(2002.08.05)

1ページ目 【「戦争の放棄」は日本国憲法の専売特許じゃなかった?】
2ページ目 【「自衛権」と日本国憲法の関係(1)】
3ページ目 【「自衛権」と日本国憲法の関係(2)】
4ページ目 【自衛隊をめぐる基礎知識】


【「戦争の放棄」は日本国憲法の専売特許じゃなかった?】
[戦争(せんそう)][憲法第9条(けんぽうだい9じょう)]


[戦争(せんそう)]

伝統的な定義は「独立した主権国家どうしの武力紛争」であり、「開戦宣言(宣戦布告)または最後通牒の通告」をもってはじまるとされています。もっとも、このような形で始まる戦争は、近年ほとんどみられなくなっています。

第1次世界大戦後、「戦争の違法化」つまり戦争そのものを国際法的に禁止する動きがすすめられ、特に1928年(太平洋戦争の13年前)日本を含む国際連盟加盟国の間で「不戦条約」が締結、「戦争の放棄」が国際法的に定められました。

ところが日本やイタリアなどは「満州《事変》」などという言葉で示されるように伝統的な定義によらない武力行使、つまり宣戦布告のない「戦争」を行い侵略を行っていったため、不戦条約は骨抜きにされてしまいました。このような流れが第2次世界大戦へとつながっていったことはいうまでもありません。

そこで、第2次世界大戦後に制定された国際連合憲章では戦争という言葉を用いず、「武力による威嚇又は武力の行使」の禁止というふうに規定(第2条の4)、これによって自衛権にもとづく戦争、国連安全保障理事会が決定した武力制裁以外の武力行使は国際法的に一切認められないようになりました。

[憲法第9条(けんぽうだい9じょう)]

日本国憲法では第9条1項で戦争の放棄を定めています。これをもって「日本は唯一の平和憲法の国だ」と思っている人も多いと思いますが、実は似たような規定を持っている国は結構多いのです(イタリア憲法、ドイツ憲法、コスタリカ憲法など)。だいたい上でも述べた通り、国際法的に戦争は違法とされているのですから。

日本国憲法がユニークなのはむしろ第2項の「戦力の不保持・交戦権の否認」にあるといえるでしょう。第2項には「前項の目的(筆者注;戦争の放棄)を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定されています。

 

戦争の放棄を規定している国々も、その大半は侵略戦争に備えて軍隊を持っています。それに対して日本では軍隊を持たないし、交戦自体しないんだよ、というわけで、ここが日本国憲法の非常にユニークな点といえるでしょう。

さて、この日本国憲法、のぞまない形で始まる「自衛戦争」までも否定しているのか? いままでさんざん議論されてきた話ですが、次ページで自衛権について、もうちょっと詳しく見ていきましょう。

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