婦人病・女性の病気/カンジダ膣炎・膣カンジダ

カンジダ膣炎(膣カンジダ症)の治療・予防法

【産婦人科医が解説】疲れやストレスにより免疫力が落ちると発症、再発しやすい「カンジダ膣炎」。軽いものは自然治癒することもありますが、市販の痒み止めで悪化することもあります。カンジダ膣炎の治療法や再発予防のための生活改善策について、産婦人科医が詳しく解説します。

清水 なほみ

執筆者:清水 なほみ

産婦人科医 / 女性の病気ガイド

カンジダ膣炎の治療法・自然治癒

伸びをする女性

軽い症状なら自然治癒することも多いカンジダ。上手にリラックスして免疫力を高めることも大切

カンジダ膣炎の主な症状と原因は「カンジダ膣炎の症状・原因」で解説した通り。

膣内には、弱い雑菌を善玉菌の力で抑えて洗い流してしまう「自浄作用」があります。そのため、軽いカンジダ膣炎なら自然に治ってしまうこともあります。ただ、おりものが多量に出たり、強い痒みがある状態になってしまったら、早めに病院で治療を受けましょう。

病院での治療は、膣内をよく洗浄し、カンジダ真菌を抑える「抗真菌薬」の膣剤を膣の中に入れるだけ。膣剤は1度入れると1週間効き目が続くタイプのものと、毎日1個ずつ膣内に入れるタイプのものの2種類があります。病院で膣内を洗ってもらい、持続タイプの膣剤を入れてもらえば、たいていは自分で膣剤を使わなくても大丈夫です。ただ、かなりひどい場合や何度も繰り返して再発しやすくなっている場合は、自宅でも毎日膣剤を入れたほうが確実な治療になります。

また、膣剤だけでなく、現在は内服薬もカンジダの治療薬として承認されています。性交経験がない人や内診に抵抗がある人は膣剤ではなく飲み薬で治療できます。抗真菌薬3錠を1度飲むだけです。

また、再発性のカンジダ膣炎に対して使える市販薬も発売されていますので、何度もカンジダになるけれどそのたびに病院を受診するのは難しいという場合は、薬局で「再発性膣カンジダの治療薬」を購入してみてもいいでしょう。

外陰部の痒みには、抗真菌薬の塗り薬を使います。この痒みに対してステロイドや市販されている「痒み止め」を使うとかえって悪化してしまうことがあるので、自己判断で薬を使うのはおすすめできません。

時々、自己判断で外陰部に『オロナイン』などを塗ってやり過ごしていました、という患者さんがいますが、これは逆効果。特に、塗ってしみる感じや刺激がある場合は、その薬は続けて使わない方がいいでしょう。
 

カンジダ膣炎の予防・再発予防には生活改善を

カンジダ膣炎を予防するためには、まずカビが増えやすい状態を作らないことが第一。湿気の多い場所はカンジダにとっては「居心地のいい場所」ですから、蒸れを防げるように自分でできる工夫を取り入れてきましょう。具体的には、
  • 綿100%の通気性のいい下着を着ける
  • 厚手のデニムやガードルははかない
  • おりものシートは使わない
  • ナプキンやタンポンはこまめに換える
などを心がけるのが効果的です。

自分自身の抵抗力が落ちると、カンジダのような弱い真菌でも増えやすくなります。なるべく疲れやストレスを溜めないようにし、体を冷やさないように気をつけるなど、免疫力アップに努めましょう。また、糖尿病の人はカンジダになりやすい傾向があります。血糖値が高いと雑菌が繁殖しやすくなるため、甘い物や炭水化物の摂りすぎにも注意が必要です。

ティーツリーというアロマオイルには殺菌作用があるので、薄めてタンポンにしみこませたり、外陰部にアロマクリームを塗ったりして上手に活用してみるのも一つの方法です。自分にあった方法で、上手にカンジタ膣炎の発症や再発を予防しましょう。
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