2001年1月中旬、日本のTVニュースで、謎の新発明ジンジャー「Ginger」についての報道をしていた。これは皆さんの記憶に新しいことと思う。未来の交通と都市計画をも変え、人々の考え方も変えてしまう「ハイテク乗り物」だそうだが、1年後の2002年迄にこの発明の詳細が公表されるまでは、その正体は謎のままの様相である。しかしインターネットでは話題が広がり、少しずつ情報が集まってきている。

ジンジャー情報のそもそもの出所は、Steve Kemperというジャーナリストがマスコミに配った、ブック・プロポーザル(本の売り込み状)だそうである。そして一番最初にこの内容を報じたのが、インターネット・メディアのinside.comだ。この記事をもとに米国の主要メディアが報道を開始したのが、1月12日であり、それから数日後に日本やヨーロッパをはじめ各国に広まった。インターネットやパソコンを越える新発明ではないかとの憶測や、一方では彼の発明物やこれから出す本を宣伝するための、巧妙なプロモーションではとの冷めた見方も出ている。

このように、まだまだ実態のわからないジンジャーであるが、上記inside.comのページや他のサイトからの情報を基に、概略をつかんでみたい。

この未知の発明ジンジャーは、発明家ディーン・カーメン「Dean Kamen」氏の新発明であり、開発コードネームから来ている。その名前はITであり、イットと呼ぶそうだ。カーメン氏は米国ニューハンプシャーの発明家で49歳。「DEKA Research & Development Corporation」を経営する事業家でもある。これまでにポータブル・インシュリン・ポンプや透析器などを開発しており、特に最近では「iBot」と呼ばれる階段を昇降するだけでなく、砂の上や砂利道も走行可能な車イスを開発している。これは二輪車に乗ることもできるというから驚きである。

現在までに飛び交ったジンジャー関連情報によると、「アマゾン・ドット・コム」の最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏の前で、ボストンバッグや箱から取り出して部品を組み立て、完成させるのに10分位しか、かからなかったそうである。またこれにはメトロ「Metro」とプロ「Pro」という2種類の仕様があるようだ。このメトロの価格は2000ドル以内だという。空気を汚す心配もなく、燃料やパーキングや汚染などの問題とも関係なく、風のようにさっと駆けぬけるそうだ。このことから環境にやさしい個人の輸送装置としての、空飛ぶスクーターではないかという説や、カーメン氏が特許を所有するスターリングエンジンが搭載されているという憶測もある。