コーチング/コーチング基本知識

感情を活用しよう!怒りを使いこなす自分になる方法

人を傷つけ、人間関係を破壊することもある「怒り」。日常生活では、いかに抑えるかが課題となっています。しかし、そのパワーは人を行動へと駆り立てる力を持っています。あなたは怒りとどう付き合いますか?

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

怒りの感情との付き合い方

人を傷つけ、人間関係を破壊することもある「怒り」。ビジネスや日常生活では、いかに抑えるかが課題となっています。しかし、それが生み出すパワーは強力であり、人を行動へと駆り立てる強い力を持っています。あなたはこの怒りとどう付き合いますか?

怒りは抑えたほうがいい?

怒っている人
「あそこまで言うべきじゃなかった……」

「カッ」として怒りを爆発させたばかりに、人間関係が壊れてしまった。そんな体験はありませんか? 

昔から「短気は損気」といわれるように、生活の知恵として、怒りをいかに抑えるかが大事にされてきました。さらに、最近では「キレやすい」子どもが増えているようで、ますます怒りの感情をいかに抑えるかが大事になってきているようです。

この怒り。どうやったら抑えられるのでしょう?

怒りを抑える4つの手順

怒りを抑えるうえで、何よりも大事なのは「カッ」となった瞬間です。怒りを含め、感情というのは素早く現れると同時に、急速に消えてしまう信号です。ほんの短い時間を我慢するかどうかの勝負なのです。

このためにまず必要なのが、

1)怒りの反応に気づく

怒ったときには、必ず身体に生理反応が起きます。これは人によって違いますが、「手のひらが熱くなる」「胸がドキドキする」「顔が火照る」「唇が乾く」など、なんらかのサインが出ます。ほんのちょっとした反応なんですが、まずは、自分なりの怒りのサインを知り、その反応に気づくことです。怒りの反応に気づくことによって、まず、怒りの先手を押さえることができます。

「手のひらが熱くなってきたぞ」といった具合に、自分の無意識の生理反応を意識できるようになると、それだけで怒りに巻き込まれなくなります。

そして、反応に気づいた後にすることは、

2)10数える

とてもシンプルです。1から順番に10まで心の中で数えます。沈黙して、相手の目を見ながら数えます。この間に素早く上昇した強い感情は収まっていきます。

そして、10まで数えたら……。

3)深呼吸する

これはおわかりですね。気持ちを静めるための深呼吸です。10まで数える間に感情はある程度収まっていますから、深呼吸も楽にできるでしょう。深呼吸をすることで、さらに気持ちが静まってきます。

最後にダメ押しとして……。

4)上から眺める

本当に眺めるわけではないんですが、まるで自分と相手を高いところから見ている意識です。自分や相手の視点ではなく、客観的な第三者の視点から眺めることで、文字通り、少し距離を置いて冷静に眺めることができます。

(『職場の心理学:“部下に対する「怒りのコントロール」の仕方”』(President Online)を参考にしました。)

怒りは自ら作り出したもの?

そのほか、「怒りは自ら作り出したものである」として、怒りはなくせるという考え方もあります。もともと、感情は相手を自分の思い通りに動かそうとして作り出すもので、怒りは相手を脅すことによって動かそうとするもの。相手を動かそうということをやめれば、自然と感情は消えてしまうといいます。

確かに、よく怒っている人の多くは、他人を思い通りに動かそうという傾向が強いように思えます。やはり怒りは悪いものであり、抑えて消すべきものなのでしょうか?

感情は歓迎すべきもの

仕事に感情を持ちこみなさい!

「感情は原始的であり、理性によってコントロールされるべきである」
こんな見方がこれまで一般的でした。しかし、ここ最近、脳や知能の最先端の研究から、感情は理性と対立するものではなく、むしろ「理性を強化するものであり、受け入れられ、活用すべきである」という見方が出てきています。その代表的なものが、EQ、「感情知能」という考え方です。

EQにおいては、「感情は客観的な情報」です。感情がわれわれの生存のために必要な情報を伝えてくれていて、環境に適応するための行動へと駆り立てると考えます。例えば怒りの気持ちは、不正行為が行われたという信号であり、それに本気で取り組む必要があるという意味になります。これをうまく活用することが必要であると考えるのです。

感情能力を開発する

感情を活用するためにEQでは、感情を抑えようとするよりも、感情を開発していきます。

鏡に向かって感情を表現する
鏡に向かって「怒り」という言葉を、怒りを込めて言ってみます。そして、そのときに自分がどんな表情をしているのかを観察し、自覚できるようにします。ビデオカメラにとって、見てみるのもいいでしょう。

感情を想像して感覚を感じる
怒りを具体的に体験した状況をイメージし、そのときの身体的な感覚を感じてみます。さらにイメージの鮮明さや、身体感覚の強さを増大させます。最後は、リラックスして、穏やかなイメージを想像して、その感覚を味わって終わります。

こうした方法で訓練することにより、自らの感情を自覚し、またさまざまな感情を想像することができるようになります。

「感情をともなわない理性は無力で、理性をともなわない感情は盲目だ」『EQマネジャー』より)

怒りの爆発は避けながらも、そのパワーは活かしていく。これが大事です。
あなたの職場、家庭が荒れるのか? つまらないものになるか? もしくは、熱気のあるものになるのか。それは怒りを含めた、あなたの感情の扱い方にかかっています!

【参考サイト・図書】
■『職場の心理学:“部下に対する「怒りのコントロール」の仕方”』(President Online)
■『EQマネージャー』 デイビッド・R・カルーソ、ピーター・サロベイ 著、 渡辺 徹 監訳)

【関連サイト】
■「コーチングは名作と一緒――感動を呼ぶ名映画監督になろう!」
■「相手を思い浮かべていては相手の立場になれません――相手の気持ちをつかむ視点転換法」
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