少し前になりますが、ある盲導犬の生涯を描いた『盲導犬クイールの一生』という本が話題になり、テレビドラマや映画になりました。盲導犬のけなげな働きぶりと視覚障害者との深いきずななどを描いた作品でしたが、その中に登場した盲導犬訓練士、盲導犬歩行指導員に関心を持った方も多かったのではないでしょうか。今回は、その盲導犬訓練士、盲導犬歩行指導員について紹介します。

■INDEX

頭も体もフル回転の盲導犬訓練士

盲導犬訓練士の仕事は、生後1年程度の盲導犬候補犬に対して約6~12ヵ月程度、訓練を行い、盲導犬に育て上げること。ご存じの通り、盲導犬は視覚障害者のパートナーとして、その安全な歩行をサポートし、障害物などを回避する役割を担う犬。人間にとっての障害物、危険を、人間とはまるで目線の違う犬に教え、危険を視覚障害者に代わって判断し、回避する能力を身につけさせるのは、ちょっと考えただけでもとてもたいへんなことだと感じます。

階段訓練
訓練をしていると、イメージした盲導犬の完成型にいかにして近づけるか、方法論に悩むことも多いという
能力も個性も違う犬、1頭1頭に対して、どのような働きかけ、声掛けをすれば、訓練内容を理解させられるか。それは、訓練士が観察力、推察力、論理的思考力を働かせ、試行錯誤しながら見つけていくしかありません。ある犬に有効だった訓練方法が、別の犬にも通用するとは限らないのがこの仕事の難しいところ。教えたつもりなのに犬は理解していない、ということもよくあります。犬が訓練内容をどの程度理解しているかを見極めるのも実に難しいのです。

訓練の過程では、当然、犬と共に訓練施設内や街を歩きます。担当する犬が多いときには、1日に10km歩くことも。訓練士は、どう教えるかに知恵を絞るだけでなく、そうして繰り返し訓練を行う体力も求められます。ただ「犬が好き」という気持ちだけではとても勤まらない仕事なのです。

>>次はカウンセラー的要素も求められる盲導犬歩行指導員