キャリアプラン/キャリアプランの書き方

キャリアプランの書き方…40代の例

40代は企業と自分のキャリアアップの方向性を一致させたキャリアプランと、社内でのポジションの再認識が必要です。経験から得たスキルを職務経歴書のように整理し、転職か会社内の業務か、今後の自分の人生計画として、冷静に考えるための5つのステップをご紹介します。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

40代のキャリアプラン

40代のキャリアプラン

40代は企業のビジョンと、自分のキャリアアップの方向性を一致させたキャリアプランづくりが求められます。そのためには、市場(オープンマーケット)での客観的な価値による現状把握、社内でのポジションの再認識、企業のビジョンと個人のキャリアプランのすり合わせ、専門分野での技術の完成が必要な年代です。
   

自分の人生を生きるキャリアプラン


40代のキャリアプラン

40代は人生の折り返し地点が過ぎたところ。後半戦のキャリアプランが重要となる

40代は、ちょうど人生の折り返し地点が過ぎた頃。会社に入り気がつくと早20年。残りの20年をどう過ごすかを考える時期に入ります。

男性の場合は厄年があり、体調などの変化が現れるころですね。言わば、「人生の踊り場」のような時期で、将来への漠然とした不安感を抱くことから、「キャリアの危機」と呼ばれています。既婚女性の場合は子供を含めた家族との関係が徐々に変わる頃。子育てが一段落し、仕事や趣味などに時間を費やすことができるようになります。未婚女性の場合、男性と同様、将来への不安を抱える人も多いものです。さらに、40代は親の介護問題が出てくる時期です。

では、今後20年のキャリアを自分らしく生き生きとさせる5つのステップを紹介します。
 

40代までの棚卸しをする

最初に、過去から現在までの棚卸しをします。自分の価値観を明確化する作業。あなたの現在の価値観や仕事観は、これまでの出会いや出来事から形成されています。幼少期、学生時代、社会人前期(20代後半まで)、社会人中期(30代前半まで)、社会人後期(30代後半から現在まで)と分け、それぞれの時期での印象的な出会いや出来事、成功体験や失敗体験などをコーヒーでも飲みながらゆっくり振り返ってみましょう。

小さな成功体験の積み重ねが自己信頼感を形成し、少々の困難にぶつかっても何とか乗り越えてきたことに気づきます。失敗体験したことで学びがあれば、それを節目にどんな新しい行動習慣を身についたかを具体的にします。そうすると、現在の価値観を客観化でき、未来へのアクションプランを策定する準備ができます。
 

職務経歴書のよう自分のスキルを整理する

次は、現在のあなたの強みや弱みを確認する作業。大きく、スキル(能力面)とパーソナリティー(性格面)で整理します。スキルはこれまで20年間の実務経験を通じ、たくさんの蓄積があります。もう一度、再整理することが大切です。

整理する方法は、時系列で、どの会社の、どんな部署で、どんな職務を遂行し、どんな実績を作ったかを棚卸しします。次に、職務単位に仕分けをし、何が自分にとっての強みなのかを確認します。これは、就職活動で職務経歴書を書く手順と同じ。蓄積されたスキルは、果たして社外で通用するものなのか社内でしか通用できないかを、職務内容とレベルの側面で確認して下さい。

社外で通用するかどうかを判断する方法としては、中高年を対象とした人材紹介会社のコンサルタントに評価していただくことや、年収査定や能力測定テストなどが有効です。

能力を診る目安は他者との比較。その能力は、相対的にどのレベルにいるかとを見極めます。自分の専門分野においては、絶対に負けないくらいのものがあれば40代としては合格でしょう。

転職経験の有無にかかわりなく20年間も仕事をしていると、自分が所属組織でどのポジションまで辿り着けるかという現実も見えてきます。こういう時、社内で価値や存在意義を見い出せず、隣の芝生的に転職を考える人がいます。私が人材紹介を行っている経験から、声がかからなければ自ら動くことはお薦めできません。「欲しい」「買い!」と思わせる人材にならなければ、交渉上、有利に展開できないからです。
 

ワークライフバランスを意識した理想の未来を描く

現実的なイメージが現実のものになる

現実的なイメージが現実のものになる

3番目に、目指すべきゴールイメージを明確化する作業です。アスリートの間ではイメージトレーニングなどは一般的なように、イメージすることはとても重要です。「思考は現実化する」という言葉があるように、イメージできないことは基本的に現実化できないからです。

そうであれば、現実的なものよりも少々高い設定をすることが求められます。ただし、高すぎても夢物語で終わってしまうので、ジャンプすれば何とか手が届きそうな設定をイメージ(これをストレッチ目標といいます)します。ちなみに、ストレッチはコミットメント(成果について責任を持つこと)と同様、企業再生を果たした日産自動車の共通言語です。

40代ということを考えれば、ワークライフバランスをきちんと考える年代です。20代、30代の方は、あなたの背中を見ています。彼らにとって理想的なモデルとなるように、仕事のみならず、家族や地域社会との交わり、趣味の世界など、バランスよくイメージしましょう。

所属組織の中で仕事を通じて成果を出すこと以外に、家族との団欒に時間を割く、地域社会の諸活動に参加する、自分の教養や見識を磨くために図書館に通う、スポーツを通しての人脈を形成するなど、社会奉仕や自己啓発活動はこれから益々求められるでしょう。

今後は経済的な側面に加え、社会的な側面や文化的な側面においても、一人の人間として問われていくことも想定していきましょう。
 

40代は目標達成のため判断力が重要

ゴールイメージを具体的に明確化した後、次はどうすればそこに辿り着けるかを考え、アクションプラン(戦略)を策定することになります。

あなたは船に乗って航海しているとイメージして下さい。目的地がありたい姿やビジョンです。直線的に進んでいきたいのですが、波や風の影響を考えながら針路を決めていかなければなりません。眼前に突如大きな岩が現れたり、嵐で視界が全くきかないこともあります。

様々な逆境に立たされることも想定して、どのようにそこで対応するかが乗り越える重要なポイントとなります。どのような戦略を取るかはその時々の環境的な要素を的確に捉え、最適な選択をするのは経験に基づく判断力が発揮されます。40代が持っている強みは、記憶力ではなく判断力なのです。

悲しいかな、40代を過ぎると記憶力は低下していくもの。しかしながら、蓄積された経験による判断力、意思決定能力こそが20代、30代の方々よりも優位性のある能力なのです。

40代であるガイドの私も、記憶力の低下に嘆くことが多々あります。しかしながら、年を重ねた分だけの場数を踏んでいます。的確な判断にはそれ相応の経験が必要。まさにこの部分は40代の方々の誇るべき財産なのです。
 

転職活動にも情報発信が必要

5番目に、このような一連のステップを踏まえ、今度どう生きたいかを考えます。自分にとって、現状維持がよいのか、社内での異動がよいのか、新天地への転職がよいのか、キャリアチェンジや起業することがよいのか、冷静な眼で判断することでしょう。家族や信頼のおける友達、先輩などに相談することも大切です。

今後は労働人口的な見地より、70歳位までは働く社会になると思います。転職を選択される場合、中高年の転職では、「7・5・3(しちごさん)」と言われています。これは現年収と比べ、良くて7割、普通で5割、悪くて3割という意味です。

40代でも、今後は従来の中高年の転職と同じようにシビアに考えないといけないでしょう。よって、感情的なことでの意思決定はかなりのリスクがあります。先に記したように、一番いい転職は「ぜひとも来て欲しい!」 という状態までに卓越した実績と専門能力を兼ね備えることを目指すべきだと思います。

社内のみならず、社外でも評価されるような突出した成果を出す人材になるために、感度のいい20代、30代の社員と同様、WEBでの情報発信を行動習慣とされることをお薦めいたします。そうすれば、結果的に貴重な情報が受信できるようになるからです。

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