仕事の各段階で行う取引のツメ


仕事の受注から納品まで、トラブルなく業務を遂行するためには、要所ごとに“取引のツメ”をしておくことが必要です。このツメが甘いと、後々に問題を引き起こすことにもなりかねません。

取引における確認ポイントは、次の通りです。

■仕事の依頼を受けた時
お客様や取引先が、何を求めているのか、どの範囲までを前提として考えればよいのかなどを、しっかりと取材します。つかみ切れない時や理解しにくい場合は、自分勝手に解釈せず、“おっしゃることは、こういう理解でよろしいですか?”と質問をして、ズレが生じないようにします。企画や提案段階でも、“こういう方向性で考えていってよいですか?”と尋ね、必ずすり合わせを行っておきます。

■仕事を受注した時
受注金額、支払条件などの取引条件を確認します。「発注書」の受領、または「業務契約書」の取り交わしを行います。実際には、文書での取り交わしをルール化している企業は、まだまだ少ないようです。そうした場合は、メールでもよいので、取引内容を相互に確認する作業を必ずやっておいてください。人の言葉、記憶というものは、非常にあいまいです。人によって解釈やニュアンスも違います。そのために、文書化して確認することが不可欠になります。

■納品した時
お客様や取引先の担当者が、OKを出して、初めて納品完了となります。よくあるトラブルは、納品後の“直し”です。発注した通りに仕上がっていないというクレームは、最悪です。そのために、上記の確認プロセスを要所要所でキチンと行っておきましょう。

また、先方の都合や変更による大幅な直しは、本来追加発注と同様の扱いになります。しかし、立場が弱いと、泣く泣くタダで行うことも少なくありません。こういった場面での交渉も必要になるため、受注時に、直しの経費についても確認しておきたいものです。

注)納品した期日によって、請求書の発行、入金日が変わってきます。どの時点で納品となり、何月分の仕事として請求書を発行してよいのか、これも確認項目です。企業毎に、支払いサイト(例:末日締め、翌月末支払い)がありますので、請求書の締め日(経理へ何日まで必着というようなこと)も事前に聞いておきましょう。


口約束はトラブルの元


企業と直接取引を行う、または、大きな仕事を受注して仕事仲間にも手伝ってもらうなどという場合には、口約束だけで進めては、とてもリスキーです。言った言わないというレベルのトラブルを未然に防ぎ、仕事のツメをしっかりと行うという意味からも、書面での取り交わしが必要です。

■文書の取り交わしを標準化したいもの

【発注書】
仕事を依頼されたら、必ず「発注書」を発行してもらいます。「業務契約書」を締結するまでもないような場合は「発注書」でOKです。もし、そのような書類フォームがないと言われたら、「受注書」を自分で作成して捺印してもらうという方法もあります。大事なことは、正式に発注されたということの証明と取引条件を、文書に残すということです。

【納品書、受領書】
納品を相手へ通知し、先方が確かに受領したという確認に必要な書面です。宅急便などの配達時に受け取る伝票をイメージしてください。配達伝票が納品書、受領印を押して配達の人に渡すのが「受領書」です。

最近は、通信によるデータ納品もあります。その場合は、メールの文面に「受領書付の納品書」を作成して送り、先方から受領した旨を返信メールで送ってもらうと良いと思います。

【議事録、確認書】
取引条件や業務内容、責任の範囲などに関する打ち合わせでは、「議事録」を作成し、決定事項をその都度、お互いに確認しておくとトラブルを防げます。後に契約書を作成する場合は、この決定事項を条文にしていきます。

また、「契約書」というのが仰々しい場合は、同じ内容を「確認書」というタイトルにして作成し、渡しておきます。少なからず、契約書の代用になります。


各書面を取り交わす目的は、仕事上の取引において、トラブルを未然に防ぎ良好な関係を築くためのものです。個人であっても、キチンとした業務体制や業務ツールを用意すれば、必ず信用につながります。


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