8つのクイズ
湯沢先生は日本の家族動向について、8つのクイズを聴講者に投げかけました。それを以下に紹介します。(順序や言い回しはセミナー当日のものから一部変えています)1)最近、夫婦から生まれる子供数の平均は、30年前より大幅に減っている
2)婚姻届けをなかなか出さない夫婦が50年前より増えている
3)離婚する夫婦の同居期間は30年前の方が長かった
少子化、できちゃった結婚、成田離婚というよく聞く言葉の印象から言えば、3つともYESのような気がしますが、実際には全て間違いです。それでは順番に解説します。
1)夫婦の結婚後15年間で生まれる子供数の平均は戦後1957年の3.6人をピークに減少して1972年には2.2人になりましたが、以降ほとんど横ばいで2005年が2.1人です。少子化の議論でよく出てくるのは「合計特殊出生率」という指標で、1970年に2.13人だったものが急減して2005年には1.25人になりました。これは合計特殊出生率が生まれた子供の数を15-49歳までの女性全員の人数で割る、つまり高校生や独身OLのような結婚していない人を割り算の分母に含めてしまうからで、晩婚化で10代20代の未婚女性の数が増えたので少なくなった、というからくりになっています。
グラフ3:合計特殊出生率と完結出生児数 人口問題研究所 出生動向基本調査 註:-2005年のみ調査間隔が3年、他は5年 |
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2)1950年には1ヶ月未満で婚姻届を出した夫婦は17.9%で、1年未満でも75.5%。2005年の1ヶ月未満が72.6%、1年未満が92.7%という数値よりもかなり低くなっています(厚生労働省 「人口動態統計」による)。昔は「足入れ」といって、嫁を迎えても家族になじみ、子ができるまでなかなか届を出さなかったそうです。
3)は離婚夫婦の同居期間の平均を求めた統計があります。1950年は5.3年、1975年は7.1年ですが、80年前後に急激に増加し2005年は10.4年です(厚生労働省 「人口動態統計」による)。昔は見合い結婚が多かったせいかもしれない、と湯沢先生は推測しておられました。