あたりまえになった二世帯住宅
1980年代の後半から、二世帯住宅は一般化します。この背景として、バブル期の土地価格の高騰がありました。住宅の一次取得層である子世帯の世代が土地付き一戸建てを購入することは首都圏では不可能といえるほどの価格となり、親の土地に住むか、長距離通勤か、という選択肢を迫られたケースも多かったと思います。また、相続に関して当時の税制は現在より厳しく、土地価格高騰の結果高額の相続税がかかり、相続税を払うために土地の一部を売却するケースも頻発しました。自分の居住している土地に関しては相続税が減額されたので、親の土地に住んでいると相続に有利であり、それが二世帯住宅の需要につながった面がありました。
もう一つの理由として、共働き核家族の増加が指摘されます。共働き家庭は1980年には専業主婦世帯の約半分であったものが80年代に急増し、90年代には専業主婦世帯とほぼ同数となります。共働きでの子育てには保育施設などの整備が充分ではなかった社会で、親のサポートは欠かせないものであり、二世帯同居の大きなメリットになりました。共働き世帯は2000年以降さらに増え、今では専業主婦世帯の数を大きく上回っています【図3】。
二世帯住宅の普及に伴い、二世帯近居も注目されるようになります。特にバブル崩壊後、土地が安くなり金利が低くなると、子世帯が土地、建物を同時にローンで購入できるようになりました。より独立志向の高い、プライバシー確保を志向する層には親と近居し、親と頻繁に行き来しながら暮らすという選択肢が加わりました。以後土地が高くなると二世帯住宅が増え、安くなると減る、という傾向が繰り返されるようになります。
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