親の扶養はできるだけ公平に
併せて話あっておきたいのが、親の扶養について。親世帯は高齢化が進めば、体力的にも健康的にも支障が生じてきます。両親の扶養については、同居・別居にかかわらず、兄弟姉妹で公平であることが大切です。同居している子世帯だけが親の面倒を見て、他の兄弟姉妹が無関心では、トラブルの原因となりかねません。下のグラフは、二世帯住宅に暮らす子世帯に対して「親世帯の経済的な扶養は基本的に誰がするのがよいとおもうか」について聞いた結果です。
<親の扶養についての意識> |
資料提供:二世帯住宅研究所 |
息子夫婦同居の回答では、同居者負担と平等負担がほぼ同じ割合になっているのに対し、娘夫婦同居回答では、「同居・別居にかかわらず、子供(子世帯)が平等にする」の回答が多く、平等負担を求める声が高いといえます。
親の扶養と相続問題は深い関係があります。実際に同居をしている人の声の中には、「毎日世話をしている人と、時々遊びに来るだけの人が、いざ亡くなったら平等に取り分を要求するのはちょっと...」という声もあります。しかし反対に、別居の子世帯からは「今まで親にいろいろ面倒を見てもらって良い思いをしていたんだから、面倒をみるのは当然なのでは。」という声も聞きます。
このように、立場によって考え方も感じ方も異なるものです。不満や不安を持たないためにも、同居を始める前に、兄弟姉妹でよく話し合うことをおすすめします。
同居タイプによる配慮の違い
これら、相続・介護の問題も、やはり同居スタイルによって配慮するポイントは異なります。以下にポイントを整理してみました。
- ●息子夫婦同居の場合
- 子世帯奥様にとって、その家の財産が不透明な場合があります。透明であれば、それだけ絆も深まりますので、できるだけオープンにしておきましょう。
- 万一の親世帯の病気などでは、物理的な負担は子世帯奥様になりがちです。相続については子世帯奥様への配慮も必要でしょう。
- ●娘夫婦同居の場合
- 子世帯ご主人に対しても、財産を明確にしておくことが必要となります。
- 娘夫婦同居の場合は、兄弟姉妹との間で資産の相続について同居以前に話し合っているケースが、息子夫婦同居くらべてかなり多い傾向があります。兄弟姉妹間で資産の継承問題を解決しておかなければ、同居が実現しにくいことも予測されます。同居計画の段階で、しっかり話し合うことをおすすめします。
介護や相続の問題は、楽しい話題ではないだけに、ついつい口に出しそびれてしまうものです。しかし、うやむやにしておくと、もめ事の種になりがちな問題でもあります。親世帯も子世帯も、現実問題として割り切って冷静に話し合えると良いですね。