景気悪化に伴って仕事を失い、他業界から介護業界への転職を希望するかたが増えていると言われています。2009年5月の「あなたの一票」においても、2009年5月24日現在、6割強のかたが、ここ半年の間に自分の職場に他業界からの転職者が来た、と答えています。一方で、「入職したがすでに退職した」との回答が1割強を占めています。

実際に、他業界からの転職者は増えているのか。
転職したかたは介護の職場に定着できているのか。
他業界からの転職者はどのような意識で転職すべきなのか。
東京・池袋サンシャインシティにあるハローワーク池袋・ハートフルワークコーナーの統括職業指導官、石井克枝さんに話を伺いました。

転職後、短期間での退職者も多い

――景気悪化により、他業界から福祉業界への転職希望者は、実際、増えているのでしょうか。

池袋ハローワーク
取材で訪れた9時過ぎには求職者はまばらだったが、取材を終えた10時過ぎには大勢の求職者でごった返していた
石井 感覚的には4月後半から増えてきたという印象があります。これはやはり、一般求人の減少が影響しているのだと思います。たとえば事務系の求人に対して、50人、100人もの応募者がきます。受けても受けても採用にならないため、福祉業界に目を向けるかたは増えていますね。

――どういうかたが福祉業界への転職を希望しているのでしょうか。

石井 福祉は人手不足だと聞いているし、これから伸びる業界だから資格を取ってやってみたい、というかたが多いですね。でも、「求人が多い」「伸びる業界」というイメージだけで転職すると続きません。1~3ヶ月で辞めてしまうかたが多いです。

また、年配のかたの場合、これまでの営業経験やマネジメント経験を福祉業界で生かしたい、というかたもよくいます。しかし、福祉業界で求められているのは、営業経験やマネジメント経験だけでなく、現場の仕事もできること。これまでのキャリアだけでは福祉業界では通用しないことを伝えています。そうすると、現場は無理、やっぱり一般求人のほうで当たってみます、というかたもいますし、それでも資格を取って頑張りたいというかたもいます。

――これから資格を取って福祉業界に転職したい、という年配のかたの希望にマッチする求人はありますか。

石井 正直言って厳しいですね。マネジメント経験がある若いかたであれば、これから資格を取って転職しても十分活躍できると思います。しかし、年配のかたの場合、これから現場を覚えて、ということになると、なかなか難しい。求人側も、若いかたの将来性を選ぶケースが多いですから。

しかし、職務内容を十分に理解し、人の役に立ちたいという熱意をアピールすることで、成功をものにしていただきたいと思います。


【ガイド宮下より】
私のところにもサイトユーザーのかたから、時々、「40歳超だが、これから介護の仕事に就いてみたい。どうだろうか」という問い合わせがあります。この問いに対する答えは非常に難しい。一概には答えられません。

年齢が高いのであれば、その分、若いかたが持っていない知識や経験、スキルが求められます。他業界からの転職の場合、知識、経験、スキルが、介護や福祉の仕事をしていく上でどのように生かせるのか、自分を採用すると事業者にどのようなメリットがあるのかを具体的に提示する必要があります。それができて初めて、意欲や可能性をセールスポイントにしている若いかたと同じ土俵の上で戦えると考えるべきです。

40歳のかたに仕事を覚えてもらって活躍してもらうとすると、定年まで20年。50歳のかたなら10年です。一方、25歳のかたであれば35年、活躍してもらえるわけです。この15年、25年の差を埋めるプラス材料が40歳、50歳のかたには求められる。そういう覚悟が必要になります。しかし、残念ながら年配の求職者は、そういう覚悟があるかたばかりではないようです。