男だって女装してます。


平成男子図鑑
平成男子図鑑(深澤真紀 著/日経BP社)
「覇気がない」「淡白な」イマドキな男子たちの生態を鋭くおかしくあたたかく活写したヒット作です
もう一つ、今、巷で「草食男子」がキーワードになっています。年末には流行語大賞にノミネートでしょうね、きっと。もともとは深澤真紀さんが自著『平成男子図鑑 』の中で命名したものです。オシャレに気を遣い、ソフトで、据え膳を食わない「割り勘」な男女関係を指向するイマドキの男の子のことを指します。

2月18日の『久米宏のテレビってやつは!?』では、そうした風潮を嘆き、「動物としての本能が弱ってる」「日本が滅びてもいいと思ってる?」「肉食男もいいんだぞ」と、時計の針を逆に戻すようなオヤジ発言が飛び交っていて、げんなりしました。

僕はもちろん、草食男子大歓ゲイ!です。「男は男らしく」とか「結婚して女を養え」とか「女は黙って男に従え」などというジェンダー観の強制ときたら…僕にとっては立派なトラウマでした(もちろん、トランスジェンダーの方にとっては地獄だったハズです)。この「男は男らしく」という暴力的な強迫観念は、ゲイだけでなくストレート男性をも抑圧してきたはずです。今やっと、世の男子たちはその理不尽なジェンダー圧力から解放され、自分らしく生きることができ、女子と対等につきあえるようになり、自分たちに合ったパートナーシップのスタイルを選択していける時代になろうとしているのです。(別に女性が男性を養ったっていいのです)

もちろん、男らしい男性と女らしい女性のカップルも、本当にステキです(むしろ、男らしい亭主に尽くす妻役になりたいと思うのは昭和のゲイの定番で、僕もわりとそのタイプです)。全員中性的になる必要はこれっぽっちもなくて、暴力的な強制が生む悲劇をもうこれ以上繰り返すのはやめようって話です。選択肢が増えることが重要なのです。

で、草食→装飾ではないですが、草食男子に限らず、イマドキの男の子たちの間では、女装が許容され、一種のブームになっていると思います。(男尊女卑社会ではありえないことです)

ジュヌヴィエーヴ@GTJオープニングパーティ
たぶん男子がめいいっぱいキレイに女装するとこんな感じ?というイメージ(すみません、そんなにキレイじゃないかも…)
数年前の「笑っていいとも」の中の1コーナー「彼氏が彼女に着替えたら」がたぶん火付け役ですが(女性たちが彼氏を美しく変身させて喜ぶ姿がなんともほほえましい)、今は杉浦太陽さんが有名な「女装してキレイな男」という番組が人気ですよね。男性のタレントさんがものすごくキレイなお化粧をして、男性の観客の前でファッションショーを行い、女性のタレントと「どちらが美しく、グッとくるか」の勝負をするというものです。バラエティではありますが、ガチで作り上げた美貌を本人もウットリと楽しむ風情が見てとれて、かぎりなくトランスジェンダー的です。

それだけでなく、体育会マッチョ指向の最たるものである野球選手なども、(こちらは完全にネタですが)平気で女装姿をスポーツ新聞やネットニュースなどで見せちゃう時代です。

先述の『女装する女』でも、こうしたストレート男子の女装は「祝祭的なコスプレ」「社会的なタブー破りの快感」「ストレスリダクション」だと指摘されています。女性の側はすでに「ざけんじゃねーよ」系の男言葉を使いこなしていますが、男性陣はそのジェンダー越境の妙味にやっと気づき始めたというわけです。

「俺は男だ!」という「沽券」が強力な人ほど女装をいやがりますが、イマドキの若者は、古くさい「男らしさ」の鎧をあっさり脱ぎ捨てて、軽やかにジェンダーの行き来を楽しみ、ストレスを解消するくらいにスマートなのです。