文章:山口 由紀(All About「二世帯住宅で暮らす 」旧ガイド)
親子で老後のことについて話し合ったこと、ありますか? |
お伺いしたのは「親の老後について親子で話をしているか」を軸に、具体的には、どのような話がされているのか、また子世代の思いや希望はなど、現状と将来についての意見をお聞きしました。ご家族の将来を考えるきっかけになれば、幸いです。では、ご一読下さい。
きっかけが無いと話しにくいのが「老後の話」
まずは、親子で老後について話したことのある人とない人の比率ですが、今回はほぼ同数で、男女の差についても、大きな傾向は見られませんでした。そこでまず、話をしたことが無いと答えた人に「なぜ話さないのか」その理由についてお伺いしましたので、ご紹介します。もっとも多くあがったのが、●健康だから、元気だから、若いから ●まだ現役だから |
という「まだまだ先の話だから」という回答です。これは、子世代が20~30代、親世代が50~60代に多く見られました。やはり50代・60代では、親子ともに、老後をまだ身近に感じて居ないと言うことが窺えます。また、世代に関わらず
●姉妹なので家を継がないものと暗黙の了解がされているので ●妹だから、末っ子だからなど ●自分以外の兄弟姉妹に、面倒を看る人物が居るから |
など、自分は面倒を看る可能性が少ないということで、話をしていないケースも、見受けられました。他の兄弟姉妹がその役割を担うということで、家族間の同意が得られているのであれば、問題は無いケースですね。しかし、話し合わなくてはならないと思っているのに、話していない理由としては、
●独身のため現状ではどうすることもできない 【30代・男性】 ●東京で仕事をしているので田舎には帰れない 【30代・女性】 ●どんな形であれ面倒を看るが、形を約束できないから 【30代・男性】 ●期待だけ先行されないよう、特別何も話していない 【30代・男性】 ●ベストな解決案がないので、話し合っても仕方ない 【40代・男性】 |
など、現状を考えると話し合っても良い解決策が見つけられないため、敢えて話をしていないケースも見受けられます。この回答は、30代後半~40代にかけてが多く、親の老後が現実的になるほど、気持ちの上では気にしてはいても、老後について軽く口に出すことができなくなってくるという傾向があるようです。一方、
●何か起こらなければ(きっかけがなければ)話し合わなさそう【40代・男性】 ●ちょっと気まずい感じがするから 【40代・男性】 ●親が積極的に話をしたがらない【40代・男性】 |
など、話し合うチャンスが掴めないという回答が、年齢の高い方から多く上っていました。確かに、親世帯が高齢であればあるほど、何も無いのに「介護が必要になったら」とか「ひとりになったらどうする?」などの話を持ち出すと、「縁起でもない」という空気が漂い兼ねず、両親に面と向かって「老後はどうするの?」と言う話を切り出すのが、なかなか難しいのかもしれません。しかし、いつまでもそのまま...という訳にも行かず、
●両親が年をとってきたので、今後の同居については、帰省の時話します【40代・男性】 |
と、具体的な話をしなくては...という覚悟をしている人もいました。老後の話は、タイミングが難しいのかもしれませんね。
話し合いは「イメージ共有」と「具体策検討」の2タイプ
では、何らかの話をしている人は、どのような話をしているのでしょうか。兄弟との同居がすでに始まっていたり、両親が揃っているかいないかなど、ご家族の状況で内容に差が出る傾向が有りますが、大きくふたつの傾向が見られました。ひとつ目は、●自分が結婚した後、健康面などの問題を踏まえて将来的な同居は視野に入れようと話している【20代・男性】 ●自分はずっと都内に住むことを考えており、一方両親は遠くに住んでいるので 同居は考えていないが、両親のどちらかが健康ではなくなった場合等は 自分が責任をもつ旨を伝えており、両親も納得している【30代・女性】 ●現在住んでいる家は階段があるので、私(娘)が住み、 両親はバリアフリーのマンションに住もうか?と漠然と言っている【30代・女性】 |
など、具体的ではないのですが、将来の方向性については何となく共有している、という「イメージ共有タイプ」。もうひとつは、
●両親と住むのは誰 ・両親はどこに住む・財産分与の件 などを話している【20代・男性】 ●祖母の老後(86歳)・父親の引退後の住まい・実家の建て替えの検討(建て替えるか、買い替えるかなど)・兄と私の将来(主に仕事、結婚、住まい)について。 「20代・男性】 |
など、具体的な内容を整理し、懸案事項をひとつずつキチンと話し合っている「具体策検討タイプ」に分かれました。
では、続きまして、親の老後について、もう少し具体的な声についてみていきましょう。