他の追随を許さない独自な商品や販売方法、ターゲット――。
自分だけの「オンリーワン」を確実につかむことができれば、ビジネスはなかば成功したも同然でしょう。そしてこれを効果的に演出し、守り育てれば、やがてひとつのブランドへと発展させることも可能です。



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今回ご紹介するのは、「朝採り野菜」という独自な商品に狙いを定め、その独自性をさらに生かすべく工夫を重ねた、(有)ヴェルデ代表・秋山公さんのケースです。


●顔の見える野菜を売ってみたい


(有)ヴェルデは、「朝採り野菜直行便」の看板を掲げる、野菜の直販店。福岡市内のスーパー数店で事業展開しています。通常、店頭に並ぶ野菜は、収穫後、約2日たったものがほとんど。収穫された日の夕方、農協を通して市場に運ばれ、翌朝の競りにかけられるためです。ところが同社は農協を通さず、毎日早朝、契約農家を巡回しては集荷。朝9時半にスーパーのテナント店頭に並べます。泥のついた大根やニンジンが並ぶ店先は、いつも黒山の人だかり。「甘味がある」「野菜本来の味がする」と、主婦たちの評判は上々です。


前職は農機メーカーの営業マンだったという秋山さん。全国の農家を相手に、20年間、農業機械を売り歩いたそうです。その数、およそ3000軒。40歳を迎える頃には、かなりの人脈が全国各地にできあがっていました。


「いろいろな生産者と会ううちに、彼らが持つ共通の悩みに気づいたんです。それは“自分の野菜”が作れないということ。どんなに心をこめて栽培しても、農協で一緒くたにされてしまえば、評価のされようがありません」


ちょうど福岡市で一人住まいをしている母親のことも気になっていたところ。いっそUターン起業しようか、と考えたとき、まず頭に浮かんだのは、「生産者が自分の収穫物を誇れるような仕組みをつくりたい」ということだったそう。「とはいえ、ただの有機野菜ではつまらない。何か付加価値をつけることはできないものか、と思いを巡らせていました」。


●人脈から探し当てた「朝採り」農家


そこでひらめいたのが、「朝採り野菜」の販売でした。「品質のよい有機野菜を早朝に収穫して売り出せば、きっと受けるはず」。さっそくこだわりの生産者を求め、100軒以上の農家を訪ね歩いた秋山さん。農業試験場や種苗業者にも「よい生産者を紹介して欲しい」と頼んで回りました。


トマトならこの人、キュウリならあの人、といった評判を聞き込んでは訪ねて行き、説得。そして、福岡県三井郡、大分県玖珠郡の農家・約40軒と直接、契約を結んだのです。ついに2002年4月、(有)ヴェルデ設立に漕ぎ着けました。

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