宅地建物取引業法の改正により、従来の「宅地建物取引主任者」は2015年4月から「宅地建物取引士」に変わりました。ここでご紹介するのは2006年に寄せられたご質問ですが、改正に合わせ「宅地建物取引士」に書き換えています。
(千葉県 匿名)
適切に勉強をすれば、宅建の試験はさほど難しいものではない
しかし、試験の合格率が17.5%(2014年実績)といっても多くの人(とくに、すでに不動産業に従事している人)は、しっかりとした勉強をしないままで受験して落ちているのが実態でしょう。
きちんと取り組んだ人の中だけで合格率を出せば、おそらく70~80%程度、低めに見積もっても50%以上になるのではないかと感じられます。
「真剣に勉強したのに受からない」という人もいるようですが、資格学校のホームページによる解説などを読むと「深く考えすぎて余計な勉強をしている」ケースもあるようです。
1996年からは宅地建物取引主任者(現、宅地建物取引士)資格試験の受験資格に対する制限が廃止され、年齢・性別・学歴などに一切関係なく、誰でも受験できるようになっています。
そのため若年者の受験も増え、2006年と2014年には12歳の小学生が合格しています。残念ながら不合格だったものの、10歳による受験の例もあったようです。逆に最高齢合格記録は90歳(2005年)です。
さすがに小中学生の合格はかなり難しいでしょうし、記憶力の衰えが始まった中年以上の人が宅地建物取引士の内容に初めて触れるとだいぶ難しく感じられるでしょう。
しかし、普通の大学受験を目指す高校生レベルの読解力と記憶力、ほんの少しの法律的センスと簡単な受験テクニックがあれば、宅建試験の合格は何ら難しいことではありません。何しろ試験に合格して登録をしている人だけで、約94万人あまり(2014年3月末時点)もいるような資格なのです。
もし、宅建試験対策だけに集中して時間を割ける環境にあれば1か月程度の受験勉強期間で大丈夫でしょうし、昼間は学校や仕事で夜間しか勉強できない人でも3~4か月の勉強で合格することは十分に可能です。
すでに不動産業に従事していながら宅地建物取引士に合格できない人からは「試験内容と実務とが違い過ぎるから」という声もよく聞かれるのですが、それは単なる言い訳に過ぎません。
確かに不動産取引の実務の中では、法令の「例外規定」や「ただし書き規定」あるいは「慣例」などが優先され、試験の対象となるような原則規定とは異なる部分も多いのですが、「なぜ例外規定などが優先されるのか」という論拠や理由を押さえておきさえすれば、何ら難しいことではないでしょう。
それよりも若い営業担当者では残業が多かったり、少しでも時間ができるとすぐに飲みに行ってしまったりする体質のほうが受験勉強の障害かもしれません。
一般の消費者に対して不動産取引のアドバイスをする立場の仕事をしていながら、自ら「宅建試験は難関だ」などと言う人もいますが、そんなことを言っていたら試験よりも複雑怪奇な、現実の不動産取引上の問題には的確に対処できないはずです。
相談相手を見極めるテクニックとして、さりげなく「宅建って難しいんですか?」と聞いてみるのもいいかもしれません。
不動産業界で仕事をするかどうか、あるいは実際に宅建試験を受けるかどうかは別にしても、いちど宅建試験の勉強をしてみることは十分に有意義でしょう。「衣食住」といわれる重要な部分の「住」でありながら学校では何も教えてくれず、いざ住宅を購入しようとしてから必要な知識が備わっていないことに気がつく人も多いようです。
しかし、不動産会社に就職することは、よく考え直したほうがいいかもしれません!
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