同居のルール決めは「何となく」になりがち
では、このような交流を含めて、二世帯同居のルールはどのように決めているのでしょうか?いくつかの項目について、ルールを決めたか決めないかなど、その状況についてお伺いしてみました。子世帯・親世帯のズレが多少あるにせよ、最も高い項目である「費用負担に関するルール」でも、ルールを事前に決めたという回答は5割にとどいていません。その他の項目に至っては1割~2割弱程度に過ぎず、「何となく決まった感じ」でいろいろなルールが推移してきているのが実態のようです。ではさらに詳しく、「子世帯の世代別にみたルール決めの状況」を分析してみましょう。
子世帯の世代別にみたルール決めの状況
20年後50代(同居当初30代)のルールを決めた率が最も高くなっています。これは、子世帯・親世帯の両方が、年齢が上過ぎず下過ぎず、お互いはっきりモノを言える関係だからなのではないかと推測できます。一方、同居当初20代では50代の親世帯が、40代以上の世代では自分達がイニシアティブをとるというように、どちらかの世帯に決定権がシフトしていたため、あえてルール決めがされなかったのではと思われます。次は「建物の分離度」で比較してみます。
建物の分離度別にみたルール決めの状況
建物の分離度が低い程、いずれの項目においても、ルール決定をしたという回答が高くなっています。やはり、共有スペースが多いほど「決め事」をしなくてはならない必要性がでてくるようですね。
このような結果から、何となく約束事はしたいが「ルールを決める」となるとちょっと“角がたつ”という日本的な感情があるのがうかがえます。また、親世帯の方が子世帯に比べて全体的に「同居当初に決めた」と言う意識が低く、かたく考えたくない傾向があると感じます。年齢が高い世代ほど、キチンとするのは「はばかられる」意識が強いという現われではないでしょうか?世代間の意識の違いが垣間見られる点ですね。
それでも、同居のルールは最初に決めるべき
1.費用負担
2.家事分担
3.共有空間の使い方
4.子供(孫)の教育
5.二世帯の交流
同居がスタートしてから「こうしておけばよかった」と思っても、なかなか言い出せず、揉め事の種になることもあります。最初に決めるべきことは決め、不満や問題点はざっくばらんに話し解決することが大切なようですね。
いかがでしょうか?20年同居経験者の方々の暮らし方を参考にしますと、やはり 二世帯同居には、それぞれの世帯は「別々」という意識を持ち、同居のルール決めは「キチンと」という姿勢を持つ反面、家族の変化とともに暮らし方も変化させていくという柔軟さも必要であると感じます。
お互いの価値観・生活状況(体力・財力・時間など)に配慮できる心のゆとりが、いつまでも快適に二世帯同居をうまく続けるコツといえるようです。
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