夕食が別々の場合、独立二世帯とするのが理想ではありますが、敷地や面積の制約、世帯間コミュニケーションの関係で玄関を共用にした構成は実際には多く見られます。両世帯が完全に分かれている独立二世帯とは違い、共用部分がある共用二世帯の場合は、各世帯専用の部分と共用の部分のゾーニングが二世帯の構成の鍵になります。今回は玄関のみ共用の共用二世帯を念頭において、その構成を解説して行きましょう。ではご覧ください。
(1)基本は重層型
共用二世帯の場合、玄関が共用で玄関ホールから親世帯、子世帯専用のスペースに分かれていく構成がほとんどでしょう。連棟型で左右に分かれることは実際には稀で、多くは重層型で上下に分けています。これは、連棟型とすると2階への階段が2つ必要になってしまうことに加えて、共用二世帯の場合は独立二世帯に比べて世帯間のプライバシー確保が難しいので、より行き来のハードルが高い「階で分ける」構成が向いているためです。
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左:連棟型/右:重層型
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(2)共用スペースのゾーニング
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共用玄関は建物の端に設け、1階を親世帯スペース、階段を上がった2階を子世帯スペースというように玄関ホールから分かれていく構成 |
では、共用二世帯の場合のゾーニングはどうすればいいのでしょうか。基本は共用スペースから各世帯のスペースに分かれていく構成とすること、逆にいえば各世帯のゾーンを共用スペースで分断しないようにすることです。一般的には共用玄関は建物の端に設け、1階を親世帯スペース、階段を上がった2階を子世帯スペースというように玄関ホールから分かれていく構成とします。
玄関を建物の中央に持ってくる場合も実際にはよく見かけます。それでも【下図左】のように、親世帯ゾーンを子世帯の動線が分断する構成は私の考えでは避けた方がよいと思っています。しかし【下図右】のように、玄関を入って右側のゾーンが両世帯共用の部屋、例えば応接に使う座敷などの場合は部屋構成としては例えまったく同じであっても問題ないのではないかと思います。このように、共用二世帯のプランの良し悪しは、それぞれの部分が各世帯専用なのか、共用なのかによって変わってくるのです。
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左:親世帯ゾーンを子世帯の動線が分断する例
右:玄関を入って右側のゾーンが両世帯共用スペースの例
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