6)青少年の2/3以上は、今の家庭や学校に満足している
7)親による嬰児殺事件はこの20年間減少傾向にある
8)老人の自殺率は30年前よりも最近の方が高い
青少年の非行、家族による殺人事件、自殺といった暗いニュースは毎日のように耳にしますが、これらも実は全てYESです。
6)青少年の7~8割は家庭や学校に満足感を持っています(総務庁「青少年の連帯感などに関する調査」、内閣府「世界青少年意識調査」による)。
7)親が生後間もない子を殺す嬰児殺は1960年代は200件前後、1980年に170件以上ありましたが、80年代以降減り2001年には33件になっています(警察庁「犯罪統計」による)。
8)65歳以上の自殺率(10万人当たりの自殺数)も1975→2005年の30年間で約半分、1950年と比較すれば約1/3になりました。
グラフ6:65歳以上の自殺率の推移 (厚生労働省 人口動態調査特殊報告) |
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事実を冷静に見よう
この8つのクイズは、私たちが普段耳にしている情報から見ると、意外に思えるものが多かったのではないでしょうか。湯沢先生は、このような認識のずれが起きやすい要因として、1)マスコミが珍しい現象を探し出して否定的、批判的に扱いがちであること
2)日本人は心配性で、活字になったものを信じやすく、実体験なく先走った意識を持ちやすいこと
3)昔は良かった、先行きは暗い、という見方をいつの時代もしがちであること
の3点を指摘され、マスコミに踊らされることなく事実をマクロな視点で見れば、日本の家族は昔と比べればはるかに恵まれた状況にある、との見解を述べられました。
私自身も、住生活総合研究所における研究活動でも、先入観に囚われずに住生活の実態を捉えることは常に意識するようにしています。調査対象が家を建てられた方であることが多いからかもしれませんが、世間で言われるような家族問題は少なく、幸せな家庭が多いのです。もちろんその中での波風は多々あるのでしょうが、総じて言えば、決して今の日本の家族は悪い状態ではない、という見解には同感です。
なお、住生活総合研究所では今回ご報告したセミナーに続いて、2008年の9月に、生活文化プログラム「親子と家族の現在形」--日本の家族、欧米の家族のいま--と題した4回連続セミナーを協賛します。主催は(財)国際交流文化推進協会で、湯沢先生も講師をされる予定です。こちらについても追ってご報告したいと思います。