネススクールでは、戦略的な能力があるかどうかを判断するため、推薦文の内容、推薦人を見るのです。推薦文があなたの弱点を補強し、さらに多様性を示しているものかどうかは、重要な判断点になります。

あなたにタイムマネジメント能力があるか?
推薦者を説得し、締め切りに間に合うように推薦文を書いてもらえるか否か。自らのタイムマネジメントができることは当然として、他人(この場合は推薦人)のタイムマネジメント能力があるかどうかも重要であり、この能力を評価します。

ガイドの場合、大学時代の英語の成績が悪いことが懸念材料にあったため、推薦人の1人に「海外との電話会議でリード役を行っていること」を戦略的に書いてもらいました。また、企業留学生ということを踏まえ、ビジネススクールから帰ったあとは会社で経営的なポジションに就く予定ということを会社の経営陣の1名の方に触れてもらっています。推薦者のタイムマネジメントに関しては、同じ会社の方でしたが、こまめに督促をしていました。
 

推薦文を誰に書いてもらうか?

推薦人はビジネスに関わる人がふさわしい

推薦人はビジネスに関わる人がふさわしい

「あなたのことをよく知っている人」ではなく、「あなたが書いたエッセーや自己推薦文の内容を補強することを書いてくれる人」を選ぶべき。そして、ビジネスに関わる人の方がふさわしく、高校時代の恩師や大学時代の先生は、よほど自らの売るポイントがそうした分野でない限り避けるべきでしょう。

ガイドは、受験したビジネスクール全てが2名からの推薦文を要求したため、会社の上司2名に書いてもらいました。
 

推薦文を書いてもらう際のポイント

前述の評価軸を満たすことに加え、あなたが応募するビジネススクールにふさわしい能力の持ち主ということを推薦文には書いてもらうべきです。

ビジネススクールがどういった視点から受験生をみているか、一般的なものを下記にまとめました。入学したい学校のホームページやパンフレットをよく読み、学校が必要とする能力を調べ推薦者にお伝えください。

仕事
  • 仕事の取り組み方・進め方
  • 仕事でどの程度のイノベーションを起こしたか
  • 仕事上でのリーダーシップ(他人を巻き込む力など)
  • 仕事上での経営者としての潜在能力(目の前の仕事だけではなく、会社の経営の視点から仕事をとらえ仕事をしていたかどうか)
  • 仕事での協調性
性格
  • 倫理性
  • 自らの自信
  • 社会性
  • 自立性
能力
  • 数量分析能力
  • 仕事の精緻さ
  • 仕事の早さ
  • コミュニケーション能力
  • 言語能力
  • ロジカルシンキング力
  • 創造性
 

推薦人への推薦文依頼方法

推薦人への依頼はステップを踏んで

推薦人への依頼はステップを踏んで

推薦人に推薦文を書いてもらうためには、当然のことながら、あなたが書いて欲しいポイントをまとめたものを、推薦者に渡す必要があります。下記のステップをしっかりと実行してください。
 
  1. あなたが書いたエッセーや自己推薦文、履歴書を推薦者に送付する。推薦者はあなたのサポーターなので、こうしたエッセーなどを読み、その重要ポイントを推薦文に入れてくれる可能性は高くなる。
  2. どういった内容を書いてもらいたいかを項目別にまとめる。たとえば、エッセーであなたが大きな営業成績を上げたことを強調している場合、上司の推薦文からこの大事な項目が抜けているとビジネススクールでは客観性の観点から不審に思われるだろう。
  3. 自らが書いた弱点をはっきりと推薦者に示す。弱点を克服しようとしていることを書いてもらうようにお願いする。
  4. 提出期限を明確に示し、定期的に推薦文が学校に送付されているか確認する。
 

推薦文作成の注意点

ヘッダーは推薦人の会社のものを
あなたが推薦文を偽造したものではないということを示すためにも、推薦者が勤める会社のレターヘッドと封筒を使う必要があります。

翻訳、文体チェック
英語の推薦文の場合、推薦者の英語が完全ではない場合は、翻訳者を依頼し英語チェックをする体制をとりましょう。また、2名以上の推薦者の場合、この翻訳者を変えてください。文体が同じだと、偽造したものと勘違いされます。

謝礼
推薦人には、謝礼をすることが一般的。相場をMBA取得者に聞いたところ、1万円程度から10万円程度までと非常に幅広いものでした。
 

最後の戦略的切り札とは

全ての書類を送付し必要とされるテストも受ければ、後は合格通知を待つだけ。すぐに合格通知がくればいいのですが、合否ラインがボーダーにいる場合など、時間がかかる場合もあります。その場合の最終手段として、追加の推薦文を送付するという方法があります。

ガイドはINSEADを受験したのですが、英語の点数はINSEAD入学者の最低レベル近辺。そこで、その弱点を補うために、INSEAD出身者の米国人に、「ガイドの英語レベルでINSEADの授業は乗り切れる」旨の推薦文を書いてもらい、追加の推薦文として学校に送付しました。それが奏功して、見事合格しました。


推薦文の重要性を理解していただけたでしょうか? 学校は、候補者をふるいにかけるための書類しか要求していないことを常に頭においておいてください。

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