眠くなるメカニズム……睡眠促進物質と体内時計が2大要因

眠り猫

行儀よく座って眠る猫は、ノンレム睡眠中です

睡眠中でも、脳の機能がすべて止まるわけではありません。眠らせるための脳が働いているからこそ、私たちは眠ることができるのです。では、どういう仕組みで眠くなるのでしょうか?

眠気を決める2大要因は、睡眠促進物質体内時計です。

長い時間、運動を続けていると、筋肉に疲労物質がたまって、十分な力が発揮できなくなります。脳でも同様のことが起こり、脳が働く時間と量に比例して、睡眠促進物質がたまってきます。現在、睡眠促進物質としては、プロスタグランディンやサイトカイン、神経ペプチドなどが知られていますが、それぞれの詳しい働きはまだよく分かっていません。

睡眠促進物質が増えすぎると脳が壊れてしまうので、睡眠促進物質の生産を止め、さらにこれを分解するために、脳の働きを止めて眠る必要があります。このメカニズムを、恒常性維持機構と呼びます。徹夜明けのときに深く長く眠るのは、主にこのメカニズムによるものです。

真っ暗な実験室で生活していても、人間はある程度、規則正しく眠ったり目覚めたりします。これは、体に組み込まれている体内時計のリズムに従って、生きているからです。体内時計は脳にある中枢時計と、体中のあちこちにある末梢時計がありますが、私たちの中枢時計の1日は24~25時間周期です。

体内時計の周期に従って、夜に眠くなり、朝には自然と目覚めるリズムを、概日リズムといいます。概日とは「およそ1日」の意味です。徹夜明けの朝に、眠気が少し軽くなるのは、この概日リズムによるものです。また、人間は睡眠だけでなく、体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫なども概日リズムの影響を受けています。

睡眠促進物質と体内時計のほかにも、眠気の強さを決める要因として、ストレスや悩みなどの精神的な要因、光や音などの環境要因、さらには病的要因などがあります。

ノンレム睡眠とレム睡眠……ヒトの睡眠周期は約1時間半

睡眠中の脳波には、一定のリズムがあります。寝ついてから次第に睡眠が深くなり、最も深くなってしばらくすると、今度はだんだん浅くなってきます。多くの人で睡眠の周期は約1.5時間あり、一晩に4~5回ほど繰り返されます。

睡眠が浅くなったところで目が覚めると、眠気が少なくスッキリ起きられます。ですから、寝ついてから6時間や7時間半、9時間たったころに目覚ましをセットしておくと、心地よい朝を迎えられます。

睡眠は、深さによって4つの段階に分けられていますが、性質の面でも2つに分けられています。それは、ノンレム睡眠レム睡眠です。レム睡眠とは Rapid Eye Movement の頭文字で、眠っているのに目玉が盛んに動いている状態です。

ノンレム睡眠中は、脳全体の活動が少なくなるので、脳が休んでいる状態です。脈拍数や血圧、呼吸数も減り、内臓も休んでいます。猫がアゴを前脚にのせるなどして、行儀よく眠っているときの睡眠がこれです。

ノンレム睡眠中には、成長ホルモンが分泌されたり、病原菌やウイルスに対する抵抗力が強化されたりします。成長ホルモンは、子どもを成長させるだけでなく、日中に痛んだ細胞をメンテナンスしてくれるので、大人にとっても重要なホルモンです。

眠り始めには少ないレム睡眠も、朝に近づくにつれて増え、睡眠周期の2~3割を占めるようになります。レム睡眠中は、ほぼ全身の筋肉がゆるんで、体が休んでいます。猫が横に倒れて眠っているときが、この状態です。

しかし、脳は起きているときと同じくらい、盛んに活動しています。レム睡眠中に目が覚めると、夢を思い出しやすくなることから、このときに記憶を定着させたり、起きているときの行動のシミュレーションをしたりしていると考えられています。

眠気が起こるメカニズムや睡眠のリズムは、理解できましたか? あわせて寝つきや目覚め、日中の眠気から自分の睡眠の質を診断したい方は「世界標準の快眠度チェックリストで、睡眠の質を測ろう」を、ぐっすり眠れるベッドや枕、照明など、ベストな快眠環境についてお知りになりたいときは「睡眠環境・寝室・ベッドの工夫」を、夜にぐっすり眠るために必要なことについては「快眠のための生活習慣」をお読みください。


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