ED(勃起障害・勃起不全)治療薬はEDの改善に効果的で安全性の高い選択肢とされています。ED治療薬を服用する目的は満足な性行為を行うのに支障のない十分な勃起の維持を助けることにあります。

しかし、薬物である以上、人によってはさまざまな変化が現れることがあります。最近では、その効果をED治療以外に使う試みもされています。ED治療薬の服用をめぐる最近の話題を紹介しましょう。

戦闘パイロットへの処方を検討?

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戦闘パイロットへの処方が検討されたED治療薬

戦闘パイロットへの処方が検討されたED治療薬

治療薬の効用は勃起の機能を正常化させ、性的な刺激に普通に反応し、性行為ができる状態を作り出すことにあります。

ED治療薬は、陰茎海綿体の血管平滑筋細胞に作用し、その血管を拡張させる薬剤ですが、一方で、心肺機能を高めることも報告されております。

08年2月には「心肺機能を向上させる」という効果に着目したイスラエル空軍が高度15,000mの上空を飛ぶ戦闘機のパイロットにED治療薬を処方する検討を始めたことが伝えられました。

この報道は「酸素が欠乏した状態が長く続くと肺の血圧が上昇することから、それを抑える働きのあるED治療薬は有効である」という軍の医療関係者の話を紹介しています。

国際的な競技大会でも話題に 

また、最近はWADA(世界反ドーピング機関)が中心となり、ED治療薬を国際的な競技大会における禁止薬物とするかどうかの検討を進めています。血管拡張効果のあるED治療薬が血中の酸素運搬を促すことで運動能力を高めてしまうのではないかということが論議されたのです。

WADAは高地で行った調査を踏まえて「ED治療薬の服用で運動能力が高まる」との中間報告を発表。この例も、心肺機能を高めるというED治療薬のメリットが注目されたことの証しといえるでしょう。

つまり、ED治療薬を服用すれば血管が拡張する→血管が拡張すれば全身の血行が促される→心肺機能が高まれば体が活性化する――という一連の流れがみえてきます。

主成分は肺高血圧の治療にも

よく知られるように、世界初のED治療薬バイアグラはもともと狭心症の治療薬として開発され、臨床試験で有効性が認められなかったものの、陰茎勃起という、思わぬ副作用がみられたため、ED治療薬に軌道修正して臨床開発が進められてきました。

この主成分シルデナフィルはその後、肺動脈性肺高血圧症という病気の治療にも有効であることが分かり、日本では2008年に承認され、レバチオという薬品名で商品化されました。

つまり、ED治療薬は単なる勃起障害や勃起不全にとどまらず、血流を増やし、血行を促すという働きを通して、心肺機能の向上、ひいては身体機能全般を活性化させるのに役立っているといえるのです。

ED治療薬を飲んで現れる身体の変化を主題としながら、主として心肺機能周辺の説明にスペースを割いたのは、その作用が血管の健康に深く関わっているからです。従って、飲んで現れる身体の変化も血流や血行に関係するものが多いのです。

起きる症状は一時的なもので心配ない

ED治療薬を飲んで起きる症状の多くが血行促進によるものなので、心配はない

ED治療薬を飲んで起きる症状の多くが血行促進によるものなので、心配はない

シアリス、バイアグラ、レビトラ等のED治療薬はあくまでも勃起を助ける血管拡張剤ですから、飲むや否や勃起するわけではありません。勃起には性的な刺激が必要です。この点はED治療薬の効果に対する最も多い誤解の1つです。

身体に現れる変化にはそのような外見的なものはありません。強いて挙げれば、顔のほてりや動悸といったレベルです。ちょうど、お酒を飲んだときに顔が熱くなって赤くなるようなものです。いずれも、血行が促されることによって起きる症状であることは前項で説明したとおりです。

しかし、通常の場合、こうした症状は一時的なものであり、医師の指導に従って正しい服用量や回数を守っていれば、自然に収まるので心配はありません。

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