暮らしの歳時記/夏の行事・楽しみ方(6~8月)

浴衣帯の結び方「姉さま結び」「ヤの字結び」で大人っぽく!

人気の「姉様結び」と「矢の字結び」の帯結び・着付けのしかたを、写真付きで分かりやすく解説。大人っぽくおしゃれに浴衣を着たい方、定番の文庫結びに飽きた方におすすめです。「姉さま結び」はお太鼓の変形なのできちんと感が出せ、「ヤの字結び」は貝の口に似ているので車や椅子に座っても着崩れません。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

姉様結び、矢の字結びとは? おしゃれで大人っぽい浴衣の帯結びを解説

浴衣の帯 結び方 姉様結び・矢の字結び で大人っぽく!

大人っぽい浴衣帯の結び方「姉さま結び」「矢の字結び」。せっかく浴衣を着るのですから、さらに後ろ姿で差をつけましょう!

浴衣のポイントは帯結び。大人っぽくおしゃれな帯結びは、浴衣姿を素敵にみせてくれます。帯結びのバリエーションが少ないと、いつも同じになってしまいますし、あまり子供っぽすぎては困る方も多いでしょう。

そこで、簡単にできるのにとてもお洒落で大人っぽい「姉さま結び」「ヤの字結び」を、カスタムメイドキモノで人気の「おきぬ屋さん」ディレクター兼デザイナー・岩熊裕子さん(取材当時)に教えていただきました。
岩熊裕子さん/「おきぬ屋さん」ディレクター兼デザイナー(取材当時)。イラストやデザインの仕事で活躍していましたが、着物好きが高じて「おきぬ屋さん」の創立時から、企画、デザインなど全てを手掛け、キモノ業界に新風を吹き込みました
 
<目次>
◆浴衣の着つけ方はこちらをご覧ください。
◆今回使用しているのは リバーシブル帯! 裏面を見せることで同じ結び方でも違う表情が出せる優れモノです。「浴衣の帯のアレンジ~リバーシブル帯」でそのテクニックをご紹介しています。

それでは、出来合いの付け帯を卒業してお洒落な帯結びで出かけましょう!
 

前で結んで後ろに回す浴衣帯の結び方「前結び」は失敗せず簡単!

今回は誰でも手軽に結べるよう、前で結んでから後ろに回す方法でご紹介します。正面の鏡を見ながら結べるので、後ろで結ぶより格段に楽にできて形もきれいに整います。体が固かったり、後ろでは十分に力が入らない方でも大丈夫(ガイド三浦はいつもこの方法です)!  回すときに滑りがいいよう、絹の伊達締め(帯の下に締める幅の広い紐)を使うといいでしょう。
 

粋でおしゃれな浴衣帯の結び方「姉さま結び(姉様結び)」

浴衣の帯 結び方……姉さま結び ・姉様結び・あねさま結び

「姉さま結び」は粋でおしゃれな浴衣の帯の結び方

姉さま結び
岩熊さんの経験では、見知らぬ方から「それどうなってるの?教えて!」と声がかかる筆頭がこの姉さま結びだとか。着物の帯結びの基本であるお太鼓結びの変形なので、きちんとした印象があって着崩れしにくいのもいいところ。浴衣姿がグレードアップする結び方です。

◆準備するもの:半幅帯、帯締め、ひも(30cm程度。なんでもOK)

~ では、正面の鏡を見ながら結びはじめましょう ~
 
 
■手順1:まず、手先(画面上の短いほう。下の長いほうはタレ)の長さを腕一本分ほど取って半分に折り、輪(半分に折った折り目のほう)を外側にして肩にのせておく。

次に胴に二巻きしたら、正面で手先をかぶせるようにしてひと結びする(右肩にあるのが手先。下がタレ)。


 
 
■手順2:手先を広げ、左手側を輪にして折り返す。

中心にタックを取り、ひもで結んで羽根(リボン状)にする。
 
 
■手順3:タレ先を上から下へ伊達締めと帯の間に通す。

垂れ下がっている正面の柄がお太鼓になりますから、リバーシブル帯などで出したい柄が出ていない時は、根元をねじって柄が正面にくるようにしておく。
 
 
■手順4:タレを上に持ち上げ、タレ先(画面上部)を残したまま上から下へ、伊達締めと帯の間に通します。タレ先にはお太鼓を作るのに必要な分だけ残し、あとは下に引っ張る。

◇チェック!:羽根の上に一重巻かれた状態になりましたか?/タレ先が上にありますか?/下の部分は輪になっていますか?
 
 
■手順5:下部を下から丸めて、伊達締めと帯の間に差し入れる。
 
 
■手順6:差し入れる位置を羽根の下あたりにすると、枕の代わりになって羽根が安定する。
 
 
■手順7:タレ先を下ろし、帯締めを通してお太鼓の大きさを決める。
 
 
■手順8:余分なたれをお太鼓の中に折り込む。このとき、柄が合うようにすると良い。
 
 
■手順9:帯締めを後ろ側で仮結びしておく。これで姉さま結びの形が完成しましたので、きれいに整えておく。
 
 
■手順10:帯を時計回りに180度回して位置を決めたら(逆に回すと浴衣の打合せが乱れるので厳禁)、仮結びしていた帯締めをきれいに結び直して出来上がり。

◇チェック!:後ろ側の帯締めの位置は下部のままでOK。正面に合わせて水平にしてしまう(中心に移動させてしまう)と姉さま結びが不安定になるのでNGです。

 

簡単お洒落な浴衣帯の結び方「ヤの字結び(矢の字結び)」

浴衣の帯 結び方……ヤの字結び・矢の字結び・やのじ結び

「ヤの字結び」は粋でおしゃれな浴衣の帯の結び方

ヤの字結び
車に乗車しても崩れないヤの字結びは、男性の貝の口結びに似ています。リバーシブル帯を使うと両柄が出て楽しめますし、フラットなので椅子に座っても着崩れません。結び方は比較的単純ですが、形のバランスをとるのが少し難しいので、事前に練習して自分に合ったバランスをつかんでおくといいでしょう。

◆準備するもの:半幅帯、帯締め

~ では、正面の鏡を見ながら結びはじめましょう ~
 
 
■手順1:手先の長さを腕一本分ほど取って右肩にかけ、胴に二巻きする。次に、タレ(長いほう)が上にくるように結ぶ。この時、前帯の下から指一本分程度たれを残すようにし(図の赤線部分)、タレ先を引き抜かない。

◇チェック!:右肩にかかっているのがタレ。先が輪になっています/左手側に下がっているのが指1本分残したタレの先/右手側に下がっているのが手先

 
 
■手順2:上のタレを真下に下ろしてから、内側から右肩方向に斜めに折り上げる(いったん真下に下ろすことで指一本分残したタレの角度も垂直になり、美しいバランスに仕上がる)。
 
 
■手順3:折り上げた輪に手先を通し、先端を5cm出す。手先が長すぎてバランスが悪い場合には、手先の元を内側に折って短くする。
 
 
■手順4:帯締めを輪の中に通し、後ろ側で仮結びしておく。これでヤの字結びの形が完成したので、きれいに整えておく。

 
 
■手順5:帯を時計回りに180度回して位置を決めたら(逆に回すと浴衣の打合せが乱れるので厳禁)、仮結びしていた帯締めをきれいに結び直して出来上がり。
 

浴衣を美しく着るためのワンポイントアドバイス!

直線の美がキモノの基本です
文字通り、浴衣はお風呂上りに着るものとして誕生したので、最小限の下着でさらりと着てもいいのですが、街着にする場合には補正が大切です。よく、洋服の時と同じようにウエストのくびれを強調して帯を結んでいる方を見かけますが、着姿は決して美しくなく、すぐに着崩れてしまいます。

また、ウエストのくびれがなければ補正は要らないと思いこんでいる方も多いのですが、これも間違い。全くストレートな体型の方はいませんので、きちんと補正をしたほうが美しいのです。

着物の構造をみればわかるように、曲線ではなく直線の美。ウエスト、背中、ヒップなど補正が必要な箇所は人それぞれですが、タオル一枚の差が帯の落ち着き具合や着崩れに大きく影響してきます。出掛けるときはキレイでも、目的地に着く頃はすでに崩れ出し、帰る頃にはぐしゃぐしゃ……ではイメージダウン。

さらに自分で着られると着崩れたときの対処法がわかるので、気付いたときにサッとなおすこともできてキレイな姿を最後までキープできます。どうせ着るなら浴衣美人に!タオル一枚の補正からおしゃれな帯結びまで、ちょっとしたことで雲泥の差が出てしまうのでした。

 
カップルでいなせな浴衣……間違いなく注目の的でしょう
1回目の「リバーシブル帯の結び方…アレンジはパーティー・着物風など様々!」に続き、多彩なテクニックを伝授してくだっさった岩熊裕子さん。本当にありがとうございました!


< 取材協力 >カスタムメイドキモノ「おきぬ屋さん」

浴衣レッスンシリーズ
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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