(記事掲載日/2008.3.9)

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国際司法裁判所では、判決の他に「勧告的意見」というものが出されることがあります。これはいったいどういうものなのでしょう。どのような勧告的意見が出されているのでしょうか。

国際司法裁判所とは

国連の主要機関の1つとして、オランダのハーグにおかれているのが国際司法裁判所です。前身は第1次世界大戦後に作られた常設国際司法裁判所にあります。

国連で選出される15名の裁判官で構成される国際司法裁判所では、基本的に、対立を裁判にもちこむことに合意した当事国の「付託」などによって裁判が開始されます。いずれかの当事国の提訴で一方的に裁判が開始されることはありません。

また、対象となるのは国家だけであり、個人や企業、国際機関は対象外となります。

ただし、国際機関によっては、国際司法裁判所に「勧告的意見」を求めることができます。「勧告的意見」を求めることができるのは、総会・安全保障理事会・経済社会理事会・信託統治理事会・中間委員会・行政裁判所判決審査請求委員会、そして万国郵便連合を除く15の専門機関と、準専門機関とされる国際原子力機関とされています。

勧告的意見とは?

勧告的意見は、「法律問題」、つまり業務の遂行上出てきた法律上の論点について求められるものです。したがって法律的ではない問題について国際司法裁判所が意見をする必要はありません。

また、勧告的意見は文字通り「勧告的」なものであって、国際法的な効力を持ちません。もっとも、勧告的意見は裁判手続きと同じ審理を経て出されるものであって、国際社会にとっては(法的拘束力のある)判決と同じ意味を持っているともいわれています。

また、条約によっては紛争が生じ、国際司法裁判所に求めた勧告的意見が「最終的なもの」として受け入れられなければならないという条約もあります。

核兵器の合法性事件

1993年に世界保健機関(WHO)が、翌年国連総会が、核兵器使用の合法性について、国際司法裁判所に勧告的意見を求めたことがありました。

アメリカやロシア、さらには日本など22カ国が法廷に臨み、国際司法裁判所で初めて本格的に核兵器使用の合法性を問うものとなりました。

国際司法裁判所は、WHOには勧告的意見を求める資格がないとして請求を却下しました。いっぽう、国連総会からの求めには応じ勧告的意見を出しました。

これによると、核兵器の使用・または核兵器による威嚇は、国際人道法には一般的に違反するが、「国家の存亡に関わる極端な状況」については、合法か違法かは確定的に判断できないとしました。

また、核軍縮交渉を誠実に行い、完結させる義務が存在することを認めました。

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※参考資料
『国際関係用語辞典』 岩内亮一・薮野祐三/編 2003 学文社
『標準国際法〔新版〕』 寺澤一・山本草二・広部和也/編 1993 青林書店