さくらやの撤退に続き、ベスト電器は直営店の約3割を閉鎖、次々に家電量販店が憂き目に遭っている。そんな中、池袋、新宿、渋谷、都心への出店が相次ぐヤマダ電機。ひとり勝ちの様相だ。郊外型の店舗を着実に増やし、都市型の店舗に進出してきたヤマダ電機の躍進、その背景と手法を「マーケティング」ガイドに解説してもらった。

「マーケティング」ガイド安部徹也

「マーケティング」ガイド
安部徹也

上記したように、ヤマダ電機の都心への出店が記憶に新しい。そもそも郊外を中心に力を伸ばしてきただけに、都心の生活者にとっては突然勢力を増した印象があるが、業界シェアを見るとその積み重ねは短くない。

「ヤマダ電機は現在、08年度の売り上げベースですが、家電量販店のシェアのうち、約30%を占めています。2位のエディオンが15%弱ですから、圧倒的なトップです。ヤマダがシェアトップに躍り出たのは2001年。1998年に大規模小売店舗法が廃止され、郊外に次々と展開したコジマ電気とヤマダ電機が2000年代を前に躍進しましたが、その争いからヤマダがひとつ抜け出た格好ですね。順調に売り上げを伸ばし、2005年には家電量販店として初の連結売り上げ1兆円を達成し、2009年には2兆円に迫る勢い。ほとんど1強状態です」

ビックカメラやヨドバシカメラ、都市型の家電量販店は知名度の高さを誇るものの、規模感ではどうしても、郊外型に軍配が上がる。その中でも抜きん出た、ヤマダ電機の強みはどこにあるのだろうか。

「ヤマダ電機は業界内でも、低コストでの運営を実現していることで知られています。量販店におけるコストといえば仕入れ値ですが、大規模店舗を多く抱えることによって、大量の仕入れ、それによる低価格化を実現しているわけです。業界ナンバーワンのシェアを誇りながら利益も多い。ここで得た余力により、M&A、都市型店舗への進出と、次の一手に打って出る。規模を大きくコストは低く、体力勝負の業界において、理想的な好循環が生まれています」

最後に躍進著しいヤマダ電機、今後の展望を聞いた。

「郊外の出店余地が減ったことと、価格競争で明暗別れ、撤退する企業が増えてきたこと。この2つの要因から、昨今見られるように、今後は都市型店舗を増やす動きが続くと思われます。池袋の総本店は好調のようですし、有楽町西武の跡地に名乗りを挙げるのでは、なんていう予測も出ています。郊外型と都市型のバランスを保ちつつ、また、先ほど述べたM&Aなどでさらに規模を拡大し、好循環を続けていくのではないでしょうか」
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