パンチョンは長期熟成に適した樽

山崎パンチョン
山崎パンチョン/700ml/48%/¥9,000
シングルモルトウイスキー「山崎パンチョン」が、10月27日に発売される。ただし数量限定で、おそらくバーがメインとなるだろうが、海外でも発売されるようでもあり、ネット(E-liquor)でも購入できる。
はじめに700ml、48%、¥9,000とお伝えしておく。
さて香味特長を語る前に、パンチョンってなんだ、と思われる方もいらっしゃるだろう。これは樽の形状タイプのひとつ。「山崎パンチョン」とは山崎蒸溜所で蒸留されたモルト原酒をパンチョン樽で熟成させたものということになる。
ではパンチョン樽とはどういう樽か。サントリーでは容量や形状の異なる4種の樽を使い分け、貯蔵熟成において個性あふれる多彩な香味を創造している。
その4種とはバーレル、ホッグスヘッド、バット、そしてパンチョンだ。

バーレルは容量180リットルで、材はホワイトオーク。アメリカではバーボン樽として広く使われている。そのバーボンに1回使用した樽を採用。
ホッグスヘッドは容量230リットル。バーレルを解体し、樽の胴径をひと回り大きくして組み直し、新しい鏡板(両サイドの円盤部分)を入れた樽。
バットの容量は480リットル。サントリーではホワイトオーク、コモンオーク(スパニッシュオーク)の材でつくるシェリー樽(3年間シェリーを寝かせた樽)とミズナラ樽の多くがこのバットで、やや細長く張りのある形をしている。つまりサントリーのバットには3タイプがあることになる。
ではパンチョンは、バットと同じ容量で480リットル。材はホワイトオーク。バットに比べて長さがやや短く、胴形も大きくずんぐりとした形状が特長だ。バットと同様サイズが大きいので、熟成がゆっくりじっくりとすすみ、長期熟成に向いている。

独自の匠の技でつくられた樽

左からバーレル、ホッグスヘッド、真ん中がパンチョン、バットのシェリー樽、バットのミズナラ樽
左からバーレル、ホッグスヘッド、真ん中がパンチョン、バットのシェリー樽、バットのミズナラ樽(撮影/川田雅宏)
サントリーではアメリカからホワイトオークを買い付け、自社工場、近江クーパレッジでパンチョン樽を製造している。もともとはラム酒の貯蔵熟成に使われていた樽で、現在この樽の使用は稀で、とくにウイスキーに使われているという話はほとんど聞いたことがない。
つまり「山崎パンチョン」は、サントリー独自の匠の技でつくられ、世界でもウイスキー貯蔵としては稀な樽で熟成したシングルモルトウイスキーということになる。それゆえに、山崎蒸溜所の香味特性を語る上で不可欠というだけでなく、ジャパニーズウイスキーのひとつの個性といえるモルト原酒をヴァッティング(複数のモルト原酒をブレンド)した一瓶ということにもなる。
次のページでは、「山崎パンチョン」の香味特性について語ってみたい。