最新の二世帯住宅事情
家族構成や経済事情によって変化を遂げてきた二世帯住宅。では、最近はどのような形になっているのでしょうか?ヘーベルハウスが実施した二世帯住宅に関する調査によると、約30年前は、息子夫婦との同居が76%、娘夫婦との同居は23%。2013年では、息子夫婦同居が65%と減少し、逆に娘夫婦同居が34%と増加しています。30年間で、娘夫婦同居が約1.5倍に増えました。その背景として見えてくるのは、子世帯が同居を決めた理由が「長男・長女だから」が減少して、「育児協力のため」が増えていることがあります。
以前は、孫の教育に親世帯が口を出さないほうがいいとされていました。しかし、最近では親世帯が孫の教育に関わっている暮らし方も増えてきました。
共働き夫婦の二世帯住宅の場合、日中は親世帯が子どもと一緒に暮らすことになります。そのため、食事や遊び、孫が病気になったときの通院や看病などを親世帯が担うことが多くなりました。親のサポートを受けながら子世帯は共働きをして、子世帯が帰宅後、子どもを引き取ります。息子夫婦同居か娘夫婦同居かなどで子世帯の交流に違いがありますが、共働き夫婦にとって親世帯は心強い存在になっているようです。
親世帯の将来不安に備えながら、共働きで子育てサポートが必要な子世帯の現状を考えれば、二世帯同居は有効な解決手段となることでしょう。しかしながら、二世帯同居が注目されるのは具体的な不安の解決だけではなく、より漠然とした不安に対して、何が起きても家族が一緒という安心感が得られるからではないかと私は感じています。
【図6】家族のかたちと、同居生活志向、建物分離度との関係 |
60年代までの大家族一体同居の時代にはべったり同居の住宅が、70~80年代の核家族には独立二世帯がマッチしていました。少人数になるほど、融合して一緒に暮らすことの安心感が重視され、より融合した二世帯となるのではないでしょうか。
少人数化が進み、細分化されすぎた家族が再び一緒に暮らすために集まる、という側面が最近の二世帯には感じられます。このような二世帯同居には、独立性を高める提案に加えて、融合して一緒に暮らす楽しさを感じられるような二世帯住宅が求められていくようになると思います。