ストレス/女性に多いストレス

働く女性のストレス・主婦のストレス…それぞれの原因と上手な対処法

【公認心理師が解説】働く女性も専業主婦の女性も、それぞれに異なるストレスがあります。とはいえ、担っている役割には共通するものが多く、体のしくみからくる女性ならではのストレスを感じている人も多いことでしょう。女性に多いストレスの原因を把握し、日常生活をできるだけ楽に過ごせるようにしていきましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

働き方、結婚、出産……変化を伴う女性の人生とストレスの原因

主婦のストレス、働く女性のストレス…それぞれの原因と上手な対処法

女性ならではのストレスとは? 上手に対処していく5つのコツ


女性の人生には、女性ならではのストレスポイントがたくさんあります。たとえば、結婚や出産、子どもの進学や独立、親の介護など、ライフステージの変化や家族の状況の変化によって、それまでの人生が一変しやすいこともその一つです。

また、「女性だからこうすべき」「女性はこれをしてはいけない」というようなジェンダー(社会的性差)の偏見にさらされやすいことも、ストレス要因の一つです。社会の中ではこのような偏見を持つ人もまだ多く、差別的な言動を受けることによって、息苦しくなっている女性もいるでしょう。

また、主婦や母親として求められる行動も非常に多く、負担に感じている方も少なくないようです。共働きの場合には家事や育児、介護は夫婦で平等に分担できると理想ですが、実際には女性が主導して進めなければならない場面が多いという話も聞きます。なかには、育児と介護を両方を同時に担う「ダブルケア」に直面している方もいるようです。

上のようなストレスにさらされるなかで、心身ともに疲れ切ってしまう方もいます。
 

月経、出産、更年期などホルモンが影響する女性特有の心のトラブル

また、女性の体調は月経周期のほか、妊娠中、産後、更年期などの時期には女性ホルモンの変動に大きく影響を受けやすくなります。特に以下の3つは、女性ホルモンが影響する心身のトラブルの代表としてあげられます。
 
■月経前の心の不調
月経サイクルによって女性ホルモンのバランスが変動するため、月経前には体調や心の状態が不安定になりやすくなります。心身の不調が強い場合には、「月経前症候群」と診断される場合もあります。月経前症候群は、月経開始から数日の間に軽快し始め、月経終了後の週には症状が最小限になるか、消失します。

■産後の心の不調
産後の心身の不調には、女性ホルモンのバランスの乱れに加え、出産と育児による疲れ、育児への不安などが大きく影響します。産後2週間ごろまでに感じる憂うつや不安などの心の不調は、「マタニティブルーズ」と呼ばれています。ほとんどの場合、2週間以内に治まりますが、2週間以上続くと「産後うつ病」などの心の病である可能性もあります。

■更年期の心の不調
閉経を挟んだ約10年ほどの期間を「更年期」といい、女性ホルモンの分泌が急激に低下することによって心身の不調が起こりやすくなります。これを「更年期障害」といいます。更年期の身体症状には、のぼせ、めまい、ホットフラッシュ、冷え、肩こりなどがあり、心の症状には、憂うつ、苛立ち、不安、不眠などがあります。

このような心身のトラブルに心当たりのある人は、早めに婦人科や心療内科、精神科を受診することをおすすめします。ホルモンのバランスを整える薬や精神状態を安定させる薬を使用しながら治療していくのが一般的です。
 

女性のストレス対策に! 日常生活の5つのポイント

では、女性がストレスを上手に解消して疲弊するのを防ぐためには、どのようなことを心がけるとよいのでしょうか? ここでは、5つのポイントをご紹介しましょう。
 
1. すき間時間に気晴らしをする
忙しい女性は、まとまった気晴らしの時間をとりにくいものです。そうした場合、すき間時間を上手に利用して、好きなことで気晴らしをしましょう。少し時間のあいたときにすぐに気持ちを楽にできるように、身の回りに気晴らしができるアイテムを置いておくとよいでしょう。こり解消グッズ、やわらかいクッション、肌触りの良い毛布などがおすすめです。

2. 多様な意見に惑わされない
育児や家事についていろいろな情報を調べているうちに、何を信じて行動していけばよいのか分からなくなり、不安が強くなってしまうと感じる方は少なくないようです。情報に振り回されそうになったら、その分野に詳しい人や専門家に相談し、一人で考えすぎないようにしていきましょう。

3. 休めるときにはしっかり休む
睡眠時間を削ってまで、家事などを完璧にこなす必要はありません。疲れを感じたら早めに就寝し、心身を休ませましょう。1日6時間くらいの睡眠時間は、確保したいものです。疲れを感じたらこまめに休息をとり、何事も完璧にこなそうとしないように心がけましょう。

4. 自分ひとりで抱え込まない
家庭でも職場でも、多くの役割を担っている女性は少なくありません。一人きりで責任を背負おうとせず、家族や職場の人、身近なサポート資源などを上手に活用していきましょう。人の助けを受けるとコミュニケーションも活発になり、心の負担が軽くなるでしょう。

5. 優先順位を明確にする
「今週はこれだけしっかりやろう。それ以外のことは、多少手を抜いていこう」というように、物事の優先順位を決めて行動することが大切です。やりたいことがたくさんあっても「体力には限界がある」「1日は24時間しかない」ということをいつも心に留めておきましょう。

以上のようなポイントで上手にストレスを解消させていくことがおすすめですが、こうしたことを行ってみても心身の不調が続く場合には、早めに専門医を受診して相談することも検討してみてください。婦人科系のトラブルがメインだと感じる場合には婦人科を、心のトラブルがメインだと感じる場合には心療内科や精神科を受診して、相談するとよいでしょう。
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