窓・サッシ・玄関ドア/窓・サッシの基礎知識と選び方

窓ガラスの種類と特徴、基礎知識まとめ!窓で家の快適さは大きく変わる!

透明ガラス、すり板ガラス、複層ガラス……住まいの窓に用いられるガラスには、さまざまな種類があります。ここでは、主なガラスの種類と特徴、選ぶ前に知っておきたい基礎知識をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

組み合わせるガラスによって窓の性能は大きく異なる

一般的に、窓は、サッシ+ガラスで構成されたもの。サッシとは、窓の上枠・下枠・たて枠で構成された窓枠の中の框(かまち)と組子のことですが、窓枠全体を指していることが多いので、通常、「窓を選ぶ」という場合は、「サッシとガラスを選ぶ」ということになるでしょう。

サッシの素材として馴染みがあるのが、アルミサッシですが、最近では、断熱性を高めた複合サッシや樹脂サッシなど、いくつか種類が揃っています。組み合わせるガラスにも性能を高めたさまざまな種類があり、サッシ同様、用いるガラスによって窓の性能は異なり、住み心地はもちろん、省エネルギ―効果や光熱費などにも大きく影響します。
 
ガラスの性能によって住まいの心地よさは大きく変わる。[エピソードNEO H24 引違い窓]  YKK AP https://www.ykkap.co.jp/ 

ガラスの性能によって住まいの心地よさは大きく変わる。[エピソードNEO H24 引違い窓]  YKK AP

【目次】
1.「一般ガラス」と「機能ガラス」
2.「一般ガラス」の種類と特徴
 ・フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)
 ・型板ガラス
 ・すり板ガラス
 ・網入板ガラス
3.「機能ガラス」の種類と特徴
 ・複層ガラス
 ・強化ガラス(安全ガラス)
 ・合わせガラス (防犯ガラス・防災ガラス・防音ガラス)
4.窓サッシとの組み合わせ、構造や間取りを考慮して選ぶ
 

「一般ガラス」と「機能ガラス」に大きく分けられる

住まいの中で用いられるガラスは、大きく「一般ガラス」と「機能ガラス」に分類することができます。

「一般ガラス」には、「フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)」や「網入板ガラス」、「型(板)ガラス」などの種類があります。「機能ガラス」は、「複層ガラス」、「強化ガラス」や「合わせガラス」など、何かしらの機能を持たせたガラスを指します。
 

「一般ガラス」の種類と特徴

■フロート板ガラス(透明ガラス・単板ガラス)
一般的な平板のガラスのこと。平面が平滑で歪みがなく、透視性や採光性に優れています。窓や建具、鏡などに用いられています。
 [フロート板ガラス (単板ガラス)] YKK AP

一般的なガラス。加工することでさまざまな機能を持たせたガラスに。[フロート板ガラス (単板ガラス)] YKK AP

■型板ガラス
ガラスの片面に型模様をつけた不透明もの。「くもりガラス(不透明ガラス)」が代表的。光を通しながら視線を遮るガラスなので、部屋の間仕切り、近隣や道路からの視線が気になる浴室や洗面、トイレなどで用いられます。

■すり板ガラス
ガラスの片面に珪砂などで摺り加工をした不透明なガラスのこと。

■網入板ガラス ガラスが破損しても破片が飛び散らないように、金属の網を封入したもの。炎に強いのが特徴で、火災の際の延焼や類焼を防ぐ効果を持つものです。網入板ガラスは、破片の飛散や脱落がしにくいのが特徴ですが、防犯性能が期待できるものではありません。
 [Low-E 複層ガラス 断熱タイプ 網入りガラス]  YKK AP

網入りガラスを取り入れた複層ガラス。 [Low-E 複層ガラス 断熱タイプ 網入りガラス]  YKK AP
 

「機能ガラス」の種類と特徴

■複層ガラス
スペーサーと呼ばれる部材で、2枚または3枚の板ガラスの間に中空層を持たせ、乾燥した空気を挟み込むことで断熱性を高めたガラス。結露しにくく、冷暖房の消費を抑えることができるので、省エネ効果もあります。

より性能を高めたものが、ガラスの間に特殊な金属膜をコーティングした「Low-E複層ガラス」。遮熱性を高めたタイプと断熱性を高めたタイプがあります。地域性や窓の方角などによって、それぞれを使い分けると効果的でしょう。
※Low-Eとは、Low‐Emissivity(低放射)のこと。
[Low-E複層ガラス  遮熱タイプ YKK AP 

室外側にLow-Eガラスを使用。[Low-E複層ガラス  遮熱タイプ YKK AP 

・遮熱複層ガラス
室外側にLow-Eガラスを使用したもの。夏場の日射を遮るとともに、冬場は室内の暖房熱を反射し逃がさないので、冷暖房の負荷を抑えることができます。夏は涼しく、冬も暖かいという性能を持つので、西日のあたる部屋、紫外線による色あせの防止などにも向いています。

・高断熱複層ガラス
室内側にLow-Eガラスを用いたものです。太陽の熱を取り入れつつ、暖房エネルギーを逃がしにくくし、断熱性、保温性に優れ、結露の発生も抑えることが可能。寒さが厳しいエリアに向いているタイプです。
[Low-E複層ガラス  断熱タイプ]  YKK AP

室内側にLow-Eガラスを使用。[Low-E複層ガラス  断熱タイプ]  YKK AP

・その他
上記の「複層ガラス」「遮熱複層ガラス」「高断熱複層ガラス」の2枚のガラスのどちらかに、後述の「合わせガラス」や「強化ガラス」などを使うことで、多機能な複層ガラスとすることも。最近では、より性能を高めたトリプルガラスの商品提案もみられます。

また、2枚のガラスの厚さを変えることで騒音を軽減できる「異厚複層ガラス」、ガラスの間にアルゴンガスやクリプトンガスなどを封入した「ガス入り複層ガラス」、ガラスとガラスの間にブラインドを内蔵し遮熱性能を高めたブラインド入複層ガラス」などもあります。
[防犯合わせトリプルガラス 日射遮蔽型 ダブルLow-E ]  YKK AP

さまざまな機能を取り入れたトリプルガラス。[防犯合わせトリプルガラス 日射遮蔽型 ダブルLow-E ]  YKK AP

■強化ガラス(安全ガラス)
普通のガラスに比べて、耐風圧強度のあるガラスのこと。「フロート板ガラス」を高熱処理、急激に冷やしてつくられたものです。熱にも強く、割れても破片は顆粒状になるため安全なので、大ケガとなる心配がありません。そのため、「安全ガラス」とも呼ばれています。透明タイプや半透明タイプもあります。

「強化ガラス」は、窓だけでなく、ガラス入りの玄関ドア、室内扉や収納扉、テーブルトップなどでも用いられています。「フロート板ガラス」よりも割れにくいものですが、防犯面での性能は期待できません。

■合わせガラス (防犯ガラス・防災ガラス・防音ガラス)
2枚以上の「フロート板ガラス」の間に、柔軟で強靭なフィルムの中間膜をはさんで加熱・圧着させたガラス。風圧に強く、中間膜の効果で割れても飛び散ることがほとんどないのが特徴。中間膜の厚さや性能に工夫を持たせることで、さまざまな特徴を持つ製品もみられます。

・防犯ガラス
厚く強靭な中間膜とすることで、突き破るのに時間がかかり防犯性に優れるもの。

・防災ガラス
特殊な中間膜によって防災対策に効果を発揮するもの。

・防音ガラス
遮音効果のある中間膜を用い、防音性能の高めたもの。
ブラインドがガラスの間に内蔵されているので、インテリアもすっきり。[ブラインド入り複層ガラス]  YKK AP

ブラインドがガラスの間に内蔵されているので、インテリアもすっきり。[ブラインド入り複層ガラス]  YKK AP

 

窓サッシとの組み合わせ、構造や間取りを考慮して選ぶ

快適な住まいをつくるには、窓ガラスの性能だけを考えるのではなく、サッシとの組み合わせはもちろん、家の構造全体、間取りや敷地条件などを考慮しなければなりません。

実際に家づくりを進める中では、窓のプランニングは設計担当者からの提案を確認する、というケースが多くみられますが、具体的にどんな性能があるのか、どんな機能を持つガラスなのか、説明を受けること。性能実験などを確認できるショールームもありますので実際に体感してみるのもいいでしょう。

住まい全体のプラン、必要とする機能、地域性や用途にあっているか、予算内で収まるのかなど設計担当者とよく相談しながら選ぶようにしましょう。


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