(記事掲載/2007.03.18)

毎週日曜日掲載の「日曜日の政治用語」。統一地方選挙とあわせて、財政再建団体に転落した夕張市長選が話題になってますが、「財政再建団体」とはいったいどういうものなのでしょうか。

1955年にできた地方自治体の財政再建制度

破産
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1955年までは、赤字が非常に多い地方自治体を再建するための法制度というのはありませんでしたが、この時代、多くの自治体が巨額の赤字に苦しんでいました。

これらを救済するため、1955年に「地方財政再建推進特別措置法」が制定され、これらの自治体の再建が図られました。この法律、「特別措置法」という名前の通り臨時的な立法だったのですが、結局その後も改正が行われ今日にまで至っています。

この法律の適用を受け、財政再建を目指す自治体のことを「財政再建団体」とよぶことになっています。巨額の赤字を抱え事実上倒産した会社が会社更生法や民事再生法で再建を図ることに似ていることから、財政再建団体になることは「自治体の倒産」などといわれたりするわけです。

財政再建団体の定義

地方自治体が財政再建団体となるのは、実質収支が都道府県の場合で標準財政規模の5%、市町村の場合20%をそれぞれ超えた場合とされています。

つまり市町村の場合、その市町村財政の20%にあたる巨額の赤字がある自治体が「財政再建団体」とみなされるわけです。

財政再建団体になった自治体は、自主再建方式か、国の援助を受ける準用再建方式のどちらかの方式で再建を図ります。

もっとも自主再建方式は現実的に難しいため、最近ではほとんど準用再建方式によって再建が図られてきました。夕張市もこの方式で財政再建を図っています。

というわけで、ここからは一般的な準用再建方式のお話をしていきます。

財政再建団体の再建方式

まず、自治体の首長は議会に対し、財政再建団体として準用再建方式をとることを議会で議決してもらわなければなりません。

その後、申し出を行った自治体は総務大臣が指定した財政再建開始日までに財政再建計画を作り、議会の議決を経なければなりません。再建期間はだいたいは8年間とされています。もっとも、夕張市の場合は360億円もの巨額赤字のため、再建期間は18年間となっています。

しかし、この計画には総務大臣の同意が必要です。また、途中で計画を変更する際にも同様です。したがって、計画策定の段階から、実際には総務省の指示や助言が入っていくことが普通です。そして、総務省の助言と援助のもと、再建を行っていくのです。

今まで再建団体になった自治体はどのような計画を実行してきたのでしょう。土井丈朗・慶應大学助教授の研究によると、全ての自治体で職員数が削減され、多くの自治体で地方税の増税と社会保障関係費の削減が見られ、その他については計画によっていろいろ異なるということです(論文『日本の地方債をめぐる諸制度とその変遷』より)。

夕張市は職員の削減、地方税増税などのほか、市立病院の縮小、小学校の統廃合、上下水道手数料や保育料の値上げなどを行っているわけですから、かなり厳しい再建計画になっているといえるでしょう。

今までの自治体財政再建

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特別措置法ができたときには、およそ600もの自治体が再建団体としてこの法律による再建を図りました。しかしその後減少していき、1973年には新しく再建団体になった自治体はなくなりました。

1975年からの不況で再び再建団体になる自治体は現れますが、その数は少なく、夕張市を入れて17の自治体にとどまっています。福岡県赤池町が2000年に再建を終えてからは、再建団体である自治体はゼロになっていました。

というわけで、夕張市は実に7年ぶり、新規の申し出としては17年ぶりとなるわけです。

ただ、話題はそれだけではありません。これまでの再建と比べ、夕張市の再建はなかなか難しいものです。360億円もの赤字を、およそ13000人という人口規模の夕張市が返していくわけですから(ひとりあたり、およそ270万円!)。

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