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ウイスキー&バー/初心者のためのウイスキー入門記事

蒸溜ってなんだろう?[入門篇]

飲み方、ウイスキーってなんだ、につづく入門篇第3弾。蒸溜とは、なんだか難しそうな原理じゃなかろうか、と思っていらっしゃる方、これを読めばそれほど難解なものじゃないってことがわかるはず。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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まずビール状のものを用意する

仕込み
仕込み。麦芽と温水を投入
前回の記事で、ウイスキーは蒸溜酒であると述べた。では蒸溜とは、いったいどんなものかについて今回は製法とともに説明しよう。
蒸溜酒をつくるには、簡単にいえば、まず醸造酒(発酵液)が必要だ。ウイスキーでいえばビール状のもの、ブランデーでいえばワイン状のものを用意して、この液体からアルコールをできるだけ濃厚なものに分離させるために蒸溜することで無色透明なスピリッツを得る。

発酵
発酵。最盛期は泡で真っ白になる
モルトウイスキーのつくり方を例にして説明する。まず仕込み、発酵までの工程をごく簡単に述べる。最初に原料である大麦を発芽させる。これを大麦麦芽(モルト)という。麦芽を粉砕して温水にした仕込み水と混ぜて粥状にする。ここででんぷんが糖類に変わり、この粥状のものを濾過して麦汁(ばくじゅう)という糖液を取る。麦汁はその通りの麦の甘い汁だ。
次に麦汁に酵母を加えて発酵させ、アルコール分約7%の発酵液(醪/もろみ)を得る。まあ、ここまではビールつくりと同じである。この発酵液を蒸溜するから蒸溜酒なのだ。

モルトウイスキーは通常2回蒸溜

単式蒸溜器
銅製の単式蒸溜器(撮影3点すべて/川田雅宏)
さて、蒸溜法は。なんだか難しそう、と思われるかもしれないが、原理はそんなに難解なものではない。
水を加熱すると1気圧のもとでは100℃で沸騰がはじまり、液体から気体に変化していく。この気体を冷却すれば、またもとの液体である水に戻る。
発酵液を加熱するとどうなるか。発酵液中のアルコールの主成分、エチルアルコールの沸点は78.325℃。水とエチルアルコールが混在している発酵液を加熱していけば低沸点のエチルアルコールを多量に含んだ蒸気が生まれ、それが蒸発しつくして水分が多量に残る。この水を廃棄して、一方では蒸発した蒸気を冷却すれば、もとの発酵液よりもアルコール濃度(度数)の高いものが得られる。これが酒の蒸溜法だ。

モルトウイスキーの場合、ポットスチルと呼ばれる単式蒸溜器で通常2回蒸溜する。1回目の初溜ではアルコール分約7%の発酵液を約23%まで高め、2回目の再溜では65%~70%くらいにまで高まったものを得る。
再溜で得られた無色透明の蒸留液をニューメイク(ニューポットとも)と呼び、これを木樽、オーク材でつくられた樽に詰めて何年も貯蔵熟成させて生まれるのがモルトウイスキーだ。
しばらくして、また入門編を考えている。次は連続式蒸溜について述べたい。グレーンウイスキーについて、そしてバーボンウイスキーにも触れたいと思う。

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