二世帯住宅の9割以上は、内部で行き来できる計画を取り入れています。今回は、そんな内部の行き来についてみていきましょう。 |
1.内部行き来の必要性
まず内部で行き来するメリットについて整理したいと思います。そのために日常生活における世帯間の協力を、次の3つに分けて考えます。世帯間の協力には入院や旅行など非日常の場合や、経済的な援助や精神的な支えといったところも大きいのですが、ここでは行き来に関係する日常のもの=以下の3つに絞って話を進めます。1.育児の協力:不在時の世話、送り迎えなど
2.家事の協力:食事調理、洗濯物干し、買い物、掃除など
3.介護の協力:食事を運ぶ、見守り、介護、訪問介護ヘルパーの応対など
1.育児の協力
結論から言えば育児の協力については内部で行き来できる、できないにあまり影響されないと考えていいと思います。親世帯でお孫さんの世話や送り迎えをする場合には、実際にお孫さんを世話する場は、家の外か、親世帯のスペースになると思いますので、子世帯スペースとの行き来をする必要がないからです。実は一つ屋根の下である必要もなく、隣居、近居であれば充分です。
2.家事の協力
家事の協力については、夕食が別々か、一緒かで大きく変わります。夕食が別々の場合は基本的に夜間の行き来はなく、洗濯や掃除の協力も少ないため、内部行き来の必要性は低いと思います。逆に夕食が一緒の場合は夜間の行き来がありますので当然内部行き来が必須になります。但し夕食が別々でも共働き等で物干しを頼む場合などは、行き来が必要な場合もあります。
3.介護の協力
介護の協力については、外部サービスの利用が浸透してきているものの、同居家族の見守りは欠かせません。介護が必要になると夜間に食事を運んだり、様子を見たりが頻繁になり、内部での行き来が頻繁になります。行き来ができない場合は靴を履き、鍵を持って相手の世帯に行くことになりますし、雨になればこれに傘が加わります。内部で行き来できない二世帯住宅にお住まいの方からは、介護時の行き来の不便さを指摘する声をよく耳にします。
つまり、内部行き来が必要なのは、夕食が一緒の場合、家事協力上必要な場合と、見守りや介護の場合の3つがあるといっていいでしょう。ここで重要なのは親世帯の高齢化が進むにつれ、夕食が一緒になったり、見守りや介護が必要になること、つまり将来的に行き来がしたくなる場合があることです。現在は行き来が不要でも、将来必要になることがある、ということを考えながら二世帯住宅を作ることが必要です。