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二世帯住宅で暮らす/親の介護を考えた工夫・プランニング

【実験】車椅子で室内を移動してみる(2ページ目)

二世帯住宅、二世帯同居には欠かせない、将来の親世帯介護の問題。車椅子で、家の中を移動する実験を行い、生活のしやすさを実際に確かめてみました。実験レポートをお届けします。

提供:旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)
松本 吉彦

執筆者:松本 吉彦

二世帯住宅で暮らすガイド

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3.キッチンで水を出す

車椅子
【写真3-1】シンク下が開いているタイプのキッチンで、体を近づけることができたので、手を伸ばすと水栓に届きました
キッチンで水を出す機会は、調理の場合だけでなく、薬を飲む場合など、意外と回数が多いものです。車いすに乗ったままで、水を出せるかどうか試しました。

今回、実験したキッチンは、シンク下がごみ置きスペースとして開いており、車椅子のフットレストの部分がここに入ります。そのため、扉付きキャビネットタイプより近づくことができ、車椅子に座ったままでも、手を伸ばすと、なんとか水栓のレバーに手が届きました【写真3-1】。
手が届くかどうかぎりぎりの寸法だったため、個人差があると思われますが、シンク下にキャビネットがあるタイプより数cmは有利であり、膝が入るように設計される身障者用キッチンほどではなくても車椅子で水栓を操作しやすくなるといえそうです。

ただ、身障者用キッチンでは、車椅子でも調理しやすいよう、カウンターの高さが低く、シンクも浅いものになっていますが、こうした通常の高さのカウンター(高さ85cm)では、シンクの中や調理台に置いてある鍋をのぞくことはできず、力も充分に入らないため、本格的な調理は難しいと思います。

しかし、コップに水を入れる程度であれば充分でしたから、日常生活では自立してできる行為が増え、大きな使い勝手の差を生むことでしょう。

4.車椅子を2階に運ぶ

車椅子
【写真4-1】車椅子を2階に運ぶ実験も行いました
車椅子を階段で2階に運び上げる実験もしてみました。車いすの重さは15kgくらいで、ちょうど自転車と同じくらいの重さです【写真4-1】。


車椅子
【写真4-2】車椅子を階段で持ち上げる作業は、ふたりがかりでも大変
実際にやってみると、回ってしまう車輪は持つことができないので車輪の前後にあるフレームを持たねばならず、2人がかりで持ち上げることになりました【写真4-2】。階段の幅は廊下と同様に80cm弱で、直角に曲がっており、手すりもあるため、幅はぎりぎり。不自然な姿勢でゆっくり慎重に持ち上げました。このように階段を使って車椅子を運ぶのは大変で、日常的には難しいと思います。

エレベーターがあればこのような苦労はなくなりますので、最初からエレベーターをつけることが難しい場合でも、スペースの確保と基礎の準備だけはしておくと将来安心です。

階段にレールを固定し、椅子が上下するタイプの階段昇降機を利用する場合、人は乗せられますが車椅子は運べないので、車椅子を階段上下で乗り換えられるよう、各階に用意しておくのが現実的でしょう。また、階段昇降機は階段の有効幅を狭め日常の通行の障害になる場合があるので注意が必要です。





以上、今回は車椅子を室内で使ってみる実験をご紹介しました。街中や施設では見かけるものの、実際に車椅子に乗ったり、家の中で使ったりした経験のある方は少ないのではないでしょうか。この記事で少しでもイメージしていただけたらと思います。


続編で車椅子で家の内と外を行き来する実験をご紹介します。
【実験】車椅子で家と外を行き来してみる
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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