コンサルタントで働く/コンサルタントの仕事

コンサルタントの「パートナー」とは?意味と役職

コンサルにおける「パートナー」。なぜファームの役員のことを「パートナー」と呼ぶか知っていますか? そもそも「パートナー」とは何か? ディレクターやプリンシパルとの職位、ビジネス上の肩書きの違いはあるのか?その役職と役割について解説します。

執筆者:大石 哲之

 

コンサルタントの「パートナー」はファームの共同経営者を指す

コンサルの「パートナー」の意味や役職を解説

コンサルタントの「パートナー」の意味や役職を解説

「パートナー」は、コンサルタントとしてのキャリアパスの最終点です。
ファームによっては、「ディレクター」「プリンシパル」「ヴァイスプレジデント」といった呼び方がありますが、意味するところはだいたい同じです。

「パートナー」が、他のクラスと決定的に違う点は、「パートナー」はコンサルタントであると同時に、ファームの共同経営者であるということです。

ファームの経営に共同して参加し、共同して、経営の責任を取ります。同様にファームが儲かればその利益にあずかることができます。
わかりやすくいって役員クラスと考えていただいて間違いないです。

ところで、なぜファームの役員のことを「パートナー」と呼ぶか知っていますか?
他の業界では「パートナー」という呼称はききませんよね。

「パートナー」というのは、「パートナーシップ」という組織の形態からきています。「パートナーシップ」というのは、「株式会社」や「有限会社」といったものと同じ、法律的に認められた*組織の一形態です。
*アメリカにおいて

「パートナーシップ」は、法律事務所や会計事務所や医者や建築士といったプロフェッショナルな職業の人がよく作る会社の形態です。

特徴は、「パートナー」と呼ばれる責任者が2人以上で共同して事業を行い、その利益を分け合います。株式会社と違って株主はいません。「パートナー」自体が株主と思ってもいいかもしれません。

利益は「パートナー」同士でやまわけします。その反面、損失がでた場合も「パートナー」の責任です。「パートナー」は損失に対して無限の責任を負います。「パートナー」という呼称は、このパートナーシップ組織の「パートナー」から来ているのです。

多くのコンサルティングファームがこのパートナーシップ制度を取っていました。(近年は株式会社に組織替えし、株式を公開するようなファームもでてきましたが)

「パートナー」に昇進するということは、パートナーシップ組織の経営に参加し、利益の配分を受ける権利を得るとともに、損失に対する無限責任を負うわけです。ですから、「パートナー」とそれ以下の役職では、法律的にもまったく立場が違うということなのです。

Photo by (c)Tomoyuki.U
   

コンサルタントの「パートナー」の役割とは?

「パートナー」がファームの利益も損失にも責任があると書きました。
そうなると、「パートナー」の役割は、個々のプロジェクトを運営するということよりは、外の世界とどうおつきあいするか、ということになります。

外の経営者にむけてファームの活動を紹介したり、新しい経営理論やヴィジョンを打ち立ててトレンドをつくったり。ファームの価値を高める活動を行います。
最終的に、コンサルティングの仕事を受注するのが「パートナー」の最も重要な役割になります。

しかし、このコンサルティングの仕事を受注するのが、とんでもなく大変です。コンサルティングというのは目に見えない商品です。車や建築といった目に見える成果がでてくるわけではありません。提供するのは、コンサルタントたちが持っている経験とノウハウです。

さらにコンサルティング料は高額で、数千万からときには数十億円に達することもあります。

クライアントからしてみれば、蓋を開けてみなければわからないものに、何億円も払うわけです。かなりの勇気がひつようでしょう。となると、単にコンサルティングの提案内容がよいだけでは仕事はとれません。そのコンサルティング会社が信用できるか。というより、そのコンサルタント個人が信頼できるかどうか。

クライアントが、「このひとにまかせてみよう。彼なら大丈夫だ」という気になってくれるかどうか。その一点につきます。「パートナー」としてやっていくためには、たんなるコンサルティング力以上の「人間的魅力」が求められるわけです。

よって、だれもが「パートナー」になれるわけではありません。「パートナー」に昇進できるのは本当に一握りの適性があるひとだけでしょう。「パートナー」に昇進できなかったとしても、あなたがダメだということはありません。

「パートナー」は、個人の能力というよりも、向き不向きや適性というのが多分にあるからです。優秀なコンサルタントでも「パートナー」としては向いていないということもありうるのです。

一方、それだけの厳しい選考を経て「パートナー」に昇れば、十分な報酬と、自由な活動のための時間が約束されています。

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