人は黙ってても人間になるわけではありません(「オオカミ少女」の例を思い出しましょう)。人間社会での関係性を学習し、実践を積むことによって、初めて人間らしい社会生活を営むことができるようになるのです。

親と子、兄と弟、夫と妻、教師と生徒、先輩と後輩、上司と部下、といった人間関係には、あるべき姿(理想像、ロールモデル)があって、どのような役割を演じればよいのか、どんな関係性が理想とされているのか、何をやってはいけないのか、具体的なイメージが共有されています。日々接している身近な人たちも豊富なサンプルを提供してくれるし、ドラマや映画、小説などにもイメージがあふれています。そして、誰もがその関係性について共感を示し、理解し、アドバイスをくれたりもします。

でも、ゲイの場合、「僕と彼」についての関係性のあるべき姿(理想像、ロールモデル)を思い描くことは、簡単ではありません。なんたって、学校でも職場でも教えてはくれませんから…

「なかなか彼氏ができない」「恋愛が長続きしない」のはなぜか?を探るシリーズの第2回目。今回は、ゲイの恋愛についての理想像(あるべき姿)を思い描けないことがハードルになっているのでは?という仮説を検証してみたいと思います。
合わせて、各章の内容と関連するオススメ・ゲイ映画もご紹介!


ゲイのおつきあいのイメージって?


ゲイのおつきあい
自分は男性が好きなんだと気づき、ネットや二丁目などでいい人と出会い、いよいよおつきあいがスタート!というとき、「彼とこういうふうにつきあっていこう」と具体的にゲイの恋愛の理想的なイメージを思い描ける人って、どれくらいいるでしょうか?
「幸せなゲイカップル像」というものがデフォルトでビルトインされてることなんて、皆無だと思います。世間が教えてくれない以上、どこかの段階で自分で学んでいくしかないからです。

ゲイカップルには男性/女性のような明確な性差がありませんから、「男どうしでデートする時ってどうするのが普通なの?」とか、「どっちかが男役でどっちかが女役を演じるべきなの?」とか、初心者にとってはわからないことだらけ。「?」の嵐です。

いざデートをしてみても、人前で手をつないだり、いちゃいちゃしたりという、ノンケさんなら躊躇なくできることも、僕らにとってはものすごく勇気が必要だったりします。
また、いっしょに住もうとしても、不動産屋に何と言えばいいのか、保証人を親に頼むときに何と言えばいいのか、同居していることを同僚に何と言えばいいのか…戸惑いを覚える方も多いはずです。

そして、僕らには結婚も許されていませんし、子どもを産んだり養子をもらって育てることもできませんから、世間の人たちが思い描く「周りから祝福されて幸せな結婚をして、元気な子どもを育てて、おじいちゃんおばあちゃんになったら孫の顔を見るのが楽しみで…」という典型的な世間の「幸せ人生」のイメージをなぞることはできません。そういう意味で、「人生の目標が見えない」状態になりがちなのです。

次章以降、詳しく掘り下げていきましょう。