ここまで「頭金増額作戦」その1[生前贈与]、その2[共有名義]とみてきましたが、いかがでしたか。実行できそうな作戦はありましたか。ご両親から資金提供があれば、自己資金が増えて住宅ローンの借入額が少なくて済み、借入額が少ないと当然のことながら借入利息の支払いも少なくて済む、総支払額を抑えたい方にとって、頭金の増額はセオリーどおりの作戦だといえます。ですが、世の中には、親からの援助は受けない、受けたくない、という方が多いのが実態です。そこで、今回の作戦は「親から借りる」をテーマにとりあげ、気を付けたいことなどを中心に作戦を考えていきます。

これまでの頭金増額作戦は、シリーズ記事[頭金増額!作戦1―「生前贈与」][頭金増額!作戦2―「共有名義」]を参照ください。


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マンション購入の資金計画は3つ


skichika
マンション購入の資金計画は3つ。どの方法で資金を調達するか、じっくりと考えよう
『頭金増額!作戦2』でみたように、マンションを購入する場合の資金計画は以下の3つのパターンが考えられます。

(1)全額を現金で購入する
(2)全額を住宅ローンで調達して購入する
(3)現金と住宅ローンとで購入する


(2)と(3)の住宅ローンを利用することはすなわち、金融機関から住宅資金を借入れることを意味します。借入先を金融機関ではなく親から借りよう、というのが今回の作戦です。


「借りる」は「返す」に通じます


親であろうと、他人であろうと、借りたものは返さねばなりません。親から借りておいて、返さない。これは、「借りる」ではなく「贈与」となり贈与税の対象となります。「返す」ことを前提に、貸し借りの話しを進めていかなければ、確認事項がもれて、結局税務署に贈与だとみなされて、贈与税やペナルティまで課されることとなるかもしれません。慎重に取り扱う必要があります。


親から借りることのメリット・デメリット


親から借りることについて、メリットとデメリットを考えて見ましょう。

■メリット
(1)金融機関のように、借りるにあたっての審査基準がない
(2)比較的自分に適した返済方法を設定できる
(3)借入先が身内であることの安心感


メリットとしては、以上のようなことが考えられます。金融機関のような審査基準はないものの、ご両親の側もきっと「この子なら」と内部審査をした後の融資の申し出ではないでしょうか。日頃の親孝行の度合や生活態度、安定収入の確保先などが審査基準であり、金融機関よりもかえって厳しいのかもしれませんね。さて次にデメリットを考えましょう。

■デメリット
(1)贈与とみなされないための形式を整える作業が結構面倒
(2)借入ではあるが、「住宅ローン控除」の適用がない
(3)給与からの自動引き落としなどは基本的に利用できないので、
より緻密で確実な返済プランが必要


デメリットの主なものは、上記が考えられます。親からの借入の場合はとにかく、(1)の贈与とみなされないことが何をおいても重要です。贈与とみなされないための作戦は次ページでお話しします。デメリット(2)は優遇税制の適用の可否についての話しです。金融機関から一定の要件のもと、10年以上の住宅ローンを利用して借入をおこなった場合、住宅ローンの年末残高の金額に応じて、一定の割合のもと所得税が還付される、というのが「住宅ローン控除」の制度です。この優遇税制で対象となる借入先は金融機関等であり、親からの借入は対象外となります。そしてデメリット(3)、親への借入金の返済は自分の意思で行うことになります。前もって決めた予定どおりの返済が滞ると、借入金ではなく贈与とみなされる場合もあります。確実に返済できる方法(自動振り替えなど)を自分なりに工夫しましょう。

では、具体的に「贈与」とみなされないための注意ポイントを次ページでみていきましょう。