ここ数年、世界中で政府系ファンド(SWF)の活動が活発になってきています。また日本でも、政府が将来的に政府系ファンドの設立をすると発表しています。では、現在の世界で、政府系ファンドはどのような活動をしているのでしょうか?

【CONTENTS】
世界の政府系ファンドの実態(1P目)
主な政府系ファンドの活動(1P目)
日本の政府系ファンドはどうなるか?(2P目)
課題は国民の説得か?(2P目)
日本の外貨準備も政府系ファンドで運用か(3P目)

世界の政府系ファンドの実態

最初に政府系ファンドの定義について再確認しますと、各国政府が保有する年金資金や外貨準備など、公的な資金を運用して収益を得るために設立されたファンドです。ヘッジファンドなどとは違って、民間の資産家から資金を集めるようなことはしません。

政府系ファンドの歴史はかなり長く、サウジアラビアのサウジアラビア通貨庁(SAMA)は、1952年に設立されています。しかしここ数年は、中東諸国の政府系ファンドが原油価格の高騰を背景としたオイルマネーの運用を活発にしているので、注目度が高くなってきました。

アメリカ議会の調査では、2007年秋時点で10億ドル(約1100億円)以上の資産を運用している政府系ファンドは世界に39あり、資産残高の総額は3兆2390億ドル(約360兆円)にもなります。その中で資産残高が1000億ドル(約11兆円)を超えるファンドは10あります。

国際通貨基金(IMF)の予測によると、原油高騰や経常収支の不均衡で新興国の外貨準備が将来的に急増し、政府系ファンドの資産規模は今後5年間で6~10兆ドル(660~1100兆円)にも増えていくとされます。

主な政府系ファンドの活動

世界にある政府系ファンドのうち、主なものを見てみます。ここで言う主なものとは、資産規模が大きく、かつアメリカなどの優良企業に出資をしてマスコミに名前が取り上げられたものを指します。

アブダビ投資庁-UAE(アラブ首長国連邦)
UAEの地図
アブダビ投資庁は、UAEの首都・アブダビに本部がある。

2008年現在世界最大の政府系ファンドで、その資産規模は推定8750億ドル(約96兆円)になります。運用先は、株式、債券、不動産、企業買収など、多岐に渡っています。2007年11月には、アメリカのシティ・グループへ、75億ドル(約8250億円)出資することを発表しました。

シンガポール投資公社-シンガポール
1981年に設立。シンガポールの外貨準備を運用。資産規模は3300億ドル(約36兆円)。株式や債券の他、不動産でも運用しています。1996年には、三井不動産と共同で東京・汐留の再開発事業(汐留シティセンター)に投資しました。また企業への出資もあり、2007年12月にはスイスの銀行・UBSに98億ドル(約1兆800億円)を出資し、2008年1月にはアメリカのシティグループに69億ドル(約7600億円)を出資しました。

中国投資有限責任公司-中国
2007年9月に設立されたばかりのファンドです。急速に経済発展をする中国は、外貨準備も急増しています。その外貨準備を運用するために設立されました。資本金は2000億ドル(約22兆円)。2007年5月にはアメリカの大手ファンド・ブラックストーンに30億ドル、2007年12月にはアメリカの投資銀行モルガン・スタンレーに50億ドルを出資しました。