ストレス/ストレスフリーの思考術

欲求不満の解消法…フラストレーションに強くなる方法

【公認心理師が解説】欲求不満(フラストレーション)は誰にでも生じるものですが、すぐに解消しようとすると、「欲求不満耐性」が育たなくなってしまいます。自分の気持ちを落ち着かせながら、フラストレーションに強くなる方法を紹介します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

欲求不満の原因は? フラストレーションに振り回されないために

欲求不満を解消する方法

自分はどれだけ欲求不満になっているのか……状態をチェックしてみましょう

欲求が満たされない状態が続き、心が不安定になることをフラストレーション(欲求不満)と呼びます。フラストレーションは誰でも感じることのある自然な感情ですが、フラストレーションに伴って不快な気分が続く場合、しばしば次のような気持ちになってしまうものと思います。
  • イライラが続いて落ち着かない
  • 感情をリセットしたくなる
  • ささいなことにも不満を感じる
  • 不安で仕方がなくなる
  • 気分転換がうまくできない
以上のことに心あたりがある場合、欲求不満とのつきあい方を見直してみるとよいかもしれません。

<目次>  

欲求不満の解消法を間違うと、さらに悪化も……

フラストレーションに伴って不快な気分が長引いてしまう方は、次のような解消法で気持ちを鎮めようとしていることがあります。
  • 物を蹴ったり、壁に頭をぶつけたりする
  • 怒鳴る、八つ当たりをする
  • 衝動的に買い物や暴飲暴食をする
  • すぐに話を聞いてもらう
  • 爪を噛む、髪を抜く、自分の体を傷つける
こうした行動が増えると、さらに自分を苦しい心境に追い込んでしまいます。
 

欲求不満耐性を強くする4つのコツ

フラストレーションがたまって不快な気分が長引く場合には、以下の4つのことを行いながら、「欲求不満耐性」を高めていくとよいでしょう。
 
  1. 不快な感情はすぐに吐き出さず、いったんぐっとこらえてみる
  2. 状況が好転することを期待して、少し様子を見てみる
  3. 合理的に解決できる方法がないか、考えをめぐらせてみる
  4. 他人に相談する前に、気持ちを落ち着かせる
  
上の4つが難しいと感じる場合、まずは次の2つから始めてみるとよいかもしれません。

ひとつは、自分の感情をありのままに感じ、認めることです。不安や苛立ちが募ったときには、その感情を否定せず、次のように感じてみましょう。

たとえば、「私は今、こういう状況だから不安を感じているんだ」「こういうことをされて不快に思ったから、イライラしているんだ」というように、不安や苛立ちの背景も含めて、自分の感情をまるごと認めることです。すると、気持ちが落ち着き、自分のストレスを冷静に受け止められるようになるでしょう。

反対に極力控えたいのは、すぐに話を聞いてもらったり、物にあたったりすることです。こうした行動を繰り返していると、欲求不満耐性はさらに弱くなってしまいます。

不快な感情はいったん抱えて、感情や考え方を整理すること。そうして冷静になった後に他人に相談し、自分の言動を振り返ると、物の見方や考え方の幅が広がります。すると、ピンチを切り抜ける方法も習得しやすくなります。
 

気持ちが高ぶったときには、呼吸法で気持ちを鎮めよう

欲求不満耐性を高めるために、もうひとつお勧めしたいのが呼吸法です。不安や苛立ちが強くなったときには、大きく息を吐いてみましょう。感情が高ぶっていると呼吸が浅くなり、そのことでさらに緊張が増してしまいます。

大きく息を吐けば、緊張をゆるめることができます。大きく息を吐くと、自然に大きく息を吸うことができます。これが呼吸法の基本です。フラストレーションを感じたときには、ぜひこの呼吸法を行ってみてください。しだいに冷静な自分に戻ることができ、フラストレーションに強くなれると思います。

繰り返しになりますが、フラストレーションに強くなるには、自分が感じている不快な感情をまるごと認めてみること。そして、大きく呼吸をして、緊張をゆるめること。これら2つができるようになったら、以下の4つのことを行ってみましょう。
 
  1. 不快な感情はすぐに吐き出さず、いったんぐっとこらえてみる
  2. 状況が好転することを期待して、少し様子を見てみる
  3. 合理的に解決できる方法がないか、考えをめぐらせてみる
  4. 他人に相談する前に、気持ちを落ち着かせる

これらのことを意識して続けていくと、フラストレーションに強くなることができると思います。

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