使用頻度の高いトイレ、洗面台を介護室に設置しよう

実際に住宅全体が上に挙げた3つの条件を限られた面積の中で満たすことは難しいことです。最小限、頻度の多い、一日に何回もする生活行為だけは自立してできるようなプランを目指しましょう。具体的にはトイレ、手洗い洗面、薬を飲む、といったことができるよう、トイレと洗面台には最低車椅子で行けるように備えていくことです。

しかし、車椅子の方が居る部屋から、廊下を通り、トイレ、洗面所へ行くことを想定すると、廊下の幅、特に曲がり部分を広げ、トイレの幅を広げなくてはなりません。限られた面積の中でトイレや廊下に面積を割くことは、他の部分の面積をどこかしら削ることになります。仮にそれができたとしても、高齢者にとって慣れない車椅子を操作して急いでトイレに行くのはストレスが大きいでしょう。部屋の中にトイレと洗面台を設置してしまうほうが、使いやすくプランの制約も少ないと思います。これをヘーベルハウスでは「プライベートスイート」と呼んでいます(下図)。「スイート」とはホテルのスイートルームやスーツと同じ意味で、「ひと揃い」という意味です。プライベートスイートにすれば、廊下を通ることなくトイレや洗面ができますし、介助スペースの確保も容易です。また、ベッドで服を脱いでからトイレに行く、といったことも気兼ねなくできるようになります。

プライベートスイートは、6畳+押入れ1畳分以上の広さがあれば、どの部屋でも構いません。高齢者が長い時間を過ごす部屋ですから、日当たりや風通しのよい、居住性に優れた部屋が理想です。リビングルートがとりやすい居間の続き和室や、リビングと同じ階にある部屋がいいと思います。畳は外しての改装が簡単ですから、段差がなければ和室でも構いません。将来トイレと洗面台をつける部分は2畳分あれば充分です。トイレは車椅子でのアクセスや介助スペースを考え、側面が全て開く引き違いや3枚引き戸がいいでしょう。つまり1畳大の押入れの中をトイレにするイメージです。将来の症状は予想できませんので、仮に左右どちらかの麻痺が生じても対応できるよう、壁と便器の位置関係が左側、右側になるよう2通りの改装案を考えておくと安心です。配管や電気配線をあらかじめ準備しておくと改装の費用が抑えられます。
■プライベートスイートの設計
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資料提供:二世帯住宅研究所
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