「繰り上げ返済」…利用の仕方を間違えると、思わぬ失敗につながる
「賢いマンション暮らし」を実践する読者の皆さんは、あと何年で住宅ローンを返済し終えることができますか? 残り10年、20年、それとも30年以上?? ローンを組んだ時期と借り入れ年数によって答えは様々だと思いますが、他方、「早くローンを完済したい!」という願望は誰しも共通なことでしょう。ローン返済を続けたい人など、いるはずもありません。そこで、よく利用されるのが「繰り上げ返済」。まとまった一時金を返済に充当することで、利息軽減効果をねらうローンメンテナンスの常とう手段です。

ところが、利用価値の高い繰り上げ返済も、使い方を間違えると思わぬ“失敗”をしてしまうことがあります。そこには、思わぬ落とし穴があるのです。せっかく良かれとして行った行為が、裏目に出ては元も子もありません。そこで今回、想定される『繰り上げ返済の失敗例』を紹介したいと思います。

返済期間が10年未満で「住宅ローン減税」はストップする


まずは、住宅ローン減税との関係から見ていきましょう。ご存じ、住宅ローン減税とはマイホーム取得のために返済期間10年以上のローンを組んだ場合、適用年ごとのローン残高に一定利率をかけた金額が還付される税額控除の1つです。多くの方が恩恵にあずかっていることでしょう。ところが、同制度の適用期間中に期間短縮型の繰り上げ返済を行い、その結果、住宅ローンの返済期間が10年未満になると、以後、住宅ローン減税は受けられなくなってしまうのです。

というのも、住宅ローン減税の適用条件に「返済期間10年以上のローンを組むこと」という項目があるため、仮に10年を下回ると適用条件から外れてしまうからです。20年以上も返済期間が残っているような人は、それ程、心配ないかも知れませんが、せっかくの減税制度を無駄にしては残念です。注意しなければなりません。

なお、返済期間が10年を下回ったら、すべてのケースで住宅ローン減税がストップするかというと、実はそうでもありません。ややこしいのですが、以下、2つの事例で補足説明します。


 <ケース1>
 契約時に15年完済の住宅ローンを組み、現在、3年が経過した。本来であれば完済まであと12年だが、まとまった資金ができたので期間短縮型の繰り上げ返済をした。その結果、返済期間が3年分短縮され、完済までのローン返済期間が9年間となった。

 <ケース2>
 契約時に12年完済の住宅ローンを組み、現在、3年が経過した。本来であれば完済まで残り9年だが、まとまった資金ができたので期間短縮型の繰り上げ返済をした。その結果、返済期間が3年分短くなり、完済までローン返済期間が6年間となった。

どちらのケースも、繰り上げ返済後の返済期間が10年未満となりました。そのため、前出の説明からすると、両者とも住宅ローン減税の適用から外れてしまうと考えがちですが、実は、実際にストップするのはケース2だけで、ケース1は引き続き減税を受けることができるのです。なぜ、このような違いが生じるかというと、それは返済期間の計算方法に“からくり”があるからで、ここでいう「返済期間」とは、

「ローン返済を開始し、実際に支払い終わっている期間」
「期間短縮型の繰り上げ返済後、ローン完済までの残りの返済期間」

=10年以上あるかどうか?

という計算式でカウントされるのです。単純に、残りの返済期間で判断しないことに注意しなければなりません。その結果、ケース1では支払い済み期間3年+繰り上げ返済後のローン期間9年=12年となり、減税の対象となる一方、ケース2では支払い済み期間3年+繰り上げ返済後のローン期間6年=9年となるため、減税の対象外となるのです。「しまった……」とならないよう、知識武装しておきましょう。


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