住宅を購入する前には十分に試算をし、無理なく支払いができるハズだったのに、思いがけない事態で住宅ローンの返済に窮することもあります。失業、倒産、業績の悪化による収入の減少だけでなく、傷病によって就業が困難になる場合もあるでしょう。離婚によって計画が大きく狂うことも多いかもしれませんね。

住宅ローンの返済を滞納してある程度の期間が過ぎると、金融機関から不動産競売の申し立てを受けます。競売によって住宅が処分されたとき、その所有者には何も残らないばかりか、(破産宣告を受けない限り)さらに債権額と落札額との差額を請求されて、生活の再建すらできない最悪の状況に陥ってしまうことが多いでしょう。

不動産競売によらずに、将来を見据えた債務整理をするもうひとつの方法が「任意売却」です。今回はこの「任意売却」を専門に取り扱っている、株式会社ライビックス住販の木原社長にお話を伺いました。
(以下、文中敬称略)


任意売却のメリットって何ですか?

(平野) 「任意売却によって住宅を処分することのメリットは何でしょうか?」

ライビックス住販:木原社長
単純に売却処分をするだけでなく、「その後の生活再建を考えることが重要」と木原社長
(木原) 「まず重要なことは『処分後の生活をどう立て直すか』だと思うんですが、競売の場合には強制的に住まいを取り上げられて、引っ越す費用もないままで放り出されるケースが多いんです。そのうえ残った債務の支払いにも追われることになります。これが任意売却だと、通常は競売よりも高く売れますから債権者側も柔軟に対応してくれて、生活を立て直すのに無理のない返済計画ができます。債権者によっては引越し費用などを手当てしてもらえるケースもありますね。ただ最近は引越し費用や立退き料が出にくくなっているので、当社が金融機関などから受け取った手数料の一部を、支援資金として売主へ渡すこともあります」

(平野) 「東京の23区なんかだと『任意売却よりも競売のほうが高く売れる』という金融機関の話も聞くのですが…」

(木原) 「それはあくまでも限られたエリアでのことですよね。首都圏でも少し郊外だと競売の落札価格がかなり低くなってます。このあたりでも最終的な落札価格が相場の半値くらいのこともあります」

(平野) 「そのぶん債務者に残る負担が大きくなると…。金銭面以外でのメリットもありますか?」

(木原) 「競売だったら近隣にもそのことがバレバレです。『○○さん宅が競売だって!』なんて噂が広まることもありますが、任意売却なら外見上は通常の売却と変わりませんから、近隣には『買い換えるのよ』で済むかもしれません」


大手業者では門前払いも!

(平野) 「他の不動産業者はあまり任意売却を取り扱わないんでしょうか?」

(木原) 「任意売却を適切に取り扱うためには、十分な経験と知識、それに各分野の専門家のネットワークなども必要です。物件によっては処理が終わるまで1年近くを要する場合もあるのですが、その割に多くの利益を得られるわけではないので、数多くの物件を手掛けなければならないといった事情もあります。あまりやりたがらない業者も多いんじゃないでしょうか」

(平野) 「東京の都心部だと任意売却を手掛ける不動産業者も多いようですけどね」

(木原) 「それはもともとの金額が違うじゃないですか。手間がかかってもその見返りは大きいから(笑)。東京以外の住宅地だとかなり違いますね。当社にいらっしゃった相談者の話を聞いても、地元の業者に相談したら単純に『そんなの売れませんよ』とか『債権者と話をしてきてください』とかいわれて帰らされたというケースが多いようです。いきなり債権者と話をしたってうまくいくはずがないんですけどね。大手の不動産業者へ相談に行った人なんかは門前払いだったことが実際にあるらしいです。まあ大手にしてみれば『そんな手間がかかって薄利の仕事ができるか』といったところなんでしょう」


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