車椅子での移動に必要なことは?
1)段差を無くす車椅子の自走想定範囲内では段差をなくす必要があります。段差があると車椅子の前輪が引っ掛かってしまうからです。この感じはベビーカーに似ています。介助者がいれば、介助者の腕力と高齢者の体重のバランスにもよりますが、10cm程度の段差はベビーカーのように前輪を持ち上げて乗り越えることができます。しかし、一般的な高齢者が自走している場合には前輪を持ち上げて乗り越えることは難しく、段差のない範囲でしか動き回ることが出来ません。
2)車椅子ルートの巾を確保する
車椅子の大きさは、介助用と自走用で異なります。自走用車椅子は、車椅子を操作するリングの部分があり、介助用よリ巾が広く64cm程度あります(下図1)。建具の巾は普通これ以上あるものがほとんどですので、直線であれば自走用車椅子は通ることができると考えてよいでしょう。問題は曲がるためのスペースの確保で、廊下から直角に曲がって建具を通ることを想定すると、廊下か、建具の巾を通常より広げる必要があります。一般的な有効巾75cm程度の建具の場合、廊下巾は最低でも有効90cm以上必要です。逆に建具を最小限有効80cm巾以上に広げれば普通の廊下の有効巾約80cmからでも曲がることができます(下図2)。これは最小限の寸法ですので、ぶつかったりやり直したりしないでストレスなく曲がるためには10cm程度は余裕を持たせておくことをお奨めします。
■図1:車椅子の大きさ:介助用と自走用 |
資料提供:二世帯住宅研究所 ※グラフをクリックすると大きく表示されます |
■図2:車椅子が曲がるときに必要な寸法 |
資料提供:二世帯住宅研究所 ※グラフをクリックすると大きく表示されます |
3)介助者のスペースを確保する
最大限自立して暮らせるように想定しても、最終的には介助が必要になることも考えておかなくてはなりません。特に、車椅子から便器や入浴のためのシャワーチェアに乗り移る時には介助が必要な場合が多いでしょう。その場合車椅子のスペースの他に、介助者が居るスペースも確保します。例えばトイレの場合、便器の横に50cm程度の空きが必要とされています。
では、これらをどのようにプランに取り入れれば良いのでしょうか。次ページでは、その方法についてご紹介します。