文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
マーケットは為替も株式も大荒れです。そんな中、ポストFX(為替証拠金取引)と呼ばれるCFD(証拠金取引、差金決済取引)が日本でも注目されそうです。しかし、マーケットは甘くはありません。「自己資金の何十倍もの為替や株式の取引ができる」と触れ込む証拠金取引、初心者が気をつけたい3つの注意点を進言しましょう。

<INDEX>
証拠金取引とは(1P目)
レバレッジとは(1P目)
取引資金は借金と同じ(2P目)
「いつでも取引可能」に落とし穴(2P目)
根拠のない“勘”より判断力(2P目)

証拠金取引とは

お金
「自己資金の何十倍もの為替や株式の取引ができる」のが、証拠金取引
2009年は、CFD(証拠金取引、差金決済取引)が注目を集める年になりそうです。CFDとは、FXの株式版や株価指数版。FXの商品性は、All AboutのFX情報サイトがありますので、ここでは割愛させて頂き、この記事の内容理解に必要な部分だけを説明します。

FXが外国為替の売買を対象にするのに対し、CFDは国内外の株式や株価指数、株式債券や債券先物、またコモディティをを対象にします。

FXもCFDも、レバレッジをかけた証拠金取引で、取引額の全額を現金でやり取りしません。「買って売る」「売って買う」の反対売買で差損益だけを決済する差金決済が特徴です。「自己資金の何十倍もの為替や株式の取引ができる」のは魅力的ですが、高いレバレッジをかけると、身の丈以上の損失が出ます。

金融不安を背景に、為替市場や株式市場は大きな値幅で動いています。プロのトレーダーや、1日中パソコンや携帯電話のトレーディング画面に張り付いていられる個人トレーダーにとっては、面白い相場でしょう。

この記事では、証拠金取引を全面否定するものではありません。しかし、相場をよく知らずに取引をし、痛手を受けた投資家の話を多く見聞きします。改めて、自分の生活スタイルや時間と、それから投資経験や判断力に見合う投資なのかを考えて頂きたいと思います。

レバレッジとは

証拠金取引の最大の特徴である、レバレッジ。証拠金の額に対して何倍の金額を取引できるかを示したものです。業者によってその範囲はさまざまで、1倍~400倍まで可能な業者もあります。投資家が自分に合った倍率を選んで取引します。

10万円の証拠金で、1ドル=100円時にドルを買ったと仮定します。ここでの試算は、説明を簡略にするために手数料やスワップ金利等を考慮しません。
10倍のレバレッジをかけた場合、取引金額は、1万ドルすなわち100万円です。20倍なら、取引額は2万ドル(200万円)、100倍なら10万ドル(1,000万円)。
仮に、1円のドル高/円安になったとします。10倍のレバレッジなら、1万円の利益が出ます(1万ドル×1円=1万円)。20倍なら、2万円。100倍なら10万円です。
投資家は、取引額である100万円や200万円、1,000万円を払い込むことなく、それぞれ1万円や2万円、10万円の差益が得られます。これがレバレッジの効果。

しかし、実際に払い込んだのは証拠金の10万円なので、投資額が10万円と錯覚してしまう人もいるようです。10万円に対する利益がそれぞれ10%、20%、100%という計算をして、「なんて効率の良いお金儲けなのだろう!」という勘違いが生じます。
逆に、1円のドル安/円高になってしまうとどうでしょう。元手は10万円の証拠金。しかし損失は、それぞれ1万円、2万円、10万円です。1ドル=100円が99円に、1%の変動をしただけです。1日の為替相場で1円の変動幅は、そう珍しいことではありません。

実際は、マージンコールやロスカットなどにより、損失拡大を防ぐ措置が取られますが、この場合、証拠金を追加して支払ったり、強制売却により損失が確定します。これはリスクを限定するためのルールですが、自分が取引当初に思い描いた投資結果とは、全く違ってしまうでしょう。

では、レバレッジの意味が理解できたところで、いよいよ3つの忠告を次のページで!