社会ニュース/よくわかる経済

経常収支・経常黒字とは何か わかりやすく解説!(2ページ目)

「経常収支」「経常黒字」ニュースで耳にするけれど、説明できない…なんとなく分かるけれど、ちゃんと知っておきたい…コッソリ学んで、日ごろの会話にさりげなく使ってみると、あなたのセンスがキラリと光るかも。

執筆者:石原 敬子

実際、日本の貿易黒字が大きいと、アメリカは日本政府に「貿易黒字を減らすために、もっと日本はお金を使え!!」と迫ります。これが、「貿易摩擦」と言われるものです。

最近の貿易摩擦のターゲットは中国に

もっとも、このごろの貿易黒字は、アメリカ向けが減ってきていて、中国中心のアジア向けが増えてきています。アジア向けは、輸入も増えているのですが、それ以上に、輸出が増えています。アメリカも、日本製品を買うよりも、中国製品を買うようになってきました。

輸入品を買わないのも、海外旅行が減ったのも原因

また、国内が不景気で、日本人が輸入品を買わなくなり、輸入が輸出の伸び以上の比率で落ち込むと、
「輸出」-「輸入」=「貿易黒字」は増えますね。また、今回の黒字急増の主役は、「サービス収支」に含まれる、海外旅行者が海外で消費するのが減ったからです。

海外旅行者が現地でお金を使うことが、「輸入」と同じになるからです。

貿易黒字が円高をもたらすワケ


さて、話を「輸出」と「輸入」に戻しましょう。製品を輸出した日本企業は、外国のお金を手にしました。でも、そのお金は、日本に持ち帰って従業員に給料として支払ったり、日本で借りたお金を返すために使いたいのです。

そのために、手にした外国のお金を日本の円に替えます。円を買うわけです。

円を買う=円に対するニーズが高い=円の需要がある……どういう表現が、みなさんにはピンと来るでしょうか?円を買うということは、為替市場は円高の方向に動くということです。

もちろん、為替の動きは、貿易収支だけの要因で動くものではありません。世界各国の経済状態、金利や株式などマーケットの動向、政治、戦争、その国の信頼度、などが為替相場を動かす要因です。

経常黒字(=国際収支の黒字)は国どうしのお金のやり取りの差額

このように、経常黒字とは、国と国とのお金の出入りに対して、日本に入ってくるお金が多い状態を示すのです(その分モノが出ていっています)。「黒字」から良いイメージがわくのでしょうが、景気の良し悪しを表す言葉ではないということがご理解いただけましたか?

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます